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戦国†恋姫 外史に飛ばされし者

作者:藤吉
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第3話

 
前書き
てなわけで第3話更新です!歴史小説って本当書くのが難しいですな~本当の桶狭間とは少し脚色を変えているんで違和感がある方はまた感想なんかで呟いて頂ければ幸いです! 

 
戦国†恋姫 外史に飛ばされし者


第3話


今川軍 田楽狭間


 田楽狭間で休息していた今川義元の元にまた慌ただしく兵が駆け込んできた。


兵士「申し上げます!」

義元「なぁに?騒々しいわね…織田軍の本隊でも攻め込んできたの?」

兵士「はっ!今しがた中島砦にて織田軍の旗が上がったとのこと!数は不明ですが、織田軍本隊かと思われます」

義元「あらぁ…ようやくお出ましのようね。私たちに討ち取られる覚悟ができたのかしら?」

兵士「以下がなさいますか?」



 少し考える素振りをして


義元「ん~そうねぇ…じゃあ直盛に千の兵を預けるから、早々に攻め落としてと通達しておいて」

兵士「はは!ですが、そうなってくる本隊が手薄になります!」

義元「まぁそこは大丈夫でしょう、幸いここは山と山に囲まれた窪地だし、攻めてくるな正面でしか無理ですもの。心配いらないわ」

兵士「然様ですか。では自分は直盛様にお伝えに参ります!」

義元「はぁい。行ってらっしゃ~い。ふぅ…それにしても暑いわね…」


 こうして井伊直盛率いる千の兵は中島砦へ進軍し、今川軍本隊は約四千。いよいよ信長の反撃の時は近い。一方織田軍はというと…



織田軍 太子が根 


 善照寺砦を出発した織田軍二千人は北へ大きく迂回し、太子が根に到着していた。


信長「ほう…ここからなら今川の軍がよう見えるな」

勝家「はっ物見の報告によれば、千の兵が中島砦に出発。本体は四千ほどとのこと…ちなみに本隊は田楽狭間にて休息をとってる模様」

信長「なに?休んでおるのか…戦の最中だというのに、呑気なものだな」

長秀「ですが敵はまだ我が軍の二倍近くの兵力を持っています。苦戦は必須かと」

信長「ふむ…」


 すると何を思ったのか、信長は兵の前に進み出てこういう。


信長「お前たち!今からもう一つ、作戦を伝える!兵力に劣るからといって大軍を恐れてはならぬ!よいか!”分捕り”はなすべからず!”討ち捨て”になすべし!さすればこの戦の勝利のあかつきにお主たちのことを永遠に尾張の英雄と語り継がれることであろう!皆振るって武功をたてよ!」

