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ドリトル先生学校に行く

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第一幕 充実している学園その六

「そうしましょうか」
「お茶ですか」
「紅茶はどうでしょうか」
「日本は紅茶も美味しいですね」
「日本の紅茶も既にですね」
「はい、飲んでいます」
 先生にとってはこのことも楽しみの一つです、それで。
 研究室の中にポットやティーカップといったお茶を飲む道具を見付けてそのうえで笑顔でこう言うのでした。
「あれもイギリスから持って来てくれたのですか」
「先生はイギリスではいつもあのティーセットでお茶を飲まれているのですね」
「はい、そうしています」
「では私の研究室から私のコップを持ってきますので」
 准教授は笑顔で先生に述べます。
「二人で飲みましょう」
「湯沸かし器もありますね」
 先生はお部屋の中にそれも見付けました。
「ではお水をあそこに入れて」
「一階に炊事場もありますので」
「そこでお水を入れてですね」
「あれで簡単な。インスタントラーメンも作れますので」
「ではお腹が空いた時は」
「はい、湯沸かし器を使って」
 そうしてだというのです。
「インスタントラーメンを買って召し上がって下さい」
「この学園の中にはコンビニエンスストアもありますし」
「そこで買って」
「そうすればいいのですね」
「そうです」
 その通りだとです、准教授は先生に説明します。
「あそこに行けば真夜中でも食べものや生活必需品が手に入ります」
「ではこの学園の中での徹夜は」
「他の学園より遥かに楽です」
 実際にそうだというのです。
「あの学園は」
「そうですね、では研究が深夜に及んでも」
「この学園で寝泊りはされないのですね」
「家族が待っていますから」
 先生は准教授の今の問いには穏やかに微笑んでこう答えました。
「ですから」
「お家には帰られますか」
「はい、何時になっても」
 そうしてだというのです。
「お家に帰って休みます」
「成程、家庭があるということは有り難いですね」
「准教授にはご家族は」
「います、妻に娘が三人です」
 准教授はご自身の家庭のことをお話します。
「ただ。女家族の中に男が一人ですと」
「孤立しますか」
「ははは、娘にとって父親は弱いものです」
 そうしたものだとです、准教授は達観している笑い声と共に先生にお話するのでした。
「見守るだけで。あまり見守り過ぎると邪慳にされます」
 そうなるというのです。
「それはイギリスと同じですね」
「はい、父親はどの国でも一緒ですね」
「そうですね」
「いや、妻と結婚した時は二人だけで素直に幸せでしたが」
 今はどうかといいますと。
「気付けばそんなものです」
「そうですか」
「複雑なものです、女の家にいると」
 男一人では、というのです。
「全く以て」
「そうですか、では准教授はお家に帰っても」
「いえいえ、孤立はしていますがそれでも楽しくやっています」
 その家庭においてだというのです。 
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