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戦国†恋姫 外史に飛ばされし者

作者:藤吉
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第1話

 
前書き
1338年、足利尊氏が光明天皇より征夷大将軍に任命され、室町幕府を開くも100年たった今、その力は衰退の一途をたどっていった。各諸侯の大名たちが力を付け、天下を狙い動き出していた。まさに下克上の時代の到来である。そして後1467年に応仁の乱が勃発し、その風格を表したのが守護大名である。守護大名として上げられられる武将は、甲斐、信濃を収めていた武田家、三河、遠江、駿河を収めていた今川家、薩摩、大隅を収めていた島津家が上げられる。今川家は幕府のお墨付きで国の支配を認められた名門の家系である。そして守護大名は後に京に定住していき、守護代というものを各地に置いていった。越後を収めていた長尾家、越前の浅倉家、そして尾張を収めていた織田家となる。そしてこの時代最も大切な場所、それは京、京都である。大名たちは京の上洛を目指さんがため、天下を目指していく。

 

 
戦国†恋姫 外史に飛ばされし者 第1話


 この時代、最も天下を統一する力を持っていたのが三河、遠江、駿河を収めていた今川義元である。義元は京を目指し2万5千の兵を率いて駿府館を出発する。それに際し、最初の障害となるのが尾張を収めている織田久遠信長であった。
今川義元が尾張を攻めようと出陣したその時、信長のいる清洲城に1人の草が駆け込んできた。



尾張 清洲城



兵士「申し上げます!」

信長「許す!」

兵士「今川勢2万5千、駿府館を出立し、我が国を攻め立てんとしているとの由、あと数日で沓掛城に入る模様です!」

信長「苦労。下がって休むが良い」

兵士「はっ!」


 報告を終えた兵士がイソイソと下がっていった。


女性「殿。いかがいたしましょう」

信長「壬月か…ふむ…」


 壬月…この者の名は柴田権六壬月勝家という。勝家は最初、信長の妹信行に仕えていた。信行は姉信長に対し挙兵する、信長と敵対するがそれに敗れ、信長、信行の母の取り計らいで林秀貞、柴田勝家共々赦免(しゃめん)された。世間では、鬼柴田、掛かれ柴田の異名を持ち畏れられている。


女性「今川勢2万5千に対し、我が織田勢はいいとこ3千が限度でしょう。兵法の基本では後手に回ってるのが現状ですね」

勝家「今川が攻めるとすればまずはどこになる?」

女性「我が領土は他国に比べて多くはありません。なので丸根砦、鷲津砦、善照寺砦、中島砦に兵を配置して迎え撃つべきでしょう」


 この物腰の柔らかい者の名は、丹羽五郎左衛門麦穂長秀。長秀は軍事だけではなく、政治面においても優れた手腕を発揮でき、柴田勝家と並ぶ、織田家の双璧とも呼ばれており、鬼五郎左、米五郎左とも呼ばれている。


