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ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~

作者:村雲恭夜
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骸骨の刈り手

全員が部屋に走り込み、自然な陣形を作って立ち止まった直後、背後の扉が閉まる。これで、俺達は袋の鼠と言うわけだ。
さて、全員中央に居るわけだが、何故かボスが出現する様子が無い。俺は細心の注意を払い、周りを見る。そして、そこにガサッ、と言う音が。
「「上だ(よ)!!」」
俺と同時にアスナが叫ぶと、全員が頭上を向く。
そこには、ドーム天頂部に張り付いているボスが居た。だが、その姿は異常にでかい。今までのボスより、巨大な姿だった。その両手には巨大な鎌。
(…………ザ・スカルリーバー。最後のクォーターポイント最大のボス。その破壊力は桁違いだったな)
俺はモンスターの情報を改造した識別スキルで見ていた。
すると不意に、全ての脚を大きく広げーーーーパーティの真上に落下した。
「固まるな!距離をとれ!!」
ヒースクリフの鋭い叫び声が、凍り付いた空気を切り裂く。それにより、全員が動き出すが、落下してくる百足のちょうど真下に居た三人の動きが僅かに遅れた。
「馬鹿が!!」
「ライト!?」
俺はポーションを飲む振りをして<ブースト>を使用。筋力・脚力を強化し、敏捷値と筋力値を最大に引き上げる。
「うらぁ!!」
三人を掴み、キリト達の方へ投げる。同時に、俺の真上に百足の脚が現れる。
「だぁあああああっ!!」
俺は無理矢理、足を一歩後ろに突き刺すと、それを軸にし、右足で一歩踏み切る。すると、瞬間的に加速度が増し、落下範囲から抜け出す。
だかしかし、スカルリーバーは俺を狙って、その鋭利な鎌を横薙ぎに振り下ろす。
「舐めんなァ!!」
俺は素早く真・王牙大剣【一天】と巨大な盾を交差し、その一撃を防ぐ。
「ぐおっ!?」
だが、余りにも強大な力に耐えきれず、俺は吹き飛ばされ、真・王牙大剣は折れ、ポリゴンとなる。
「ライト!!」
「平気だ、武器が折れただけだ」
俺はミザールにそう言うと立ち上がる。
「武器が一撃で壊れるなんて………無茶苦茶だろ………」
掠れた声でリンドウが言う。
だが、そこにスカルリーバーは新たなプレイヤーの一団目掛けて突進を開始していた。
「うわぁあああー!!」
その方向に居たプレイヤー達が恐慌の悲鳴を上げる。再び骨鎌が高く振り上げられる。
だが、そこに俺とヒースクリフが割り込む。
「「させん!!」」
お互いの強大な盾が、鎌を迎撃する。
「ふっ、久しいな。君とこうして共闘するのは」
「今回だけだ。無理でも付き合って貰う!!」
俺達は盾を押し、鎌を押し返す。
しかし、もう一つの鎌はプレイヤー一団に突き立てようと迫っていた。だが、俺は迎撃しなかった。だって、そこには最強夫婦が居るんだからな。
「さぁて、狩りの時間だ!!」
「行くぞ、ライト君っ!!」
俺はそれに、真・王牙銃槍【震天】を構えて答えた。








































ザ・スカルリーバーとの戦闘は一時間以上に及ぶ熾烈な戦いとなった。
時折ポリゴン破損音や光が所々見えたとき、俺は心を痛めた。
無限にも思える激闘の果てに、遂にボスモンスターがその巨体を四散させた。だが、その場に喜びを上げる者は居らず、皆倒れるように床に座り込む。立っているのは俺と、ヒースクリフだけだ。
「終わり………か。これはな」
俺にはまだ、殺らなくてはならない相手が居た。俺はミザールに近付く。
「ライト………」
「ミザール。済まん、約束は果たせそうには無い………」
それを言うと、俺は残った真・王牙刀【天威】を抜き放ち、垂直に構える。狙いは、ヒースクリフ。
「天城流・太刀剣技一ノ太刀…………」
そして、構えながら加速する。それに気付いたヒースクリフは慌てて盾で防ごうとする。しかし、ライトの太刀はその盾を透過するように消えた。
「【霞・古狼(かすみ ころう)】!!」
その一撃は、ヒースクリフの身体を切り裂くーーーー前に紫の障壁が防ぐ。
「やはりか………。俺の予想は外れていなかった」
俺は真・王牙刀を構え直しながら下がり、言う。
「<他人のやってるRPGを傍から眺めて居るほど詰まらない物はない>………でしたよね、茅場先生?」
途端、キリト達とライガ以外は凍り付いた様な静寂を余儀なくされた。
「………まさか、君がこの世界に足を踏み入れてるとは思わなかった、来人君。何故、分かったのかな?」
「答えてやる。1つ、アンタはゲームの情報に詳しすぎる。2つ、アンタはあの時、速すぎた。バレては行けないのが、逆に俺に駒を与えてくれた。3つにアンタは暫く居ないときがあった。俺はアンタとは昔にリスト登録したからな。不思議に思ったが、今考えればログアウトしてたと仮定が出来る」
俺が言い終わると、茅場は苦笑する。
「………やはり、彼女達とは別の才能があると言うのは時に身を滅ぼす事にあったらしい。まぁ、予想外もRPGの醍醐味の内………と言うことか」
そして、ヒースクリフはゆっくりとプレイヤー達を見回し、堂々と宣言した。
「確かに私は茅場晶彦だ。付け加えれば、最上層で君達を待つ筈だった最終ボスでもある」
「アンタは趣味が悪いな。最強が最悪になるなんて。悪趣味でしかない」
「そうかい?RPGでは定番だと思うがね」
途端、ヒースクリフが左手を振るーーーーーーー前に俺が声を上げる。
「システムコマンド!プレイヤー一群を転移!!場所はコリニア!!」
すると、その声に反応し、俺とヒースクリフ以外は消える。転移したのだ。
「………何のつもりかね?」
「俺の仲間達に俺が死ぬ姿を晒したくないだけだ。さぁ………」
俺が真・王牙刀を構えながら、ジンオウαのスキル・力の解放+3を発動した。

「ここからは、俺の狩り(クエスト)だ!!」

「良いだろう、掛かって来るがいい!!」

途端、ヒースクリフの頭上に不死属性解除のメッセージが現れ、同時に、二人のHPバーがレッド手前に設定された。
それを合図に、俺達は剣を交えた。 
 

 
後書き
いよいよラストとなるSAO編!!
果たしてライト君はどうなるっ!!
次回、ラストバトル!!見逃すなっ!! 
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