兵士「「「「「「「応!!!」」」」」」」」」」


 そう信長が激を飛ばし、兵士たちの心を高ぶらせる。

ちなみに
 分捕りとは、戦の途中でも殺した敵の武具や武器などを拾い集め、自分のものに出来ることが出来る。

分捕りはなすべからず…つまりそんなことにうつつを抜かしている暇があるなら全軍勝利の目的のみ全うせよということ。


 討ち捨てとは、敵将を討ち取ったら武功の証として標(首)を切り取り、それを持ち帰って証明すること。

打ち捨てになすべし…その必要はなく、勝利の暁にはこの場にいる全員の功績を認めようということ。


 無駄なことは省き、少人数の劣勢を補おうという意味を込めた言葉である。


織田軍 囮組 中島砦


兵士「申し上げます!今川軍、この中島砦まで攻めてきた模様!その数約千!」

一益「あらら~これといってそこまで釣れてないね~」

成政「まぁでも、こんなに暑いし、その千人の兵も結構へばってんじゃねえか?」

利家「わん!流石和奏!楽観主義者だねぇ」

成政「うっせーな!とりあえず敵来てんだからお前らもしっかりしろー!」

一益「そだね~さもないと~森家の2人も出てきかねないし~…真面目にやらないと後で壬月様から拳骨喰らうことになっちゃうしね~」

利家「うぅ…それは…やだねぇ!よぅし!犬子達でしっかり防いじゃおう!赤母衣衆行くよー!」

兵士「「「「応!」」」」

成政「黒母衣!赤母衣に負けんじゃねぇぞ!ボク達もやるぞぉ!」

「「「「応!!」」」」

一益「滝川衆は、母衣衆の討ち漏らしを叩くよ~!皆母衣衆の後方に待機~!」

「「「応!!!」」」」


 そして…



利家、成政「「全軍!突撃ぃ!」」


今川軍 田楽狭間



 母衣衆と滝川衆が中島砦で敵の攻撃を防いでる頃、田楽狭間では、さっきまでサンサン晴れていたのがうって変わり、今度は激しい雨が降り始めた。


義元「あらら?さっきまであんなに晴れていたのに…今度は大粒の雨?ついてないわね」

兵士「はっでは、少し雨宿りが出来る場所を探してまいりましょう」

義元「そうね。ではお願いするわ」

兵士「はは!」


 大粒の雨が降りだし、今川本隊の兵は雨宿りの場所を探すため、本隊を手薄にしてしまう。この判断が後になって織田軍の思惑通りになることも今の義元にはわかるはずもない。


織田軍本隊 太子が根


兵士「申し上げます!」

信長「許す!」

兵士「先程から小休止を取るために休んでいた今川兵、雨を避けんがため本隊が手薄になった模様!」

信長「デアルカ…大義」

兵士「はっ!」

勝家「勝者の余裕…というところですかな」

信長「勝者か…あながち間違ってはおらぬな」

長秀「我が方が二千弱、対する義元公は一万五千ほど。軍神摩利支天といえど、この差を覆すのは至難の業でしょう」

勝家「常識的に考えれば、それほどの大軍にこれだけの少数で奇襲かけるのは無謀を通り越して自殺行為だ」

信長「常識などと、そのようなつまらんものに縛られる者に、大業を成し得ることなど出来はせぬよ」

勝家「ですが殿…」

信長「おけぃ。今やるべきことは問答でも説教でもなく合戦である!説教は義元を討ち取った後にいくらでも聞いてやる!持ち場に付けぃ!」

勝家、長秀「「ははっ!」」

信長「さて、では行くぞ!勝負は二度あらじ!目指すは義元の首一つ!」


一忠「ひぃー!」

良勝「こら…小平太うるさいわよ。見つかったらどうするの?」

一忠「だって…雷様が怖いんだもん!仕方ないだろう!」

良勝「武士のくせに雷様が怖いなんてバカじゃないの?雷様より武功を上げられないことを怖がりなさいよ」

一忠「わかってるけど…怖いもんは怖いんだよぉ…」


 雨が降り始めてから雷が鳴り止まず、今川軍は織田軍の本隊がもう目前に迫っている様子であるというのに、それに全く気付いていない様子。そしてその前線にいるのが先程から雷を怖がっている服部小平太とそれをなだめている毛利新介。二人は茂みに隠れながら慌ただしく動く今川軍に徐々に近付いていく。


良勝「この戦に勝たなくちゃ、殿様の…久遠様の命だって危ないのよ。今までのご恩を返す好機なんだから、しっかりしなさい」

一忠「わ…わかってるよ。ここが死に場所だって心得てる…でも雷様が怖いのは怖いんだよぉ仕方ないだろぅ…」

良勝「シッ」


 不意に新介がしゃべるのを辞め、息を殺すよう小平太に促し、茂みの向こうを指差す。


良勝「居たぁ…」

一忠「え?どこどこ…?」

良勝「ほら…あの一際大きな木の根元…雨を避けてるんでしょうけど…」


 その視線の先には…


良勝「胸白の鎧に金の八龍を打ちたる五枚兜…それに赤字の綿の陣羽織を枝に引っ掛けてある…当たりね…」


 なんと今川義元があろうことか鎧を脱ぎ、丸腰の状態で休憩していたのだ。


一忠「うへぇ…戦場なのに鎧脱いでんのかよ…まぁこうもムシムシ暑くてこんなジメ~っとしてるし気持ちはわかるけどさぁ…」

良勝「私たちのことを尾張の弱兵だと思って侮ってるのでしょうね。まぁでも全軍緩みきってる今が好機かも」

一忠「行くのか…?壬月様か、麦穂様に連絡したほうがよくねぇ?」

良勝「後続を待ってたら、打ち取る時期も逃してしまうわ。それに武功は独占するものよ。呼子を鳴らして一気に義元公を討つわよ」

一忠「はっ新介も言うねぇ。だけど…そういうのも嫌いじゃないよ。よぅし、新介の案に乗った!」

良勝「だから静かにしなさいっての…!二人ならどうとでもなるわ…行くわよ…小平太」

一忠「応よ!」

良勝「行くわよ…1…2…3…今よ!」


 すると2人はバッ!茂みから飛び出し、呼子を鳴らし名乗りを上げる!


