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勇者指令ダグオンA's どっこい

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第十二話 力対ファントム!


ある日の南家

「♪~♪~」

暢気に部屋の窓を開けてスプレーで何か塗装している楓。

すると

「なんつう匂いだこれは・・・何してる貴様・・・」

「あ!大地!これこれ」

背後に居た大地に向かって楓が胴体パーツを見せるとそれは・・・

「ドリル特急のプラモか?」

「そうそう♪この間ヴィヴィオちゃんに頼まれて作ったマイトガインと合体できるように作ってるんだ~」

「貴様・・・当然タダで作ってやってるんだよな・・・」

「子供から代金取るわけないじゃん」

「そうだな・・・この間ユウに物凄い金額請求したからな貴様」

そう言って数少ない友人のユウの恨めしい声を思い出す大地だった。



第十二話 力対ファントム!



楓が暢気にプラモを作っているその隣の部屋では・・・

「こるあああ力君!」

「うぎゃああああああああ!!」

相変わらずはやてに鉄拳でぶっ飛ばされて壁にめり込む力ちゃんの姿が・・・

力がブホッと壁から出てくるとその隣では狐の耳をはやして眼鏡を光らせているミツキの姿が・・・

「やっぱり・・・力君しかいないわ」

「「へ?」」

ミツキの善からぬ考えを感じ取る力とはやてはとりあえず話だけを聞くべく飛鳥を呼び出し間に居れると、その内容が語られた。

「実は今度ウチの方の管理局で逃げた相手が魔導師じゃない場合の訓練を始める事になってね」

「うんうん・・・」

「それの犯人役を力君に頼もうと思って♪「断る!!」ええ~どうして~」

ミツキの話を遮って答えを出す力は腕組んで絶対あり得るであろうことを述べた。

「どうせミツキさんの事だ!ロクな目に合わない!!」

「あら良い勘してるじゃない」

「ロクな目に合わないって言うのは否定しないんだ」

飄々としているミツキに飛鳥がつっこみを入れるが構わず力を選んだ理由を述べた。

「いやぁ~こっちで人選選んでもいいんだけど。管理局の人本気出したら危ないし~それで大丈夫そうなの力君みたいな超人しかいないし~もうその案上の人に通っちゃったし~」

「ミツキさんあんたね~」

中々折れない力にミツキは・・・

「わかった!力君が勝ったら1ヵ月ジュース奢ってあげる!」

「ようし!わかった!なんでもきやがれ!」

((・・・相変わらず安い男だ))

ミツキに釣られてやる気満々になった力を白けた目で見る、はやてと飛鳥だがそれより問題なのは・・・

「良いの?力にあんなこと言って・・・」

「力君本気出したら逃げ切るかもしれへんで・・・」

勝利条件が逃げ切るという事らしいので力の超人的身体能力ならもしかしたらという事があり得る。

こうして力の参加が決定するとミツキは魔力の無い人間として北斗とサイモンも巻き込み

翌日、影の守護者世界の時空管理局、ブリーフィングルームにて力達の情報を配布しているミツキ。

その為の資料とは・・・

「南力百科」

「南力の全て」

「正しい南力の殺し方」

と言う何とも胡散臭い本であった。

誰の著書であるかと言うのは言うまでもないが・・・

「ええ!彼についてはその本を熟読しておいてください」

いくらミツキの指示でもこんな胡散臭い本に頼るほど馬鹿ではない管理局の方々。

だが約一名だけ熱心に読んでいる。

そんなこんなで、とりあえずクラナガンの駅で待機する力達。

「で?どうやって逃げるの?」

「まぁ・・・最初から反応を追って追ってくるのも反則だから逃げる時間はくれるでしょ・・・」

すると連絡係のユウが通信端末で確認するとそろそろ開始の時間になった。

「始めるぞ」

「お前何で連絡係になったの?こういうのを参加しないといけないんじゃないの?」

「嫌だよ!めんどくせえ!!」

ユウの本音としては八神組の面子を相手にするのは超がつくほど鬱陶しい事であるらしいので参加したくないらしい・・・しかも災難に合うのは目に見えているので・・・

なお『相手が通常の人間』と言う設定のルールにより力達は変身アイテムを預けるという事になったため変身は不能であった。

すると

ピーポーピーポー!!

