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東方変形葉

作者:月の部屋
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幻想変化
  東方変形葉54話「いざ往かん、魔界へ!」

 
前書き
裕海「・・・というわけだから、この子たちを頼めるかな?」
永琳「いいわよ。輝夜の相手が来てよかったわ。」
鈴仙「それにしても、魔界なんて私は行ったことないですね。どんなところかさえも知りませんし。」
永琳「私もないわね。いいお土産を買ってくるのよ♪」
裕海「言われなくてもそのつもりだよ。俺も魔界は初めてだからまともに買い物できないと思うけど。」
てゐ「ゆ~み~、そんな弱音出しちゃいけないよ?ほら、今なら魔界案内ナビを何とお得の!」
裕海「はいはい、よしよし。」
てゐ「きゅ~っ!?」
永琳「てゐの攻撃を頭を撫でるだけで回避・・・すごいわ!」
裕海「何に感動しているのか知らないけど、とにかくよろしく頼むよ。」
 

 
博麗神社の裏山にある謎の洞窟。洞窟前は、景色こそは他と変わらないがひどく寂れている。妖怪でさえあまりの不気味さに目をそらす者も少なくないとか。妖精もあんまり近寄りたくはないようだ。
「“魔界と現世の境界”変化!」
行き止まりの洞窟の前で境界をいじる。すると、紫色のスキマのようなものが現れた。
おそらくこれが入り口なのだろう。
・・・入っても大丈夫だよね?よし、大丈夫。入っても死なない。多分。
「・・・わあっ!」
中は思ったより景色もよく、幻想郷と変わっている点と言えば建築デザインが少し違う程度だ。
魔界って、すごい殺伐としたところだと思ってた。
なんか、死体がごろごろ転がっていて見るからに地獄を思わせるところみたいな感じで。
「さてと、異変を解決しに行かなきゃな。」
「おにーちゃん、異変を解決しに行くの~?」
「ああ、そうだよ・・・なんでこいしがここにいるの!?」
もしかして、ここは地底だったりするのか!?いやいや、ちゃんと境界をいじって魔界に来たよな?
「おにいちゃんが洞窟に入って行くのが見えたから、ついてきちゃった(はあと)!」
そーかそーか。う~ん、まあこいしなら無意識で誰にも気づかれないし行動させてもいいかな?また境界をいじって送り返すのは面倒だし。
「仕方ないな、俺から離れるんじゃないよ?」
「うん!」
そう言って、こいしは背中に思いっきり抱きついてきた。
・・・そこまで密着しろとは言っていないのだが。
「ねえあなた、もしかして人間?」
後ろからそんな声がした。振り向いてみると、薄紫っぽい髪の少女がいた。こいしには気が付いていないようだ。
「ああ、そうだよ。」
「・・・いったいどうやってここに?」
「現世と魔界の境界をいじってきた、としか言えないね。」
「覚悟!」
ばっと弾幕を放ってきた。面倒なので、スキマで全て受け止める。
「なっ!?吸収された!」
「違う違う。何が違うかって、俺は魔界の異変を解決しに来ただけなんだよ。とりあえず話は最後まで聞きましょう。」
「それは私を倒してから!」
「倒した後じゃ話は聞いてもらえないけどね。」
さっきよりも量の多い弾幕を放ってきた。話を聞いているのか聞いていないのか。
「あ~、面倒だな~。まあ、想定内だけどね。」

神変「神無月の百鬼夜行」

高速弾が四方八方から飛んでくるという極めて危ないスペカ。威力も抜群である。
「ひゃわぁ!?いたあっ!」
被弾したようだ。あっさりだな。
「“束縛結界”っと。」
「あう~っ!」
ついでだから手足の自由も奪わせてもらう。
「さてと、話を聞いてくれる?」
「・・・はい。」
・・・はたから見たら、危ないプレイをしているように見えるけど、違うからね?



「・・・で、異変を解決するためにここに来たと。」
「物わかりが良くて助かるよ、最初からそうしてほしかったけど。魔界の神様にあったほうがいいと言われているから、そこまで行きたいんだ。」
話によると、その神様は魔界にあるものすべてを創ったらしい。
「う~ん、いまいち信用できないけど“異変”っていうのも気になるわね。いいわ、ついてきて。」
「ありがとう。あ、君は?」
「私?私はサラっていうの。あなたは・・・人間よね?」
まず、戦った後の感想がたいてい「あなた人間?」だからなあ。俺は永遠に人間だと思う。多分。
「俺は葉川裕海、一応人間だよ。で、こっちの子が古明地こいしっていう妖怪で~」
「え?誰もいないじゃ・・・うわぁっ!?」
「こんにちは~。」
無意識モードは無意識に発動するのか、それとも意図的なのか。多分どちらもだろうな。今回は多分後者。
「さてと。案内よろしく、サラ。」
「え、ええ。」