良勝「織田上総之助久遠信長が馬廻り組組長、毛利新介良勝参候!今川治部大輔とお見受けいたす!」

義元「な…いつの間に!」

一忠「今川殿がその頸、頂戴仕る!」

義元「えぇい!そう簡単にやられてなるものですか!衛兵!敵を迎え撃ちなさい!」


 迎撃せんとほかの兵士に号令をかける…しかし…


今川兵士「後方より更に敵兵!あれは…鬼柴田じゃあああああああああああああああ!」

兵士「もう終わりじゃあああああああああああああ!」


 後方から柴田勝家率いる軍が攻めてきており、今川軍は大混乱に陥る。


義元「そんな…ここまでだというの…こんな…所で…この…私が!」

今川家老「まだだ!殿をお守りするぞ!」

今川兵士「はは!」


 今川兵士は混乱しているもののやはり家老など、力があるものは未だ落ち着いてこれを迎え撃たんとする。


一忠「ぐ…敵ながら手ごわい…」

良勝「ちょっと小平太!しっかり敵を防ぎなさいよ!」

一忠「あぁってるよ!でも思いのほか敵の抵抗が激しい…!」


 するとそこに…


勝家「織田上総之助信長が家中、柴田権六勝家!参候!」

一忠「壬月様!」

勝家「周りの雑魚は柴田衆に任せよ!新介!小平太!抜かるでないぞ!」

一忠、良勝「はは!」


 そしてついに…


一忠「今川殿!お覚悟を!」


 ザクっ!という音と共に義元の身体を叩き切る。


義元「うぐっ!そん…な…ばか…な」バタ


 そして義元は地に伏せた。そこに信長がやってきて


信長「新介!小平太!まこと大義なり!名乗りをあげぃ!」

良勝「はい!織田上総之助久遠信長馬廻り組組長!毛利新介良勝!」

一忠「同じく服部小平太一忠!」

良勝「東海市の弓取り!」

一忠「今川義元公!」

一忠、良勝「「討ち取ったりー!」」


 毛利新介、服部小平太ら2人が今川義元の首を上げたことにより今川軍の兵士が更に混乱する。あるいは逃げるもの、あるいは落胆し、膝をつく者…様々である。


忠勝「あぁー!こらー!逃げるなですよー!取って返して戦うですよ!」

康政「綾那!残念だけど今川殿が討ち取られた以上ここはもうもたない!逃げましょう!」


 いつの間にか本多忠勝と榊原小平太が戻ってきたようだが、義元が討たれた今、この状況覆す術を最早誰も持っていなかった。


忠勝「やですよ!綾那はまだ戦えるです!」

康政「義元公が討たれた以上、最早戦う理由は失われたわ!だから戦いはもう終わりよ!それにこれで私達は今川から独立する未来が開けるの!今は葵様と合流しましょう!」

忠勝「むぅ…無念なのですよ…わかってです…」

信長「今こそ好機!織田の勇士たちよ!これより敵を追g…」


 追撃の命令を出そうとしたまさにその時どこからか、悲鳴があがったのである。


織田兵士「うわあああああああああああああああああああああああ」

織田兵士「助けてくれええええええええええええええええ!!」

勝家「くっ…どうしたというのだ!」

兵士「申し上げます!」

勝家「何があった!」

兵士「はっ我らの西方より…お、お…」

信長「なんなのだ…」

兵士「鬼がああああああああああああああああ!」

信長、勝家「「なにっ!!」」


 先ほど悲鳴を上げた方に目をやるとそこには…この世の者とは思えない、禍々しい顔に黒い体、蟷螂の鎌のような二本の腕…それは正しく”鬼”


勝家「ちっまさかこのような時に狙ってくるとは…殿!おさがりください!」

信長「ならぬ!我も戦うぞ!はっ!」


 そういい、信長は馬を走らせる。


勝家「あぁもう!」


 それに続いて勝家も追う。


信長「鬼め…覚悟!はああああああああああああああああああああ!」


 一閃に切り伏せ、鬼はゆっくりと倒れる。


信長「はぁ…はぁ…」

??「ぐぁああああああああああああああ!!」


 するともう一匹が不意に飛び出して来て信長に襲いかかろうとする。


信長「ぐっ!?くそぅ…ここまでか…」


 先ほどの一閃で気が緩んだのであろう。完全に不意を突かれた信長は跪き、死を覚悟する。


勝家「殿ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 勝家の叫びも虚しく、鬼が信長の首を刎ねようとした次の瞬間、辺りが一斉に光を放ち…
ガキンっ!という音が響き渡る。
見上げるとそこには自分の身長よりもでかく真っ黒い刀を持った男が鬼の攻撃を防いでいた。
そして…


??「やれやれ…まさか、ここに来てしょっぱなからこんなことになってるなんてな…」


 その男は静かに笑い、鬼を睨みつけ、こういった。


??「人に楯突く鬼…か…実際見るのは初めてだが…放っては置けないな…さて…下等生物如きが人間に楯突いたんだ…覚悟しな…」


 一気に殺気を解き放ち、その殺気を鬼に向ける。
すると、鬼はその殺気に当てられ、怯んでおり少しずつ後ろに下がっていく

この男は一体何者なのか… 
 

 
後書き
とりあえずはこんなものです!
次回!主人公無双します! お楽しみに! 
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