リリカルなのは 3人の想い
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1話 一条 京介side
> 足の裏に軽い衝撃を感じ目を開くと、さっきまでの薄汚い和室ではなく清浄な空気の河原に移動していた。
「本当に転生ってやつをしたのかねぃ、正直夢見てたって方がまだ信じられるんだけどその辺りどう思うよ御2人さん」
しかしそこで体の違和感に気づいた、目線が酷く低いのだ、手足も小さくなっているとこからするとどうやら体のサイズそのものが小さくなったようだ。
「こりゃマジもんだったのかねぇ、しっかし御2人さんさっきから無視とかどうかと思うんですけ……ど?」
からかうように言いながら振り向いたが、そこには2人は愚か人影が全く見あたらなかった。
「………あり?」
何でいないわけ?
「おーい、林道ぉ――黒木ぃ――」
返事がないただのしかばねのようだ。
「いや、屍すらないんですけど」
今思ったけどドラクエって子供には難しい言葉使うよね。
とはいえどうするか、このままだとつっこみ役不在と言うことになる、それはあまりよくない状況だ。
やはりボケはつっこみがあってこそ生きるんだしな。
「さて、どうするかねぇ」
闇雲に歩き回るのも面倒くさいし………、そうだなこの街のことを知るためにも図書館にでも行くか。
いやいや、そんな真面目キャラ俺らしくないな、やっぱここは美女との出会いを求めて街へと繰り出すか?
「しまった!体が小さくなってるじゃないか!ということはショタコンの女性以外狙えないだと!?」
畜生!神は死んだ!
ま、それはさておきしょうがないから図書館に行くか。
「待て」
1歩目を踏みだそうとした瞬間、声がかけられた。
全くようやく踏ん切りをつけて美女との出会いを諦めたとこなのに、呼び止められるとか、これは俺に諦めるなと天が言っているのか!?
「無視してんじゃねえよ!」
「全くもう、こらえ性がないんだからそんなんじゃ女の子に嫌われるぜ」
振り向くと同時に軽口を叩くと、耳のすぐ横を赤色の何かが横切った。
そして後ろでザッパアンと音がしたと思ったら、盛大に上がった水しぶきが体を叩いた。
「かわしてんじゃねえよ!」
そこにいた銀髪で左右の目の色が違う、確かオッドアイだっけかの奴は勝手に切れると赤色の球体をまた作り出した。
「穏やかじゃないねえ……、話し合いでどうにかしようとか思わないわけ?」
「知るかよ!ハーレムを作るために他の転生者は邪魔なんだよ!」
うっわ、今この人ハーレムとか言ったよ、痛々しいな~。
「転生者?何それ?」
「とぼけんな!さっき小さくなったって言ってただろうが!そんな事言うのは転生者ぐらいだ!」
ちっ、言い逃れは無駄か。
「うっわ~、盗み聞きとかないわ~、きっも! 変態ですか? ストーカーですか? 2つ合わせて変態ストーカーですか~」
「てめえぇえええ!なめてんじゃねぇぞ!!」
面白いぐらい簡単に挑発に乗った銀髪は俺の頭めがけて――って早っ!以外に球早っ!
「あっぶな!」
地面を転がるように回避すると再び水しぶきが盛大に舞い、体をぬらす。
「さっきから俺を濡れ鼠にして何のつもりだよ、ぬれすけでおいしいのは女性だけだろ! はっ! さては俺をぬれすけにして欲情してるんだなこの変態! 近寄らないで!」
「ふざけんな! てめえが避けるのが悪いんだよ! さっさと死にやがれ!!」
「だが断る!」
まあ、こうやってふざけてこそいるけど現状はよろしくないなぁ。
今でこそ頭に血が上ってるのか、立ち止まってる場所しか球が飛んでこないから何とかなってるだけだ、冷静になられたらアウトかもな。
「ちょこまかとぉ!」
つーか、敵さん一発ずつしか撃てないっぽいな、さっきから芸がないな。
さてどうやってボコるか、そう冷静に考えつつ軽い挑発をする。
「芸がなさ過ぎんじゃない! そんな単調な攻めじゃ女性にふられるぜ!」
「なめんなぁ!」
そう言って銀髪はもう何度目かわからない球を撃ってくる。
それを避けようとして足に力を込めたが、ヌルリとした違和感。
「馬鹿がこれで終わりだ!!」
水しぶきによってできたぬかるみに足をとられたようだ、それがわかったときにはすでに遅く、目の前に赤色の球があった。
今の体勢からでは回避は不可能、威力から考えるに防御は愚行、打つ手があるとするなら。
『じゃあ俺はFF系術技全部と変身能力!』
希望があるとするば、そこだろう。
使う術を決め、詠唱する。
「静寂に消えた無尽の言葉の骸達、闇を返す光となれ! リフレク!」
目の前に現れたのは透明な盾、それに球が当たる、瞬間全く同じ軌道同じ速度で銀髪の元へ球が戻っていく。
「なっ!」
自身の勝利を確信していたのか、銀髪は避けることどころか反応すらできずに腹に球をくらい、勢いよく2、3回バウンドして動かなくなった。
その隙に体を起こし、敵が起き上がってこないかを警戒するがどうやら完璧に気絶しているらしく、いっこうに起き上がってくる気配はない。
「いいねこりゃ面白い」
体についた泥を可能な限り落とし、その場を離れるべく移動を開始した。
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