「ここよ。」
数十分飛んだところに、豪華な建物が建っていた。なんか、ビルのようなものがたくさん建っていたな。
「私は少し仕事があるからここでお別れ、魔界神様に無礼のないようにね。」
「ん、ありがと。じゃあね。」
サラと別れ、建物の中に入る。
幻想郷とは全然違うな。建設の仕方とか。
「こいし、無意識モードで俺の姿も見えないようにできる?」
「うん、できるよ。でもどうして?」
「戦うのはめんどくさいからね~。異変を解決する気力を残しておかないと。」
こいしは納得したようで「うん!」と頷いた。いいこいいこ。
そして内部。
・・・なんか、「まかいしんちゃんのおへやはあっち!」とかいう看板がいきなり床から生えてきたけどどうなってんだこの建物。
「・・・看板の通りに来たら、なんだかすごい扉に来たなあ。」
いかにも神様がいそうな扉である。
と、その扉が自動で開いた。何これ、自動ドア?魔界の技術って幻想郷よりも進んでいるの?
「は~い、魔界のアイドルしんきちゃんで~す!」
「・・・・・・」
帰りたくなってきた。
「ちょっと!?何か反応してよ!」
「さ~て、帰るか~。」
「ええっ!?」
ぐっと腕をつかんで帰るのを阻止しようとしてきた。
「俺は帰ったら・・・ご飯を食べるんだ。」
「死亡フラグを立てないで!あなたの捜している魔界神は私だから!」
ああ、面倒な。やっぱりそうだったか。
「紫から出動命令が出ているんでしょ?」
「出ていましたね。」
「過去形!?」
この人に会ったら急に帰りたくなった。わすれが~たきふるさと~・・・あ、俺の故郷は幻想郷じゃなかった。



「では、本題に入りましょう。」
「出会ったときに入るはずだったんだけどね。」
あなたが主犯でしょうに。
「紫から、異変が起きていると出動要請が出ているので文字通り魔界へ来たのですが異変らしきものが見当たりません。」
ここに来るまでに町の様子を見ていたが、全く変わったような気配はない。強いて言うなら、魔界だからか漂う魔力が濃いだけ。
「ああ、それね。厳密には“起きかけている”のよ。」
「というと?」
そう訊くと、魔界神さんはうすら笑いを浮かべた。
「その前に、あなたが本当に異変解決に貢献してくれるのか試させてもらうわ。夢子ちゃん!」
すると、魔界神さんの隣にメイドが現れた。
「この子と戦って、勝ったりいい勝負だったりしたら認めるわね。」
いつものパターンだ。万国共通なのかな?
「私は夢子。異変解決は悪いけど私に譲ってもらうわね、人間さん。」
「俺は裕海。全力でいかせてもらうよ。」
帰ったら紫に何かされそうで怖いし。
「2人とも、準備はいいわね?スタート!」
魔界神さんが、ぱちんと手を重ねて音をだし合図をした。
そのとき、ナイフがすごい速さで飛んできた。
「うわっ!?あぶなっ!」
「あら、予想外ですわ、スッとよけられるなんて。でも、安心するのはまだ早いわよ!」
ナイフをいくつも飛ばし、同時に弾幕も飛ばしてくる。一見簡単だが、避けるには少し苦労する。

変符「無限変幻~玉~」

片手を上にあげると、巨大な弾が一瞬で頭上に作られる。そして、そこから色とりどりの弾幕が不規則に飛ぶ。弾幕の量は多く、速度は普通ぐらい。
弾幕はナイフを跳ね返し、相手の弾幕を相殺し、こちらのペースに持って行く。
・・・異変解決に支障が出ないようにすぐに決めてしまおう。強引な手だが。

無間「恋の彗星~Lunatic~」

限りなく反則に近い。通常より光線が飛ぶ速度が速いのだ。
「ふにゅうっ!?」
よし、喰らった。このスペカも、一回喰らえばもう止まらない。
やめられない、とまらない、かっぱえび・・・はっ!



「・・・ずいぶん早いのね」
「完敗ですぅ」
夢子はへたっと座り込んでいた。
ちょっとやりすぎたかな?
俺の脳内辞典には、手加減のベクトルがたまに違っていたりするからね!あ、こいし、手加減くらいしようよみたいな顔でこっち見ないで。
「さすが、私と同じ創造神というだけはあるわね。」
「えっ」
「私ではあなたの神格の足元にも及ばないわ。もっとも、 “あなた”には勝てるでしょうけど。」
・・・この人、知っていたのか。
「それと、そこの可愛い妖怪ちゃんはいつまで見つかっていないと思っているの?」
「あれ~?この人にも通用しない?」
・・・こいしの無意識を破るとは、確かに大物だ。ん?俺も見破れるよな?ということは、こいしの能力は神力を持つ者には通用しないということかな?
「創造神ぐらいの神階になれば、あなたの術ぐらい容易く見破れるわよ?」
どうやら、創造神級の神のみのようだ。
「さて、そろそろ本題に入るわね?」
「二度目の仕切り直しですね。」
「異変が起きかけているというのはね・・・」
俺の発言を軽く無視し、話を進める。
軽くじゃないな、派手に無視されたな。
その時だった。
「大変です!例のやつがもう目覚めようとしています!」
「・・・!?なんですって!」
使用人らしき人が入ってきて、そんなことを伝えてきた。
・・・例のやつって?
「二人とも、例のやつのことが異変の犯人よ。現場に行ってから説明するわね!」



続く
 
 

 
後書き
長らくお待たせしました、54話です。
次回で解決するのかな? 
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