勝家「となると…我らが取る手は…籠城か…」

長秀「それしかないでしょう…今の所、我らに打つ手はありませんね…」

勝家「三若、お前たちの意見はどうか?」


 勝家に促され、三人の若武者たちが自分達に聞かれたことに気付く。すると赤い髪の若き将、佐々内蔵助若菜成政が意見を述べる。


成政「はっ!ぼくは野戦をするべきだと思います!」

勝家「ほう…それは何故だ」

成政「いくら籠城しても各個撃破は時間の問題。なら打って出て直接義元公を叩くべきではないでしょうか!」


 この佐々蔵之介和奏成政は、信長の馬廻り衆であり、母衣衆という部隊、成政は黒母衣衆を率いている。


女の子「ふにゅ~でも和奏ちん、相手は私達より兵が多いんだよ?その辺はどうするの?」


 このまったりしたしゃべり方をする女の子は滝川雛一益という。一益は忍の里甲賀の出身であり滝川衆を率いている。佐々成政とは仲がいい。


女の子「わん!そこは犬子たちがちぎっては投げちぎっては投げ!」


 この犬ような口調をしているこの娘は、前田又左衛門犬子利家。この者も佐々成政と同様、母衣衆筆頭であり、赤母衣衆を率いている。


勝家「ばかもん!そう簡単にいければ苦労はせんわ!もっと真面目に考えんか!」


 冗談で言っているのか本気で言っているのか判断に困る利家の言動に勝家が怒り、拳骨をうつ。


利家「わふ!あぅ~痛いです~壬月様ぁ」


 本気で痛かったのであろう。殴られた所に手を当てて痛みを和らげようとする。


信長「おけぃ…」

勝家「しかし殿!」

信長「三若の言も最もである。籠城というのも一つの手だとは思うが我もここは打って出た方が良いと思うておる」

勝家「なぜですか殿!!」

信長「合戦を逃れ、死を逃れて城に立て篭ればいずれ自滅するであろう…。なればこそ、国の境を踏み越え、義元を討たんと我は考える」

勝家「くっ…御意…」

信長「皆、頭に血が上っていよう。一先ず、本日の軍議はこれまでとする!」


 と、なんと信長は無理矢理に軍議を終わらせ、上段の間を後にした。そして残された家臣たちはといえば…


勝家「全く…殿は一体何をお考えなのだ!」

長秀「まぁまぁ、殿には私達の及ばない考えがあるのでしょう。ここは殿を信じようじゃありませんか」

成政「そうです!いざとなればボク達で久遠様をお守りすればいいんですから!」

一益「まぁ~和奏ちんもあぁ言ってますし~和奏ちんに任せれば大丈夫~♬」

成政「お、おう!任せておけ!」

利家「わふ♬流石和奏、チョロすぎるわん♬」

一益「まぁそこが和奏ちんの可愛い所なんだけどね~」

勝家「こやつらぁ…本当にこやつらに殿の馬廻りをさせて良いものか…」

長秀「うふふ♬まぁ三若の皆はいつも通りですね♬ある意味安心します」


 三若の絡みに勝家は呆れ、長秀は母性溢れる笑顔で見守っている。


勝家「麦穂、もしもの時があれば…」

長秀「わかってますよ。まぁでも、私は殿を信じております。壬月様もでしょう?」

勝家「う…うむ…そうだな…。我らの殿だ…今は信じるしかない…か」


 と、勝家も納得はしていないが今は考えるのをやめたのだった。


 時は流れ、いつもの如く、城の上段の間で政をしていた信長の元に今川の動向を観察していた兵の知らせが駆け込んできた。



兵士「申し上げます!今川軍、丸根砦に進軍を開始いたしました!」

信長「ほう…義元め…とうとう攻めてきたか…具足を出せぃ!馬を用意せぃ!これより出陣する!」

兵士「はっ!」


 兵士が出陣の準備へ向かうと信長は…


信長「鼓を打てぃ!」



~人間五十年 下天の内をくらぶれば 夢幻の如くなり ひとたび生を得て 滅せぬ者の 有るべきか~


 敦盛を一つ舞い、暗闇の中数名の兵を引き連れて清洲城を後にするのだった。



 一方、信長が出陣した後の清洲城では


成政「大変だ大変だぁあああああああああああああ!」

勝家「どうした騒々しい」

成政「あっ壬月様!実は久遠様が数人の兵を連れて出陣しちゃったみたいなんです!」

勝家「何・・・だと!何故気付かなかった!」

成政「それが気付いた兵も夜の番で見回っていて偶々見たってだけらしくて!」

勝家「くっ…このような時に…殿は何を考えておるのだ!和奏!直ちに軍を集めろ!ほかの三若も叩き起こせ!麦穂にも連絡をつけろ!我らも殿を追うぞ!」

成政「は、はい!」



 成政が兵を集めるために動き出し、勝家も出陣の準備を始めるのであった。そして約一刻、将兵約千名が集まり出陣の合図を待っていた。


勝家「我らが殿がいつの間にか出陣なさったと知らせが入った、これより殿の元に参るぞ!」

長秀「かなりの強行軍となると思われます。付いて来られぬ者は自分の速度で構いませんがなるべく早く、殿の元に急ぎなさい!」

織田兵「「「「「「「「応!!」」」」」」」」」」」

勝家「和奏!殿は何処の方角へ出られた!」

成政「は、はい!守備兵によると、久遠様は熱田神宮の方へと出られた模様です!」

利家「わふ!?熱田神宮?久遠様何しに行ったんだろう?」

一益「んぁ~久遠様だし~何かお考えがあるんだよ~それよりも~早く久遠様を追ったほうが、いいんじゃないかな~と雛は思うのだよ~」

勝家「雛の言うとおりだな。では出陣する!必ずや殿の元に追いついて見せようぞ!」


  柴田勝家の号令が下り、各将兵が駆け足で出陣する。果たして信長の元には間に合うのだろうか。そして信長の考えとは如何なるものか… 
 

 
後書き
とりあえずは桶狭間の戦いの前夜までを書いてみました。主人公の出番はおそらく次回…いやもうあと2話位かかるかな…まぁでも近々出します!皆さんよければご意見ご感想お待ちしております 
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