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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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六章
  堺から京へ

ルイス・エーリカ・フロイス。正史ではルイス・フロイスではあるが、明智十兵衛という日本の名前を持つ、奇妙な少女の連れが増えた俺達は、その後五日間でという短い期間に堺の町を見学した。会合衆と呼ばれる大商人とも面を通し、エーリカの知人の南蛮商人とも関係が持てた。エーリカにも通訳をしてもらったが、沙紀にも通訳をしてもらったので助かった。お蔭で武器・弾薬などの供給元を確保出来たって久遠は喜んでいたけれど、個人的にはそれ以上の収穫があった。日本に無くヨーロッパにある、果物や家畜何かを手に入れられるように、交渉出来たからだ。無論病原菌とかも対策もしないといけないが、そこは俺達の知恵で何とかした。

久遠も堺を見学した事で色んな勉強ができたそうだ。尾張のみの感覚だった久遠の考え方も、実際に銭を中心とする堺の運営方法。または経済とかの見学もした事によって、更に具体的な構想として昇華する事ができた模様で、久遠は稀に見る程のご機嫌だった。嬉々として会合衆に質問し、その答えを真剣に聞いている久遠の横顔を見た俺はいつまでもついて行こうと改めて思った。勉強家だなと思っているが、どこまで高みを目指すんだろうかが分からない。それから堺から京に行くために、沙紀はトレミーに戻した。ひよ達はもっとお話したいと言っていたが、沙紀も仕事がるんだと言ってから戻した。早朝よりまだ暗かったが、堺から出て馬を走らせて一路京へ。そして京の町について見た物は・・・・・。

「京都、って確か京の都とか言われる日本で、一番優雅なところのはずなのでは?」

尾張清州、美濃井之口、そして堺。それなりに見てきた町の中でも、一番静かで、一番見窄らしい町だった。

「応仁の乱以降、京は寂れる一方何ですよ。何でも公方様は言うに及ばず、畏き所でさえ、その日の食べ物にご苦労なさっていると聞きます」

「戦乱の世とはいえ、お労しい限りですね・・・・」

「そうかな?庶民達は生きるのに必死になってお金を稼いでるんだよ。お金が欲しければ、稼げば良いのに」

「雲高き所に在す方々に、それは無理だよ、ひよ」

「いや。ひよの言う通りである。今苦労しているというのならば、その苦労を覆すために動けば良い。人に跪かれる事に慣れ、野性を無くしてしまったからそのような事態に陥るのだ。・・・・自業自得であろう。必要ならば手に入れる。手に入れるために困難があるのならば、その困難を己の力で粉砕する。・・・・生きるとはそういう事ではないのか」

まあ確かにそうだけど、悔しくや苦しいと思っても自分が動かなければ、自分が変わらなければ、現実は何も変わらないであろうな。現代でもそうだが、他者の指図を待っていたり他者の好意に縋るというのは、いずれ身を滅ぼす。自分で考えて行動しなければ意味がない。

「ですが、それは少し危険な考え方です。欲しい物を手に入れるために、何をしても構わない・・・・そういう考えにも繋がってしまう」

「そこまでは言わん。世には世の常がある。そしてその常というモノを後生大事に抱えている奴らも大勢いる。そういった奴らを敵に回すのは厄介でもあるし、面倒でもあるからな」

「その言葉を信じたくも思います・・・・」

ん?誰か来るな。俺の後ろから来た者は、長髪の女性がぶつかろうとしたので俺は受け身となって耐えた。

「お頭、大丈夫ですか?」

「お怪我はありませ・・・・うわー、綺麗な人!」

綺麗な人だと言ったひよに対して、俺は女性の下敷きになっていたので下から見上げていた。確かに綺麗だけど、どこかで見た事ある。陽光を浴びて光輝く艶やかな髪で、美しいとは思ったが奏より普通かな。久遠とよく似た造形の、整った容姿ながらもその雰囲気はどこかの武人のように、抜き身の刀のように鋭く、触れるなら骨まで切り落とすという殺気ではあったが俺は平然といた。これくらい当てられても困らないな。

「さてと、そろそろ立ち上がろうか。誰か向かってくるぞ」

俺はぶつかってきた人を退いてから、戦闘態勢に入った。この足跡からして複数か。

「ひよところは、久遠の側を離れるな!そこの嬢ちゃんもだ、早く下がりな。俺の殺気に当てられたいのならな」

「・・・・・・・」

嬢ちゃんは、俺の殺気に当たったのか言う通りにして下がった。さてと、一応空間から刀を取り出してから左腰にあるホルスターにある銃を抜き右手で持った。

「エーリカ、君も下がれ」

「分かりました」

と言って、エーリカも下がった訳だが何人来る。そこに駆け込んだのは、如何にも悪い事をしてますという顔に書いてあるゴロツキ達だった。現代で言うならパシリのチンピラか。

