| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

久遠の神話

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第九十八話 道場にてその十三

「既に」
「そう考えですか」
「目覚めているからこそ」
「彼等を戦わせているのですか」
「あの方と共に生きる為に」
 全ては、そうした口調の言葉だった。
「それ故に」
「彼等を犠牲にすることも」
「わかっています」
 全て承知しているというのだ。
「罪人であるが故に」
「タルタロスに落とされるべきですね」
「その彼等だからです」
 神話の頃から戦わせているというのだ。
「どう使おうといい筈です」
「確かに彼等は罪人でした」
 聡美は過去形で言った。
「ですが今は」
「違うというのですね」
「そうです」
 だからだというのだ。
「彼等の魂は数えきれないだけ生まれ変わり」
「その罪もですね」
「罪はその魂だけのことではないでしょうか」
 聡美はこう声に問うた。
「違うのですか」
「私はそうは思いません」
「永遠にですか」
「残ります」
 生まれ変わろうとも罪はというのだ。
「ですから」
「そうなのですか」
「彼等はあと少しだけ」
 戦ってもらうというのだ。
「そうしてもらいます」
「お考えは変わりませんね」
「はい」
 全く、という口調での返事だった。
「それは」
「では私達もです」
「私を止めるのですね」
「今度こそ」
 この戦いでだというのだ。
「お姉様をお止めします」
「どうやら私と貴女達は」
 声に覚悟が宿った、そうして言うことはというと。
「どうしても対立しますね」
「それはお姉様の本意でしょうか」
「本意ではありません」
 それは全く、というのだ。声にしても。
「そのことは」
「そうですね、私達もです」
「しかし。本意でなくとも」
 声はまた決意をそこに込めて語った。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