戦国†恋姫 外史に飛ばされし者
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第2話
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大変遅くなりました!
戦国†恋姫 外史に飛ばされし者
第2話
勝家や長秀に何も知らせずにたった7~8人で出て行った信長は熱田神宮に向かっていた。だが向かったといっても慌ただしく…という訳ではなく、ゆっくりと馬をなびかせなていた。
兵士「殿、城の者どもは我らの意図に気付くでしょうか?」
信長「何、壬月と麦穂ならば、我が何を考えているのか気付くだろうさ」
兵士「しかし…よかったのですか?何も言わず勝手に出てきて…後で柴田様、丹羽様のお叱りを受けますよ?」
信長「そうなった時はその時だ。とりあえず我らはこのままゆっくりと進みながら後続を待つことにする」
兵士「はは!」
なんと信長はただ討ち死に覚悟で出て行ったのではなく、内気になっていた家臣を鼓舞するため、城主である信長を死なせないために追ってくるだろうと見込んで、あえて自ら出陣し、士気を高めるようにした。
信長「猿、後ろの様子はどうか?」
少女「はいぃ!え~と…まだ軍勢らしき姿は見えませんね。壬月様達本当に来るんでしょうか?」
信長「来るさ。今は信じて待つしかない」
少女「こ、このまま誰も来なかったら…どうしよう…どうしよう!」
信長「ふふ、少しは落ち着かんか猿。大丈夫だ。時期に来る」
少女「うぅうう…久遠様はどうしてそんな気楽になさってるんですかぁ!相手の今川義元公の軍勢は2万5千ですよ!怖くないんですか?」
馬にまたがっている信長に少女は問いかける。そして信長はこう答える。
信長「ふむ…我も死ぬのは怖いし、我の大切な者たちが死ぬのは怖い。当然だ。我とて人の子なのだ…だが…やらねばならぬ」
その目は何かを覚悟したかのような、何かを成し遂げようとする目。まるで鋭利な刃物のように鋭く、真っ赤に燃え上がりそうな…そんな目をしていた。
信長「それにな…猿…」
少女「はい…?」
信長「どうやら…来たようだ」
そして信長が遥か後方に目をやると、数名の兵士と猿と呼ばれる少女は信長に釣られるように一斉に振り返る。すると…
少女「あっ、あれは!」
勝家「殿ー!」
長秀「殿!ご無事ですか!」
なんと、柴田勝家、丹羽長秀を筆頭に軍勢率いて追いついてきたのだ。その数およそ千人と言ったところだろう。
信長「壬月、麦穂!苦労!」
勝家「全く…苦労!ではございませぬぞ殿!我らがどれほど心配をしたか!」
信長「いつまでも動かぬお前たちが悪いのだろう?それに今川もよもや我が城を出ているとは思うまい」
長秀「ふふ。ですが殿、おいたも大概にしてくださいませ。我ら家臣の御心も察していただきたいものです」
信長「う、うむ…すまぬ…次からはそうしよう…多分」
成政「ふぅ…やっと追いついたー!殿ぉ勝手に行かないでくださいよぉ」
利家「わんわん!本当に追いついてよかったー!私達ここに来るまでに久遠様の死体がどこかに転がってるんじゃないかってヒヤヒヤしてたんですよー?」
一益「にゃふふ~?まぁでもぉとりあえずこうやって追いついたんだし~とりあえずは一安心ですぅ♪…ここに来るまでの壬月様の顔は怖かったけど…」
信長「三若も大義。これで何人になる」
勝家「およそ千人ってところでしょう。しかし殿よくぞご無事で。ここに来るまでに本当にヒヤヒヤしましたぞ」
信長「すまぬな。気を見て動かねば戦況は変えられぬ。だから我は動いた。そしてお前たちが来てくれた」
長秀「それに近頃この尾張に鬼が出現していますれば、それにやられている可能性もありましたからね」
信長「鬼に怯えていても仕方があるまい。鬼にやられるか、閉じこもって今川に各個撃破されるよりははるかにマシであろう?」
そんな会話をしながら馬を歩かせていると、段々日が昇り、時間は辰の刻(およそ午前9時)辺り。いよいよ出陣の時。
信長「者共!これより今川の陣まで進軍する!」
将兵「応!」
勝家「進軍!全軍駆け足!」
千の兵は隊列を組み、早足で歩みを進んでいく。すると複数の兵士がやってきた。
兵士「申し上げます!」
勝家「何事か!」
兵士「はは!丸根、鷲津両砦!陥落した模様!落としたのは、松平元康殿とのこと!」
信長「ほう…葵が来ておるのか…そう言えば葵は今川の人質であったな」
長秀「もう…そんな落ち着き払っている場合ではございませんよ久遠様。葵殿も来ているともなればこの戦、苦戦は必須でしょう」
信長「ふむ…皆の者!その命!余に預けよ!」
兵士「「「応!」」」
丸根、鷲津砦が落ち、軍に緊迫が走る。将も兵も決死の覚悟を決めているのであろう。その目は一人でも多く、今川の兵を道連れにしよう…そんな目である。
今川本陣 田楽狭間
沓掛城を出発した今川は次に大高城に向かうため歩みを進め、田楽狭間という窪地に差し掛かっていた。その時、丸根砦、鷲津砦を攻めていた松平衆の兵がやってきて、義元のそばで跪く。