開始早々管理局の車両が次々とやってくるのだった。

「ちょっと待て!いくら何でも早すぎじゃねえか!?」

「ミツキさん!ちょっとは手加減してよ!!」

文句を言いながら力とサイモンが駅に入ると北斗は一人地上を走り始めた。

力とサイモンは別々の方向の電車に乗り込み、三方向に逃げることになった。

「ふぅ・・・」

ユウが一人お茶を啜って帰ろうとしたその時だった。

「いたぞ!ユウ・サエグサだ!」

「なに!?」

何故か取り囲まれるユウちゃん。

その理由は・・・

「サエグサ指令からの伝令だ!特別枠として連絡係で楽しようとしているユウ・サエグサを捕獲できたら金一封がでるって!」

「姉貴の野郎おおおおおお!!」

かくして、ユウも個人的な理由により一行に加わるのだった。

話を戻して現在、各々どういう行動をとっているかと言うと・・・

北斗の場合

「死ね!生ごみども!!」

広い無人地帯で容赦なく気功銃で乱射される管理局員の人でありメインの対戦カードは・・・

「何故私・・・この最悪な対戦カードに」

影の守護者ティアナだったりする。

北斗を見かけチームを引き連れて追跡したのだが、逃げ隠れしなかった北斗は全員返り討ちにするべく立ちはだかったのだ。

やはり攻撃力が異常なほど高いのかこのメンバーの中では対抗できるのがティアナしかいないとされ北斗の相手を任されてしまったのだ。

「何でタイマン?」

危ないのでティアナ以外は下がることになったのだが、八神組の危険な人の相手をさせられてしまったティアナはこの状況を打破するべく頭をフル回転させた。

「ええっと・・・何か長い付き合いで参考になる私はいないかな」

交流が広くなったのか別世界の自分で対抗できるような者がいないか考えると・・・

「居た・・・一人」

ティアナが思いついたのはライダーティアナであった。

力達同様超人であり、悪の心があり、挙句の果てには銀の人に変身まで出来るという反則能力のオンパレードな人・・・おまけに北斗同様凶暴・・・

一回入れ替わった事があるのだが帰ってきた際ヴィヴィオに銀の人になってと言われ苦い顔をしたのは覚えている。

「すぅぅ・・・」

己を瞑想状態に置くティアナは・・・

「私はライダーティアナ私はライダーティアナ私はライダーティアナ・・・」

すると

「うるさいのよ!このハゲ蔵!!!」

何かに怒ったのかクロスミラージュをモード3の状態で乱射し始めた。

それを見た北斗は・・・

「・・・上等だ!」

対抗してティアナに向かって乱射し始める北斗。

その光景にもはや誰も入る事が出来なくなってしまう北斗対ティアナの図・・・

一方サイモンの場合

「うりゃあああああああああ!!」

「あああああああれええええええええ!!」

電車の中で局員に囲まれてしまったサイモンはこれまた対抗するべく持ち前の剛力で局員を投げ飛ばしていくと、指関節ボキボキと鳴らしながらファントムのフェラルドが現れた。