「おうおうおうおう!ようやく見つけたで、このアバズレ姉ちゃんよぉ!」

「俺らを誰だと思ってやがる!京の都を守ってやってる三好家の足軽様ですよぉ!」

「その俺らの仲間をしばいといて、ただで済むたぁ思うなやぁ!」

「ほう、ただのゴロツキかと思ったら京の都の足軽ねぇ・・・・。そうには見えないけど?それにこの子が何をしたかは知らんが、女性一人に対して男複数でかかるのは卑怯の手ではないのかね?」

「何やと!お前何者やねん。足軽をなめては困りまっせぇ!」

とか言いながらも挑発を受けた馬鹿者達。俺の後ろからは、久遠が我の刺客かと思ったとか言ってたがな。

「あぁ!何だてめえは!関係ない奴はひっこめや!」

「一対多勢で来る卑怯者に対して言う事それ?さすがに呆れるな」

「事情も分からんと出てきて、あとで泣き見も知らんで兄ちゃん!」

「あっそ、だったら好きにやらせてもらうぜ!行くぜ行くぜ行くぜ!」

「なめるなや、そっちは一人でこちらは多勢。いくら兄ちゃんが凄腕だったとしても『言いたい事はそれだけか?』何ー!」

と言っていた奴を斬り倒した。それがきっかけか、次々と向かってくるゴロツキ達は刀で向かってくるが遅い!俺は夢幻の聖剣で俺自身が分身して、あちらのゴロツキ以上の人数になった。

「お、お頭が何人もいるよ。ころちゃん!」

「ど、どうなってるの!?お頭って本当は草何じゃ?」

「落ち着け。本物は一人だけだと思うが、さてどうするんだ一真?」

と言っていたが、本物は分身した者全員が俺だ。ゴロツキ共も考えたのか、一人だけ本物と分かれば話は早い。一人ずつ俺を攻撃するが、次々と俺分身体が斬り落とす。

『さてと、あとはこれで終わりだ!』

右手に持っていた銃で、ゴロツキ共の脳天をヘッドショットした。次々と撃ち、最後の一人になった者は俺に命乞いをしてきたが、俺は許さず撃った。と思ったら、いつの間にかゴロツキの仲間がここに来たが、一発の銃の音が聞こえたが俺ではない。別のどこからか狙撃をしたようだった。チャンスだと思い、いつの間にか持っていたアサルトライフルで連発して、撃ったら怯えきっていたので撃つのをやめたけど。

「お前ら、こいつらの死体片づけておけや!喧嘩売ってきたのはそっちだからな、分かったか!馬鹿者共!」

と言ったら、死体を片付けた足軽風なゴロツキに仲間達は、とっとと片付けて去って行った。ふう、と思って後ろにいた嬢さんを見たらいつの間にかいなくなっていた。まあいいだろうと思って、アサルトライフルと刀を空間にしまった。

「なかなか良い物を見れたが、あの分身は何だ?」

「ああ、あれ?本物は一人だと思っていたが、全員本物何だよね」

「だが、一真のはまさに達人以上に達人だったな。最後は鉄砲だったが、良い狙いだった」

「まあな。あれでまた来たならば今度はすぐにこの世を行かせないためにわざと外して痛い目を見せてやるのもいい手だけどな」

俺は笑っていたらしいが、目は笑っていなかったと。あれだけの戦闘をしたんだからな、すぐには興奮は収まらないが。

「それにしても一真様の鉄砲も凄いですが、連発する前に鉄砲の音が聞こえましたが」

「周囲を探ってはいましたけど、鉄砲を撃った人物は見当たりませんでした。余程上手く隠れて撃ったのか」

「お頭、黒鮫隊の人ではないのですか?」

「いや、出動命令は出してないから。たぶん他の者が撃ったんだと思うが、ころ、この時代の鉄砲の射程はどんなのだ?」

「えーと、国内で流通している鉄砲は国友筒と堺筒が主なんですが、射程はおよそ二十間から三十間ほどですね」

二十間から三十間。確か一間が約2mだから、最大で60mか。

「しかし、周囲三十間で、狙撃に適した所は見当たりませんね」

「ああ、俺がやったのとさっきの音では血の出方が違うから、上方からの狙撃した事になるな。だから、たぶんあそこかな?」

俺は指を差したら、ここから約200mはある鐘を鳴らす櫓みたいなのがあった。そしたら、エーリカは信じられなさそうな顔をしていたが、それ以外の者はあり得ると言った。実際黒鮫隊の狙撃銃は、あれより倍の距離でも狙撃可能。 
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