ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~
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ラストバトル
前書き
SAO編クライマックス!!
「ゼリャアアアアッ!!」
鋭い叫びと共に、俺は真・王牙刀【天威】を茅場先生に振るう。茅場先生は左手の盾でそれを受け止める。
だが、そこに俺は蹴りを入れ、茅場先生を吹き飛ばす。しかし、それを防がれる。決定的な一撃すら入れさせてくれないとは………。
「この程度かね?」
「まだまだぁ!!!」
俺は接近し、剣を振るう速度を速める。秒間何発もの攻撃を撃ち込むが、どれも十字盾と長剣で弾き返される。
「負けられねぇ………この戦いだけはっ!!」
俺は真・王牙刀を垂直に構え、スキルを立ち上げる。<狩人>スキルカテゴリ<太刀>上位剣技<武神連斬>。
しかし、俺はその時失敗した。ソードスキルは茅場先生が造り出したもの。つまり、俺の狩人スキルは全て認識されているも同然。だが、放たれた技は止まるわけ無く、長剣や十字盾で防がれ、俺に硬直時間が課せられる。
「これで終わりだな。さらばだーーーーーーライト君」
動きの止まった俺の頭上に、茅場先生の長剣が掲げられる。その刀身はクリムゾンレッドの光に包まれていた。
(マジか………。俺は、プレイヤー達も守れないのか…………)
俺はその時、雷鳴騎士団のメンバーを死なせてしまった過去を思い出していた。
(俺は…………また、お前達の様な犠牲者を出してしまうのか………)
俺は死を、受け入れるーーーーーーー。
『しっかりしろ、団長!!』
(………この声…………)
その時、俺の目の前で有り得ない事が起きていた。俺の前に、死んだ筈の三人の団員達が、茅場先生の攻撃を防いでいた。
「何だ!?何が起きている!?」
どうやら、茅場先生から見れば、剣が不可視の壁に阻まれているように見えているのだろう。
(お前達………何故…………!?)
『決まってるじゃないすか。団長を助けにきたんすよ』
真ん中にいる、長剣を持った男が言う。
『団長の覚悟、私達にも聞こえました。貴方がどれだけ悔やんでいたかも』
左の方で男を支えている女の子が言う。
『あの時のは団長のせいじゃ有りません。団長は、もう悩まなくても良いんですよ』
右で長剣を支えている剣を盾で押す男性が言う。
(…………お前達………俺を、憎んで居ないのか?)
『憎むなんてとんでもねぇっすよ。団長は、俺達の仲間を救ってくれたんすから』
『私達が死んだのはあくまで自己責任ですよ、団長』
『それに、今団長がやるべき事は、悔やむ事でも、死んで詫びる事でも無いです』
『『『俺達(私達)はもう死んでしまいましたけど、団長には、プレイヤー達を解放すると言う義務が残ってるでしょう!?』』』
それを聞くと、俺の目には、涙が溢れていた。
(お前達…………とんでもねぇ大馬鹿野郎だな!!)
「『『『おおおおおおおおっ!!!』』』」
俺達は、長剣を押し返し、剣を盾に突き刺して破壊する。だが、その時真・王牙刀は折れてポリゴンとなる。
(今までありがとう………)
俺は刀に礼を言い、茅場を睨む。
「………剣を止められ、今度は盾を壊される………か。恐れ入ったよ、ライト君。だが、君もこれで武器は全て使いきった。私の勝ちだ」
「はっ!!あんまり自分を過信するなよ、茅場先生。今の俺には………仲間がいる!!」
そう叫ぶと同時に、背に二本の刀が出てくる。それは、ユイから与えられた、白い刀・ユイティア、そして、死神から得た黒き刀・死斬・鬼神刀。それらを抜き放ち、重ねると、一本の剣に最構成される。それは、持ち手は白く、刀身が黒と赤に分かれた、太刀だった。
「神刀・希望の(・)未来(フユーチヤー)!!」
それは、彼らから託された、一振りの刀ーーーーーーー絶望を破壊する太刀。
「これで、全てを終わらせる。ーーーーーーーもう、誰も悲しませない為に!!」
そして、神刀・希望の未来に三種の光が包まれる。
「行くぞ、等々力!!」
『ほいきた、団長!!』
そう言うと、俺は地を蹴り、茅場先生に接近する。
「『<大剣>剣技・アバランシュ・リバース!!』」
途端、太刀が大剣へと変化し、神速の2連撃を放つ。
「ぐお………っ!?」
茅場先生はそれを長剣で防ぐ。だが、まだだ!!
