東方変形葉
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幻想変化
東方変形葉53話「決戦!?vsレミリア」
前書き
裕海「ふあぁ、もう朝か~。」
咲夜「そうね。」
裕海「うわあっ!?なんでここに!?」
咲夜「お嬢様から伝言を預かっております。」
裕海「ふあ?」
咲夜「『今夜6時ごろに私の館へ一人でこい。』とのことです。」
裕海「・・・内容がざっくりしすぎているような気がするのだけど。」
咲夜「まあ、来れば分かるわ。とにかく、何が何でも館へは来てもらいます。では、私はこれにて。」
裕海「・・・消えた。強引だなあ、レミリアも。そんなに外せない用事なのかな?」
「・・・というわけなんだよ~。」
「いつからいたのよ。」
朝はアリスの家でゆっくりすることにした。姫雪たちはまだ起きておらず、起きたら知らせが来るように仕掛けをしてスキマでアリスの家に来た。
「まあ、あのお子様吸血鬼が考えることだしね。」
「一応ちゃんと行くけど、レミリアって何気にすごい命令を下すからなぁ。今からフランと戦えだの、全員分の料理を作って持って来いだの。人づかいが荒いんだよね。」
とんでもない無茶振りをされたこともあったな。つまらないからとりあえず面白いことを言えとか。
「単に甘え下手なだけだと思うけど・・・」
「ん?なんて?」
「いえ、なんでもないわ。それにしても、男の子なのによくこんな時間に起きられるわね。男の子ってなんだかほっといたら一日中寝てそうな気がするもの。」
すごい偏見だな。・・・まあ、そんな人もたまにいるけどね。外の世界に居た時にある人が寝坊して、しかも学校に来たのが5時間目ごろで、なんでもその前まではずっと寝ていたとか。
「しゃんは~い!」
「あれ、上海。いつからそこにいたの?」
いつの間にか頭に乗っていた。軽くてわからなかった。ひょいと持ち上げると、人形なのにものすごくかわいい笑顔になっている。こうしてみると、きらちゃんやほたるちゃんとあんまり変わらない。
「どう?あれから人形のつくりを人間に近づけてみたの。」
あれからっていつからなのだろう。
「ああ、確かに。布の生地で作ったとは思えないな。本物の肌みたいだ。」
「魔理沙には『何でできてんだ?もしかして、人の皮を剥いで作ったのか?』なんて言われたわ。」
「なかなか怖いことを言うな。」
あははと、笑いながらそういう。
「しゃ~んは~い!」
「ん?ああ、はいはい。」
上海が机の上にペタッと座って頭に手をのせていたので、頭を撫でてほしいと言っているのがわかったので、頭を指で撫でる。
なんだか上海がスペカ戦でどんな働きをしているのか見たくなる。
その時、ウエストバッグに入っていた紙切れがぴらっと俺の顔の横に現れた。
「おっと、姫雪たちが起きたみたいだからそろそろ帰るね。紅茶ありがとう。」
「ええ、どういたしまして。ああ、そうそう。新しい人形の制作を頼もうかしら。」
「うん?ああ、いいよ。いつもの感じの人形?」
「いいえ、この紙に書いてあるからそれをお願い。」
紙を受け取る。たたんでいる紙を広げると、
「・・・『ゴリアテ人形』?うわっ、こんな巨大なのを作るの!?」
「簡単よ?普通の人形を作って、それから巨大化する術をかければいいの。あなたなら簡単でしょう?」
そりゃあ、できるけど。いったい何に使うんだ?
「もちろん、戦闘用だから少し頑丈に作ってちょうだい。」
「そ、そう。」
今さらだけど自分の作った人形が出征するのはなんだか複雑だな。
今日は家の中でのんびり過ごし、そして夜になった。紅魔館へ行くのだが、一人でって言っていたから姫雪たちはスキマで見物という形になった。
「「「裕海様~、がんばって~!」」」
「・・・別に戦いに行くわけではないんだけど。」
そう、この時まではそう思っていた。
「いらっしゃい、裕海。」
紅魔館に入ると、レミリアがカリスマを出しながら立っていた。カリスマ!いや、なんでもない。
「今日は何の用?」
「葉川裕海、お前を倒させてもらう!」
・・・はい?