松平兵士「申し上げます!我等松平衆!丸根砦、陥落いたしました!」
義元「うふふ♪葵ちゃんがうまくやってくれたのね♪三河武士はただの田舎侍だと思っていたけど、まぁ葵ちゃんの下には、綾菜ちゃんや歌夜ちゃんっていう猛者がいるし、悠季ちゃんって切れ者もいるし、これくらいやってもらわないとね~♪」
するともう1人、兵士がやってきて報告する
兵士「申し上げます!丸根に続き、鷲津砦も陥落した模様!」
義元「そう、それにしても、織田軍の将はあの鬼柴田、米五郎左の2人がいるのに、こんなに弱いのかしら…いや違うわね。私達が強すぎるんだわ♪美濃の蝮からは評価は高かったみたいだけど、やっぱり信長はうつけもうつけ、大うつけね♪このまま、尾張をとって京に上洛を果たしたら、次は美濃ね♪美濃の蝮も信長収めるより、私とうちの娘が収めたほうがきっと安心するわね」
兵士「はは!然様で…ではこのまま大高城まで進めますか?」
義元「ん~そうしたいのは山々なんだけど、こうも暑いと、兵も疲れているでしょうし、少し小休止でもしましょうか」
兵士「はっ、ではこの先に田楽狭間という松林に囲まれた窪地がございますれば、そこで休憩と参りましょう」
義元「そうね。では全軍に通達なさい。我ら今川軍はこの先にある田楽狭間で暫し休息をとります。丸根、鷲津を攻めている将兵にも伝えなさい」
兵士「はは!」
義元の号令で休息を取るため、兵士たちは田楽狭間まで歩みを進んでいく。しかし、この暑さで体調を崩す兵や、丸根、鷲津砦を攻めていた兵士のせいで、現在本陣にいる今川軍は約五千まで減っていた。この戦力と天候が信長との決戦の勝敗に左右されるのである。
丸根砦 松平衆
丸根砦を攻めていた松平衆もしばしの休息をとっていた。
少女「歌夜ー!」
すると城を攻めていたと思われる槍を持った1人の少女が手を振りながらもう1人の少女に近付いてくる。その者の名は本多平八郎忠勝、通称は綾那。
少女「綾那!おかえりなさい」
その忠勝を出迎えたのは榊原小平太康政。通称は歌夜。2人は松平元康直属の部下である。
忠勝「ふぅ♪やっぱり城攻めは楽しいですー!こうどばーっと!」
康政「もぅ綾那、楽しむのはいいけど、少しは自重してよね。あなたに付いて行くのは大変なんだから」
忠勝「えへへです~♪ってそう言えばこれからどうするですか?」
康政「ん~とりあえず義元公の軍も鷲津を落としたようね。それで今は田楽狭間で小休止みたいよ」
忠勝「えぇ!?殿さんや綾那達には働かせておいて、自分だけ休むですか?むぅひどいですぅ!」
康政「そうよね…でも葵様や私達は今は人質…義元公には逆らえない…それに私達が勝手なことをしたら葵様にも迷惑がかかっちゃう…」
忠勝「むぅ…殿さんに迷惑はかけたくないのです…でも…これで本当に今川から独立なんて出来るんですかねー」
康政「それは…わからない…これで万が一、織田軍が義元公を破れば…話は別になってくるんでしょうけど…」
忠勝「じゃあ今は耐える時なのですね!綾那!もっとしっかりするです!だから歌夜もしっかりするですよ!」
康政「綾那…うん!それまで頑張ろう!」
忠勝「ですー!」
織田軍 善照寺砦
今川義元が田楽狭間で休んでいた頃、その時の織田軍は善照寺砦に到着していた。すると信長の後続からは約二千の部隊が合流を果たしていた。すると2人の銀髪の少女と黒髪の鎧を着た少女が進み出る。
良勝「申し上げます!久遠様!馬廻り組み組長、毛利新介良勝!」
一忠「同じく、服部小平太一忠!」
一忠、良勝「「只今参上仕りました!」」
信長「うむ!大義!」
一忠、良勝「「はは!!」」
服部小平太、毛利新介率いる部隊が加わり、今川軍五千に対し、織田軍は三千に膨れ上がっていた。すると信長はここで真の作戦を語る。
信長「これより我らは今川本陣を攻撃する!だがまだ向こうの本陣には五千の兵が詰めていると聞く。そこで我らは1つ作戦を取る!」
勝家「各々方!よぉく聞きませい!」
信長「我らはこれより、千の兵を中島砦に割き、敵を陽動する。その際、その千の部隊には旗を掲げてもらう!この部隊の指揮を、三若にやってもらおうと思う」
勝家「三若!復唱せい!」
成政「黒母衣衆!了解です!」
利家「赤母衣衆!がんばりまーす!」
一益「滝川衆、ぼちぼちがんばります~…眠い…」
勝家「貴様ら…」
何とも緊張感のない三若に勝家はいつもの如く呆れるが、周りから笑いが起きる。
信長「その他の部隊は我に続き、今川の本陣である田楽狭間を急襲…義元の首をとる!」
兵士「「「「「「「「「「応!!」」」」」」」」」」」」」」
信長「この戦いは多勢に無勢、苦しい戦いとなる。熱田大神の力を借りて、是非勝利ものよ…」
織田久遠信長、一世一代の大博打、果たして、成功はなるのか…
そして織田軍に差し迫るもう1つの影が徐々に近付いてくる。それは一体なんなのか…
後書き
ってことで第2話はこんな感じで。
次回から主人公出ます! 多分…
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