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魔法少女リリカルなのは 世界を渡りあるく者

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第一章 ジュエルシードを巡って 〜海鳴 P・T事件〜
  第一話 始まりはいつ、どの世界だって突然なものだ

 
前書き
第一話ですね


地の文が未完成なので暖かい目で見てください....


第一章
何処にでもいるような気がする普通の少年が主人公.....

そんな事はあるわけなく、異能の才能だけはある少年 遠藤蒼炎

記憶喪失となった彼がいた世界は 海鳴

そこで彼は出会った。白い衣を纏いし少女達に

彼女達と共に進む中で何を見て、何を感じるのか

これはそんな少年の物語

2015/11/17 改稿しました 

 
"なあ・・。なんで私はお前を拾ったんだと思う?"


深く沈む。視界が霞み、記憶が薄れ、明瞭だった姿は影となり薄くなっていく。大事な物だったのに、俺はその問いに対する答えすらもう思い出せない。この会話がどういう状況で、どういう風景を見ながら言葉を交わし合ったのだろうか

"確かにそれも一つある。だが一番の理由は他にある。お前が私に似ていたんだよ"

大切だった人。俺よりもずっと生きていて、でも容姿から判断できる年齢は俺とそこまで変わらなかった、気がする。姉貴分、と言っても通じた気がする。もうその姿は思い出せず、文字でしか、記録としては辛うじて残っている程度

"強くあれ、私はそうお前を育ててきた。もっとも、まだまだ私の方が強い。でも、せめていつか、遠い未来だっていい。お前が本当に守りたいもの、譲れない物が心の中にできた時に、それを守れる位の力を与えられるようにと、そう願って育ててきた"


この後、俺は頭を撫でられた様な気がする。そして脳裏にはほんの一瞬だけ、笑顔の女性が浮かび上がり、その像が消えた瞬間に、今まで感じていた沈没感と浮遊感が消え去った

俺は何故か、頭の中に浮かんだ人に対して感謝を伝えるべきだと感じ、その言葉を口に出す

"ありがとう 師匠(先生)"

その言葉がトリガーとなったのか、この瞬間に俺とその人を繋ぐ最後の記録が閉ざされ、覚えていたということすらも思い出せなくなってしまった

ーーーーーーーーーーーーーー


「う.....く」

目をゆっくりと開ける。視界に広がったのは満天の星空だった。俺は一先ず上半身を起こそうとして、体に痛みが走った

我慢できる程度だったので、無視して体を起こして立ち上がる。足がふらつくが、近くにあった木を支えにすることで落ち着いた。周りを見渡すが見えるのは森林のみ。人の気配もないし、都会特有の人工的な物でもないだろう


恐らく天然の森であるということを確信するのにそう時間はかからなかった

(現状把握から。俺は一体....少し待てよ。何をしていたとか、どうしてこうなったとかそういうレベルの問題じゃない)

「まじか...」

最悪、なのだろう。自分の名前以外覚えていないということに気がついてしまった。動揺するが、一旦深呼吸をして落ち着く

「俺の名前は遠藤お...いっつ!」

頭に強烈な痛みが走る。支えがなければ崩れ落ちていただろう。こめかみを手で押さえる。そうすることで気休めでも少し楽になった気がした。痛みが収まったところでもう一度

「俺の名前は、遠藤蒼炎...なのか?」

俺の中の何かに引っかかるが、どうでもいいと思い直す。今大事なのは名前よりも今自分がどうなっているかの把握だ。名前については後で考えよう

その後もしばらくは記憶に関して、何か思い出せないか頑張ってみたが、重要そうな物はなに一つとして思い浮かばなかった。幸い、日常で使う様な知識は覚えていたので一先ず命を繋ぐことは出来そうで安心する。ただ、知識の中にある常識という範囲と今の自分の行動を照らし合わせてみると、自分でも驚くほどにかけ離れていた。まあ、こんな状況に陥っている時点で一般人のような生活をしていなかったのだろうと無理やり納得して、次に進む

「目下の問題をまとめよう。体に関しては特にない。体を動かす時に今までの感覚とずれている、気がするだけかもしれないけどこれも一応問題としておこう。精神も可笑しくなってない。こっちは知識通りかな?」

生命に直接関わる様な問題がなくて良かったと胸を撫で下ろす

その後、暫く経った後に気がつくのだが、この時俺は失念していることがあった

それは肉体年齢と精神年齢が明らかに釣り合ってないということ。といってもこれに気がついたところで対処できていたのか、という疑問があるが

と、ここまで整理したところで根本的な問題が解決してないのに気がつく




「さて、この森の中からどうやって抜け出そうか...」

この状況、どこからどう見ても遭難である


ーーーーーーーーーーーーーー

「この水....飲んでも平気かな?」

見た目綺麗だし、天然の森の中で湧き出ている水だ。日本ならある程度は平気だろうと思うけれど、それでもやっぱり怖いものがある。直感は問題ないと言っているが、どうしようか

