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久遠の神話

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第九十八話 道場にてその十四

「私はです」
「戦わせるのですね、彼等を」
「そしてどうしてもというのなら」
「お姉様がですね」
「貴女達と」
 強い言葉であった、実に。
「そうします」
「そうですか」
 聡美は声の返答に悲しい顔になった、だが。
 それでもだった。彼女もまたそこに覚悟を入れてそのうえで声の方に顔を向けたまま相手に語るのだった。
「わかりました」
「そういうことになりますね」
「そうですね、本当に」
「決意したならば」
 その時はだった。
「私は変えないので」
「一度お決めになられたことは」
「私は変えません」
 決してというのだ。
「それが私なのですから」
「神話の頃からですね」
「そうです」
「私もそれはわかっています」
「私のそのことが」
「だから覚悟しているのです」
 今実際に、というのだ。
「それでも。出来れば」
「避けたいのですね」
「私にとってお姉様はそうした方ですから」
 だからだというのだ。
「そう思っていますが」
「私もそれは同じです」
 声もだった、聡美と同じ気持ちだった。
「そのことは」
「そうですね、私達は本当の姉妹よりも強い絆を持っていますから」
「同じ月の女神として」
「それ故に」
「しかし。それでも」
「あくまであの方を選ばれるが故に」
 また悲しい顔になる聡美だった、どうしてもそうなるのだった。
「では」
「またお会いしましょう」
「戦いは間もなく終わります」
 そしてその時にだった。
「またお会いしましょう」
「そうなりますね。それまでにも何度かお会いするでしょうが」
「最後には」
 この戦いの、というのだ。
「決着をつけましょう」
「私達の間で」
 最後、その時に。
「そういうことで」
「それでは」
 こうした話をしてだった、女神達も今ハお互いに別れた。
 中田と上城の闘いは終わり中田は彼の剣を己の足元に置いた、こうしてまた一人剣士が戦いから降りたのだった。


第九十八話   完


                             2014・2・3 
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