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ダブルアクション

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第二章

「気軽に出来たけれど」
「二人だとね」
「息を合わせないといけないし」
「動きも」
 それもだと話すのだった、二人はスケート場から出て今は席に座っている。
 そうしてだ、淳は麻友にこう言った。
「あのさ、俺としてはね」
「加藤君は?」
「うん、やっぱり一人の方がね」
「楽っていうのね」
「やるにしてもね」
 そうだというのだ。
「そう思うよ」
「ええ、私もね」
 麻友もだ、淳と同じことを感じていた。
「一人で滑って舞っている方がね」
「楽だよね」
「そう思ったわ」
「そうだよね、ただ」
 確かに一人の方が楽だ、しかしだった。
 淳はそれでもだ、こう言うのだった。
「面白かったね」
「ええ、二人だとね」
「何か普段と違ってね」
 その一人の時と、というのだ。
「二人で滑ると」
「一体感?」
「そうそう、それがあるよね」
 こう麻友に言うのだった。
「何かね」
「そうよね、私実はね」
 麻友は淳のその顔を見つつ話した。
「ペアをしようって思ったのは」
「そうそう、それどうしてなの?」
 淳も麻友にその理由を尋ねた。
「どうしてそう思ったのかな」
「テレビとかで観ていると綺麗だったから」
 男女のペアで滑るのが、というのだ。
「バレエみたいで」
「実際にフィギュアってそうだしね」
「そう、バレエから生まれているから」
「そのこともあってなんだ」
「そうなの、してみたいって思ったのよ」
 ペアでのフィギュアを、というのだ。
「それでやってみたけれど」
「確かに大変だけれどね」
「それでもよね」
「楽しかったね」
「ええ」
 これが二人の感想だった、最初にペアで滑ってみて。
 淳も麻友もだ、このことを二人で言うのだった。
「よかったわね」
「そうだね、それじゃあ」
「これからもしてみる?」
 麻友から淳に提案した、彼にその顔を向けて。
「そうする?」
「そうだね、じゃあね」
「ええ、それじゃあね」
 こう二人で話してだ、そしてだった。
 実際に二人で練習を続けた、確かに動きはぎこちない。二人共息が合っておらずばらばらな感じだ。だが。
 次第にだ、少しずつだったが。
 息が合ってきて動きもまとまってきた、それは津山も見て言った。
「いい感じになってきたわ」
「そうですか、全然と思いますけれど」
「それでもですか」
「ああ、少しずつだけれどな」
 それでもだというのだ。
「よくなってきているな」
「じゃあこのままですね」
「私達二人で滑ってもいいですね」
「君達がそう思うのならな」
 それならというのだ。 
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