「といっても、飲まなきゃ死ぬしな...」

覚悟を決めて口に含み、一度口の中を洗い流してから今度は飲むために水を口に入れる。喉が渇いていたからかその水はとても美味しく感じた

一先ず水を確保できたのは大きい。これで餓死を少し先延ばしにできた。迷ったとしてもここまでの道を覚えるか、なにかしら目標をつけて戻ってこれるようにしておけば最悪は避けられるだろう。しかし、このままじゃジリ貧である。食糧は森にいるであろう動物を狩る、という方法が最終手段としてある。けれど記憶に関してはどうしようもない。使える知識を参考にすると、時間が経てば自然に回復するということもあるにはあるらしいがそんなことは起こらない、という気がしてならない

今後の方針は決まっている。なんとかしてでもここから抜け出すこと、あるいは誰かに見つけてもらうこと。けれどもがむしゃらに行動しても自分の首を絞めるだけなのは目に見えている

さてどうするかと悩み、自然と頭の後ろに右手を送ったところで、耳になにか硬いものがぶつかった。明らかに皮膚の感触でも、骨の感触でもない。腕を目の前に持ってくると手首に知らない、知識にすらない物がそこにはついていた

宝石が円環状に繋がれており、その色は淡く黄金に輝いている。アクセサリーの類、なのだろうか。だが、こんな形、色のブレスレット、いやブレス念珠と言うべきか。ともかくこんなアクセサリーは見たことがない。俺の今身につけている服に関しての知識はある、ということはこういう着るものや装飾品についての知識が無くなっているということではないのだろう

では、何故?知らないということはこの腕輪は俺が気を失っている時に別の誰かによって付けられたということなのだろうか

取り敢えず取り外してからもっと観察しようと思い、それに手を置いた瞬間、輝きが増して視界が黄金に染められる。そしてその中から聞き慣れない言語ーー英語なのだろうかーーが聞こえてきた

〈初期起動プロセス開始 マスター認証......認証登録完了 続けて機体情報確認 プロセスエラー アドミニストレーターによる制限を確認 解除を行ってください 補助AIはコールドスタンバイに移行 デバイスには機能制限が行われます 起動には第一ロックを解除してください〉


言われたことの半分も理解できず、さらにいきなりのことだったので訳が分からず頭がフリーズする。幸い、IT方面の知識もあったので聞き取れた部分は全て理解できたが、それでも混乱している

「なんだこれ」

語彙が足りないとかそういうレベルではなく、本当にこの言葉しか頭に浮かばなかった。同時にこのなにかが腕から外れないことも理解した。何かで固められているかのように動かない。外すのは諦め、付けたまま観察する。先程とは異なり、今は光がゆっくりと点滅しているようになっている。なにか仕組みがあるのだろうとは思うが、悩んでも分からないので思考を止める。よくわからないことで頭が一杯になり、一旦落ち着こうと深呼吸をする

「すぅ...はぁ.....?!」

吐き終えるのと同時に背筋になにかが走る。だがそれは悪寒などの気味悪さからくる物ではなく、むしろ自分の中でなにかがかっちりと重なった。俺は半ば無意識に感じた物の正体を呟く

「魔力...。あっちか?」

自分の思考に疑問を持つこともなく、何かに導かれるように森の中を走り出す。暫く走ると、頭の中に声が響く

『誰か...助けて..下さい』

声は弱々しく、今にも泡と消えてしまいそうなイメージが頭の中に浮かぶ。それが聞こえてからはより明確に向かうべき場所を意識して、足に力を込める

その声は繰り返されており、それを聞きながら無心に走り続ける。暫くすると、他よりも少しだけ開けている場所が見えた。その中央には小さな物体が見える。近づくにつれて、それは倒れている小動物であるということが分かった。同時に、こいつがさっきのをやったのだということもなんとなく理解した

すぐ近くまで寄り、よく観察する。体の至る所に傷があり、出血までしている。姿はフェレットに見えるが、首にかけているアクセサリーのせいで本当にフェレットなのだろうかと疑う

俺が右腕につけている腕輪、その宝石のうちの一つだけを抜き出したような形、色は黄金ではなく赤色だった。しかしやはりこちらも少し光を放っている。その光が、この腕輪とその宝石が同種の物なのだろうと感じさせる

一先ず、知識としてある応急処置をしようとしてフェレットを抱きかかえようとして、手を伸ばし

「あれ?」

そのまま、地面に倒れこむ。目を開けるのも困難になり、次第に意識すらも無くなっていく

完全に意識が無くなる直前、俺が意識を手放すまいと必死になっていた時、それは言葉を発した


〈第一ロック解除を確認 システムリブート 補助AIはホットスタンバイへ移行 スタートアップ レディ インテリジェントデバイス アルティメイタム起動プロセス完了〉

今度は何故か容易く全てを聞き取り、理解することができた。それについての疑問を挟む余裕もなく、俺は意識を手放してしまった
 
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