「・・・なぜ?」
「だって、あなた人間よね?」
「そうだね。」
「私は吸血鬼。あなたは人間。つまり・・・負けっぱなしでは気分が悪いのよ、さすがにね。」
・・・忘れていた。レミリアが吸血鬼に誇りを持っていることを。スペルカード戦とはいえやはり人間の俺に負けが続いているのは喜ばしくないのだろう。
「だから、今日はこの場でしっかりと決着をつけたいと思うの。スペカは別に使っていいけど、どちらかというと“本気”で勝負したいからね。」
そのとき、妖精メイドがやってきて、
「ではお二人の決闘を始めます。3・・2・・1・・・」
「えっ、はや・・・」
「0!」
その掛け声とともにレミリアが体当たりをしてきた。それをばっと避ける。
「さすがは“未来読みの賢者”。これを避けられるなんて思っていなかったわ。」
「やるしかないか、仕方ない。それなら、こっちも全力でいかせてもらうよ!」
「来なさい。この美しき月の下で、お前は灰と化す!」
「君はこの変化の嵐に、どれだけ耐えられるかな!」
変化「真・弾幕結界~星散~」
星の形をした弾幕が一瞬でレミリアの周りを覆い尽くす。
「この程度、最速にして最強のレミリア様の敵ではない!」
ばっと光線を放ってきた。星々をとんでもない勢いで吹き飛ばして行く。
だが、狙い通りだ。
「っ!?」
吹き飛ばされた星々は障害物と化す。アステロイドベルト、つまり小惑星帯のようになる。
ある変化をいじって固定された星々は、外部の力ではどうにもできない。
お嬢様が裕海とたたかっておられる。正直、メイド長である私にとっては掃除の手間が増えるのでやめていただきたいが、お嬢様のご命令なのでそういうわけにもいかない。
「この程度、最速にして最強のレミリア様の敵ではない!」
裕海が仕掛けた星々は軽々とお嬢様の手によって吹き飛ばされた。裕海にしてはなんだが抜け目のある、あっさりとしたスぺカのやぶられかただけど・・・
「っ!?」
お嬢様が驚かれていている。なんだろうと思ったら、なんと、吹き飛んだ星々が館全体に散らばり、見事にお嬢様の動きを封じていた。星々は何らかの術をかけているのか、動きそうにはなかった。
まさか、一瞬の間でこんな作戦をおもいついたのか・・・!
「くくく、さすがだな。だが、私の機敏さはこんな障害物だらけでも意味を成す!」
びゅんびゅんと、お嬢様は目にもとまらぬ速さで飛び回る。星に当たっても痛くはないのだろうか。
「物質と反物質の衝突戦争」
2種類の少し大きな弾幕が、少量だが飛び回る。その2種類の弾幕同士がぶつかるとき、大爆発を起こす。
なんて恐ろしいスペカなんだ。数で油断してはいけない。
「ぐあっ!やってくれるじゃない。吸血鬼の力、こんなものと思うなよ!」
お嬢様が弾幕を強力で強烈な光線を放ちまくる。あれほどの威力の光線を無数に出しても、お嬢様はまだ疲れることはない。
光線は星々が反射板になって複雑に飛び交う。
「星を利用してきたか。おっと、危ない。“神力と爆発の比例変化”」
爆発が連続して起き、館全体を揺らす。こんな爆発が起きているのに、どうして館が壊れないのだろうか。
「あら、そんなもので私を倒せるとでも?」
ばっとお嬢様が武器を取り出した。
“グングニル”。北欧神話の主神オーディンが持つ槍。その槍で爆発をものの見事に切り裂いていく。
「・・・驚いたな。」
裕海はそういいつつ、懐から妙なものを取り出した。
「五行霊剣、金乗木!」
そう唱えると、謎の五角棒はなぜか一瞬にして日本刀のような剣になった。
「おもしろい、勝負だ!」
ばっとお嬢様が槍を振るう。
金属音が鳴り響いた。裕海はどうやらその武器を使いこなしていないようで、動きが鈍い。
「くっ、やっぱりいきなり勝負の時に使うんじゃなかったか。だけど、これなら!火乗金!」
すると、剣はまた一瞬で炎の剣へと変わった。
「なっ!?」
お嬢様はばっと後ろへ下がった。
「“火雷神来襲”!」
炎の剣は8つに分かれ、お嬢様に向かって襲った。お嬢様はグングニルを振り回し炎を追い払っているが、キリがなさそうだ。
「くっ!はあっ!!」
グングニルが大きくなり、炎を一振りで吹き飛ばした。
無間「恋の彗星」
裕海が、そばに作ったスキマに光線を放った。
と、いつの間にかお嬢様に向かって光線が飛んでいる。スキマを使ったようだ。
お嬢様はすいすいとよけていたが、だんだん光線が飛び交う速さが上がってきている。
「ぐっ!?」
と、お嬢様が散らばっている星にぶつかった。逃げ場所がもうなかった。
蝙蝠になって緊急回避をしたが、元に戻るとまた襲ってくる。