「誰だ?おっさん!?」

「よっしゃああ!!前回のファントム五重の塔の時に不参加だった鬱憤ここで晴らしてやるぜ!!八神組一の剛力のガンキンチョ!!」

「おもしれえ!相手になってやるぜ!おっさん!!」

ファントム一の怪力(作者はそう思ってます。違ったらごめんなさい)対八神組一の剛力の戦いの火蓋は切って落とされた。

「おりゃああああああああああああああああああ!!」

「だああああああああありゃあああああああああ!!」

列車内中央でぶつかり合うサイモンとフェラルド。すると勢い余って列車の壁をぶち抜いてしまい線路の隣にあった飲食店に風穴を開けて中に入るとお互いに構え直した。

「くらええ!!」

「うぎゃ!!」

フェラルドがサイモンの頭を掴み取り壁に叩き付け追撃を入れるとコンクリートの壁をぶち抜いた。

頭から流血するサイモンは強引に立ち上がりフェラルドと組み合って厨房に入ると積んであった皿を発見しフェラルドの頭に向かって叩き付けた。

だがフェラルドには全く効いていないのか二枚、三枚と皿で攻撃するがフェラルドの頭は頑丈のようだ。

「この野郎!!」

自棄になったサイモンは食材を置くためにある大テーブルを持ち上げそれをフェラルドに叩き付けた。

「やっと倒した・・・」

勝利したと思うサイモンが再び逃走しようとすると・・・

「うがあああああああああ!!」

大テーブル吹っ飛ばして立ち上がるフェラルド。しかも頭からは大量失血している。

「バケモンかこの人」

するとフェラルドはスープを煮る為の大鍋を構えるとサイモンに向かって振り下ろした。

「うぎゃ!」

余りの力に思わずぶっ倒れるサイモンは目の前にガスボンベを見つけると何かを思いついた。

再びフェラルドが攻撃しようとすると・・・

「ファイヤー!!」

「なぬ!?」

サイモンがその場にある物を使って火炎放射器を作ったのだ。

「見たか!アイディアよ!」

「お前・・・何処でそう言うの覚えてきた!」

「ふふふ・・・ウチにはこういう有り合わせの物で何でも出来ちゃう反則女がいるのだ!」

「なにを!それならこっちだって同じ様な女狐がいるんだぜ!!」

何故か口喧嘩になっていくと本題に戻り肉弾戦に戻った。

「「おりゃああああああああああああ!!!」」

置いてあった木製の椅子を振りかぶって胴体に同時にヒットし椅子は粉々に砕け散るがサイモンとフェラルドは痛いのをこらえて立っている。

二人のバトルは佳境に入っていき。

一方力は・・・

「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」

他二人に比べて真面目に逃げている力。人ごみの街中を逃げているのだが前方に管理局員が現れ路地に入るとちょうど工事中のマンホールの蓋が開いていたので下水道に逃げ込み力。

「ようっし!全ての出口を塞げ!!」

それを見て管理局員たちは力が入った以外の全てのマンホールに向かうが・・・

「せぇの・・・」

力が入ったマンホールから出てくると完全に局員の姿は無く周囲を見回しながら再び逃げ始めるのだが

「天誅南力!!」

「なぬ!?」

タイミングを見計らったかのようにツバサが力に向かって剣を振り下ろした。

するとツバサの手には『南力の全て』が・・・

「この本によると力ちゃんは方向音痴で迷路に入ると必ずと言っていいほど入口から出てくるって書いてあるから力ちゃんは下水道からすぐに出てくると推理したんだ!という訳で覚悟!!」