「次、ユキナ!!」
『了解!!久々に魅せるわよ、団長!!』
「ああっ!!」
下がった茅場先生を追撃するかのように、次のソードスキルを放つ。
「『<細剣>剣技・スピニング・ダンシング!!』」
今度は大剣から細剣へと変わり、踊るように連続で細剣を振るう。
「うおおおお………っ!?」
またも長剣に阻まれるが、最後の蹴り上げで、剣を蹴り、下がらせる。
「さぁ、お次はお前だ。ライオ!!」
『最高のショー、お見せします』
「『<斧>スキル・アクセル・デトネーション!!』」
そして、細剣から両手斧に変わり、縦横無尽に振り回す。
「こんなことが…………っ!?」
長剣で防いでいた茅場先生の顔に焦りが見えた。
「絆………これが、貴方に無かった物ですよ、茅場先生!!」
そして、最後のスキルの位置に、斧を持っていくと、太刀に戻る。
『『『いっけぇええええ!!団長ぉおおおおおお!!』』』
「<太刀>スキル・二刀流………」
そして、二本の刀に戻った太刀を握りしめ、最後の加速に入る。
「甘いよ、ライト君!!」
だが、向こうも神聖剣ソードスキル・ユニコーン・チャージで俺に迫っていた。
「エックス・スラッシャー!!」
「ユニコーン・チャージ!!」
お互いがすれ違い、少しの間が空く。
「やはり………君には、勝てなかった様だ…………」
ずしゃっ、と音がし、茅場先生が倒れる。だが、
「いえ………今回は、痛み分けです………」
俺も地面に倒れ、そのまま意識を失った。だが、俺の耳にははっきりと、聞こえた。
ゲームはクリアされましたーーーーーーー
再び目を覚ますと、俺は水晶の板の上に寝ていた。
「何だ、ここ…………」
俺は周りを見ると、妙な物を見る。それは、崩壊しているアインクラッドだった。
「どう言うことだ?」
「見たままの通りさ」
声がした方を見ると、白衣を着た茅場先生が現れる。現実世界の体のまま。
「中々に絶景だろ?」
「確かに、絶景ですが………どうなっているんです?」
「比喩的表現………と言うべきかな」
先生の声は静かだった。
「現在アーガス本社地下五階に設置されたSAOメインフレームの全記憶装置でデータの全消去作業を行っている。後十分もすればこの世界の何もかも消滅する」
「………中にいたプレイヤー達はどうなったんですか?」
「心配は入らない。先程生き残ったプレイヤー、六一四七人のログアウトを実行した。………勿論、君も含めて、だ」
それを聞くと、俺は驚いた。
「何故です?俺は貴方に殺されたはずだ。脳も焼ききられてーーーーーーー」
「君が私を破った報酬、と思ってもらえれば良い。流石に、弟子を殺すのは些か後味が悪いからね」
「………最後の最後まで、貴方のやることはよくわかりません。現実でも、バーチャルでも」
「………そうかも、知れないな」
茅場先生はふっ、と笑う。
「これから、どうするおつもりですか?」
すると、茅場先生は歩きだし、言う。
「私は………この世界を探しに行くよ。また、何処かで会おう。さらばだ、ライト君」
そうして、茅場先生は消え、俺はアインクラッドの崩壊を見届けてから、ログアウトした。
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