これは精神にかなりくるスペカだ。精神に弱い妖怪はもちろん、人間である私ですら恐怖といら立ちを覚えてしまう。
「があっ!」
ついに光線に当たってしまった。光線はそれでも容赦なくお嬢様に当たっていく。
「終わり、かな。無間の変化にとらわれたらもうおしまいだよ。」
「・・・・・・っ!!」
お嬢様は次第に意識を遠ざけて行った。
「よっと。」
落下したレミリアを受け止める。意識が切れる少し前にスペカを止めたのだ。
「・・・わかっているよ、ちゃんと。レミリアは俺の実力を測りたかっただけなんだよね?」
そういうと、レミリアは少し困ったような顔をした。
「あら、ばれていたの。」
それに気が付いたのは戦い始めた少しあとだ。
「ちょっとだけ、危険な運命が見えたから一度あなたの力を試してみたかったのよ。」
「危険な運命?」
「ええ、ちょっとだけね。まあ、結構先の話かもしれないわね。あなたはそんなに気にしないでいいわよ?あなたにあれだけの力があればその危険な運命にも正面から向き合えるわ。」
それは嬉しいが・・・いったいどんな運命なのだろうか。
「まあ、貴方に負けっぱなしだから鬱憤を晴らしたいというのもあながち嘘ではないわね。」
ぎゅっとレミリアの抱きつく力が強くなる。
「お嬢様・・・。」
「心配かけたわね咲夜。裕海ったら意外と容赦ないんだもん。」
そう言っているが、顔は笑顔そのものだった。
「裕海、力のあるお二人が戦っても館が壊れなかったのはあなたが結界を張ったからかしら?」
「・・・はて、何のことやら。」
一応結界を張って衝撃に耐えられるようにした。そうしないと、朝になったら「紅魔館無くなっちゃった、てへ☆」っていうことになるしな。
「ねえ、裕海。」
「ん?」
レミリアが甘えるようにしてひょいと身を起こし、俺の首筋にかみついた。
「つっ・・・」
一瞬の痛みの後は、たとえようのない快感のようなものが全身に広がった。
吸血鬼の“吸血行為”だ。文字通り血を吸い、自分の食事にしたり自分の眷属にできたりする。これは多分前者の方だろう。
「ぷはっ・・・あなたの血、結構おいしいわね。」
「そう?」
どんな味なのか聞きたいところだが、こらえておこう。
「さてと、そろそろ帰らないと。」
「あら、もう帰るの?」
レミリアが俺の体から離れた。強制するつもりはないのだろう。
「ん、結構疲れたから帰って寝るよ。じゃあおやすみ、今日は楽しかったよ。」
スキマを開き、家に戻った。
「・・・あの運命はいつ裕海に降るのかしら。早ければ・・・」
紫「やっほ~、裕海~!」
裕海「寝る」
紫「えぇっ!?このゆかりんが来てあげたのに寝ちゃうの!?」
姫雪「裕海様は疲れているの~!」
裕海「そーゆーこと。じゃあおやすみ。」
紫「いやいや、ひとつだけ話をさせて!」
裕海「なにさ」
紫「あなたに仕事よ。明日あたりに飛んでもらいたいわ。」
裕海「うん?また外の世界に異変?」
紫「いいえ、違うわ。今回は魔界の調査よ。」
裕海「魔界?」
紫「そう、魔界。魔界で異変が起きているみたいだから行ってきてほしいの。」
裕海「・・・魔界へはどうやって行くの?」
紫「博麗神社の、裏山のちょっとした洞窟に行って“人間界と魔界の境界”の変化をいじって魔界の入り口を作れるわ。ちょっと前は普通に行けたんだけど、封鎖してしまったから境界をいじらないといけなくなったの。」
裕海「それで、異変について調べればいいんだな。」
紫「ええ。できるなら魔界の神と話し合ってきた方がいいわね。」
裕海「ん、了解。」
紫「ああ、あと魔界へはあなた一人で行ってちょうだい。人形もなしでね。」
きらちゃん「え~っ?」
ほたるちゃん「なんで~?」
姫雪「行っちゃだめなの~?」
裕海「・・・別の世界の住民が何人もぞろぞろやってくると住民とかが魔界を攻めに来たと勘違いする、から?」
紫「ご名答、そのとおりよ。」
裕海「わかった。じゃあ俺が魔界へ行っている間は~・・・永遠亭に預けておくかな。それでいい?」
姫雪「う~っ、それで別にいいけど、早く帰ってきてね?」
きらちゃん「早く~」
ほたるちゃん「かえってきて~」
裕海「うん、ありがとう。」
紫「それじゃあ、魔界のことは任せたわ。じゃあ今日はゆっくり休みなさい。」
裕海「はい、おやすみ。・・・す~・・・」
姫雪「寝るの早っ!?」
続く
後書き
はい、オリジナル小説に熱を入れていたので更新が遅れました。
次回は魔界へれっつらごーです。旧作メンバーを書くのは次回が初めてになると思います。
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