「うぎゃあああ!!ファントムっぽい奴がきやがった!?」

ツバサが襲い掛かろうとした瞬間ポケットからアイテムを取り出す力。

「こんな事もあろうと一応楓に準備させておいて良かった!!」

そう言ってアイテムを構えると先端からフック付ロープが展開し発射されると他人様の家の二階の屋根に引っかかりそのまま凄まじい遠心力で屋根の上に飛び移った。

ツバサの一閃は空を切り振り返るが力は迷惑この上なく忍者のように屋根から屋根に飛び移って逃げ始めた。

「おのれ!南力!!」

ツバサが力の追跡を開始する。

そんなこんなで管理局では・・・

「さぁ!はったはった!!」

影の守護者はやてがホワイトボードで力達が勝つか管理局が勝つかで賭けを始めていた。

「力達に1000円」

「管理局に2000円!!」

意外にいい感じに盛り上がっている。その横でミツキが・・・

「ふむふむ・・・流石力君粘るわね~」

意外と奮闘している力達に対し影の守護者はやてと二人だけ両者引き分けにかけるのであった。

数時間後

流石の力達も体力の消耗が見え始めたのでモニターで様子を見ると・・・

北斗の場合

「チッ」

影の守護者ティアナとの激闘の末弾切れになってしまった北斗。

更に・・・

「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」

こちらも魔力切れになってしまい息切れを起こす影の守護者ティアナ。

「あのアマ・・・結構骨があるじゃねえか」

「はぁ・・・はぁ・・・何であたしが一人で北斗の相手しなきゃいけないのよ・・・」

流石に数時間も攻防を繰り広げていた両者は体力の限界に達し・・・

バタン

っとダブルノックダウンしてしまうのであった。

サイモンの場合

「げぇ・・・げぇ・・・」

「ぶへぇ・・・ぶへぇ・・・」

顔中コブだらけでアザだらけで鼻血だらけのサイモンとフェラルド。

本人たちはともかくあれだけの攻防を繰り広げていた為、周りも甚大なダメージを負っているのだ。

「まあまだまぁだやれるぜぇ」

「かかぁぁああってきやぁぁがれぇえ」

余りのダメージに完全に呂律のまわっていないサイモンとフェラルドも疲労のあまりダブルノックダウンするのだった。

残るは力だけなのだが・・・

「どうしようかな・・・」

周りが捕まったのでいい加減面倒臭くなってしまったのか力は両手を上げてツバサに逮捕されようと決心したのだが・・・

それを許さない者が一人いた。

「あかん・・・力君が負けたら管理局の勝ちって事になって・・・ぱあや!!」

影の守護者はやてであった。

一人だけ引き分けに賭けていたので力が負けてしまえば儲けがパアになってしまうのだ。

すると影の守護者はやては楓印の時空電話をかけた。

やってきたのは・・・

「どうしたん?部隊長?」

はやてだった。

「組長!実は!かくかくしかじか!!」

一通り説明する影の守護者はやて。

するとはやては力にやる気を出させるための一発の交換条件を出した。

「んじゃ半分な」

「ふぇ!?せめて!2割(嫌や)んじゃ!3割(嫌や)んじゃ!4.5割!!」

「よっしゃ!」

そう言ってはやてが力の通信端末にかけると力がつまらなそうな顔をして出た。

「力君」

『何だよ!』

完全にやる気なくしている力はやてはこう呟いた。

「力君・・・負けたら一緒にお風呂♪」

その言葉を聞いた瞬間凍り付いた力は・・・

「ぎゃああああああああああああ!!」

物凄い絶叫を上げて逃げ始めた。

普通の男なら泣いて喜ぶシチュエーションであろう

・・・だが・・・

超絶的初心で女性恐怖症で裸恐怖症で女性アレルギーな力ちゃんは・・・

「それだけは嫌だ!!!」

地獄のような苦しみになるらしい。

尚、はやてにそんな気は毛頭なく単純に力の反応が面白いから言っているだけである。

さらに追い打ちを・・・

「今ならもれなく部隊長が付いてるで♪」

「はい!?」

いきなり振られてびっくりする影の守護者はやてだが、一応やる気にする為に・・・

「力君!ウチもや!」

そう言って力をやる気にされるのだった。

一方

「待てえ!南力ぃぃぃ!!」

その言葉を聞いて面白がったツバサがやる気満々になって力を追いかけ始めたのであった。

3日後

「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」

住宅街のゴミ箱のポリバケツの中から出てきた力。ツバサの追撃をかわしながらクラナガンを逃げ回っているがいつツバサが出てくるか分からない。

すると

「いた!!」

力の姿を見つけたツバサが力に向かって剣を振り回すが力は超人的な動きで回避し続け事なきを得たのだが・・・

1週間後

「くそ・・・俺はいつまで逃げればいいんだよ・・・」

街のど真ん中でいつまで経っても終了の合図が無いのでどうしていいか分からない力。

その時だった。

「何やってんのあんた・・・」

振り返るとそこには飛鳥の姿が・・・

「飛鳥!どうして!お前も参加したのか?」

飛鳥を相手にしなければならないと思った力だが、飛鳥はやっぱしと言った表情で頭を抱えるとこう呟いた。

「もう訓練終わったけど・・・3日前に」

「え!」

飛鳥の話によると力の担当であったツバサが

「もう飽きた!」

といって帰ってしまったのだ。

その結果無理矢理ドローと言う事となり訓練が終了したのであった。

「何でドロー?」

「ん?ツバサが本気を出したら勝ってたって事じゃないの?・・・ミツキさん譲りの悪ふざけがあるし・・・」

「そうだな・・・帰ろっか・・・」

「ラジャ」

そう言って訓練終了の遣る瀬無さと共に飛鳥に連れられて帰る力であった。

因みにユウはと言えば・・・

「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」

ビルの屋上で休憩しながら終了を待っていると・・・

ガチャリ

「え?」

行き成り手錠で繋がれたユウ。その先には・・・

「ユウちゃんつっかまえた~♪」

影の守護者ヴィヴィオの姿が・・・

「い!ヴィヴィオ!」

「姫ちゃん!ユウちゃん捕まえたよ~♪」

『良い子ね~それじゃあ約束のおやつね』

「わ~い!」

意外な人物の奇襲に流石のユウも反応できなかったらしい。

「姉貴!ヴィヴィオ使うなんて反則じゃねえか!」

『ユウ♪~今日までサボったお仕事溜まりに溜まってるからね~♪』

「どちくしょおおおおお!!」

こうして巻き込まれたユウも遣る瀬無さに帰っていくのであった。


「しまった!」


「どうした?楓」


「貯金が・・・無いです」


「なに!?どうすんだよ今月!」


「こうなったら・・・私が稼ぐしかないですね!」

次回!勇者指令ダグオンA’s どっこい 玩具で大騒動!


「という訳でお爺ちゃん!」


「て!俺が実験台かよ!」

 
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