なりたくないけどチートな勇者
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
7*近衛隊総決戦
…朝である。
この世界初めての爽やかな朝である。
今、自分は昨日ゼノアに案内された東向きの窓のある優良物件で、開け放たれた窓からの清らかなそよ風と日光を受けながら、ベッドに腰掛けている。
ちなみにその時やたらゼノアが自分に気を使ってた気がしたがなんだったのだろうか。
…そんなことよか、この清々しい朝に今、自分は
「弟子にして下さい!」
昨日のイヌミミ少女に土下座されている。
why?何故?
「…ナゼニ?」
「昨日の試合で、私は自分の力を過信している事を知りました。私は近衛隊として、姫様を護るべき立場です。
ですが、このままでは、弱いままでは自らの使命を全うする事ができません。
なのでどうか、私を鍛えて、エリザ姫様を護れるだけの力を!どうか!」
おい、君は頭を割りたいのか?
ゴンゴンいってるぞ。
「…つっても、なんでじぶ「ボクが奨めました。」おぅわ!!
リム副隊長、参上。
天井から目の前に落ちてきた。
「昨日の試合でミミリィは君に圧倒的大差で負けて、凄く落ち込んでてね。
なんならいっそ弟子にしてもらったらって昨日の夜に冗談のつもりで話したら、朝起きて着替えた途端に走って弟子入りにいくんだもん。
びっくりしちゃった。」
…またですか。またあなたですか。
つか、隊長と副隊長てそんな仲なんだ。
隊長の片思いかと思ってた。
「ちなみに、さっきそのことゼノア隊長に話したら、どっからか姫様が湧いて来て、「なら、ナルミを近衛隊の名誉顧問として入隊させて、近衛隊全体の教官にすればよいではないか。」って言ってたから、多分もう君は正式に“近衛隊名誉顧問”の称号を手に入れてるはずだよ。」
…はい?
なにいっちゃってんの、こいつ。
「…どゆこと?」
「ん、つまり君は“近衛隊新入隊員”でなく、“近衛隊名誉顧問”として僕たちを指導する立場になったというわけ。」
「自分の意見は?」
「ないに決まっておろう。」
じゃじゃ馬登場。
ドアを蹴って開け、ずかずかと部屋に入ってくる。
ちなみに、後ろにゼノアを引き連れている。
「ほれ、これにサインせい。
そうすればお前は晴れて、近衛隊名誉顧問となれるぞ。
ちなみに、王族命令。」
…泣いていいですか?
あ、ゼノア、助けて!
するとゼノアはそれを感じ取ったのか、自分の肩に手を置いた。
そして言ったのは
「大丈夫、ナルミならできるさ。
むしろ俺も教えて貰いたいくらいだ。」
…しにてぇ。
************≧☆
はい、自分達は今、昨日のコロシアム的なとこに来ています。
達と言うのは、自分と近衛隊、そして姫もいるからです。
…姫、なんでいるん?
ちなみにゼノアは自分の隊の練習を見に行きました。
立ち位置的には隊長副隊長以外の近衛隊の面々が自分の前に横一列に列んで、自分の左右に隊長副隊長、後ろに姫と言う具合です。
みんなが列び終わると隊長が
「じゃあ、先ずは自己紹介から。
私とリムは昨日したから、ムーから順番に。」
と言うと一番右の紫の短髪の男(170くらいの青色の切れ目、蝙蝠の羽付き)が挨拶した。
「…俺はムー・シャーリス、半竜人だ。」
素っ気ないなぁ。
つかドラゴニスってなに?
次は、その隣の赤髪の女の子(150くらいで、髪は肩まての長さ。ちなみに牙と長い爪を所持)が元気よく
「はい!私はシルバ・ランドルフで吸血鬼です!
よろしくお願いします!」
…おぅ、ヴァンパイア。
この世界の吸血鬼は日光も平気なのか…
あれ、つかいま…
「もしかして、ゼノアの妹?」
たしかあいつもランドルフだったが
「はい、ゼノアは私の兄です!
ちなみに私は7歳年下です!」
ほぉ、やっぱりか。
まぁわかったからってどうゆうわけじゃないが。
次に挨拶してきたのは、緑の髪の男の子(160くらい、特徴のない髪型に特徴のない顔立ちの隠れイケメン。しいて言うなら眼が抹茶色で花の冠的なのと薄い虫みたいな羽を付けてるのが特徴)だった。「花妖精のテトラ・アストです。
これからお世話になります。」
そう言いながらニッコリと笑った。
…………こいつ、副隊長の手の者だな。なんか、そんな感じな笑いかただ。
さて、最後に、真っ茶色い髪の男子(160くらいの柔ちゃんヘアーな紅い眼のカワイイ系男子、ハ○リア人より長いウサ耳をしている)が挨拶してきた。
「ぼくはスゥ・カタトロフ。兎族です。」
うん、ふつーとしか言えんな、この子。
つか、一見テトラくんのが影薄そうだけど、こっちのが断然薄いな。
なんか、ル○ージ的な雰囲気だ。
そして、最後に自分の番がきた。
つか姫に言われてすることになった。
「…自分は長谷川 鳴海、鳴海が名前だ。
ちなみに種族は人間だ。」
すると、何となくだが皆が息をのんだ気がした。
そして、シルバちゃんが大声で
「凄い!噂は本当だったんだ!」
そんなに凄いのかねぇ…
つかエリザ姫よ、なぜ貴様が鼻高々としているのだ
つか挨拶済んだし帰っていくね?
「そうだ、ナルミ。なぜお前の役職を伝えない?
お前は近衛隊名誉顧問なのだぞ。」
何をのたまうアホ姫よ。
辞退しますよそんなもん。
名誉顧問なぞにょろーんな先輩にあげてくれ、スモークチーズと共に。
つかそもそも、みんな認めてくれないしょ。
「…異議があります、姫。
本当に彼に我々に教えるだけの実力はあるのですか?
昨日の試合は確かに凄かったですが、我々は姫を護る者。
基本的に守りであり、試合のように攻める者ではありませんし、一対一とも限りません。
いくら強くとも、守る事が出来なければ意味はありません。」
ほら、ムーさんはわかっている。
冷静に物事を判断し…………あれ、なにその「待ってました」的笑顔は。
「ふっふっふ、なら一つ、試してみようではないか。」
あれー?
**************〓☆
愚かなる我が主人の提案したことはこうだ。
自分対近衛隊でゲームをして、自分が勝ったら認めてもらう。
単純明快、わかりやすい。
ちなみにルールは
・お昼までに自分が捕まったら負け、逃げ切れば勝ち
・逃げる範囲は中庭(コロシアムと広い庭園)だけ
・自分の持ってる“姫様人形”(等身大)を奪われても自分の負け
つまり変則鬼ごっこ的な?
ちなみに負けると姫様が“お仕置き”をくださるらしいので、真面目にやります。
そして今現在、開始してから一時間は経過しております…が
開始時間がだいたい八時くらいなんよねぇ
つまり残りは三時間。
キッツ!
ちなみにいま自分は庭園の土の中に居ます。もちろん姫様人形とともに。
これぞ忍法土遁・心○斬首の術!
…ちと違うか?
しかし、みなさんどうしてるかね。
「・・・・しずか・・よ・」
土の中だと外がみえんで暇で暇で。
「・・・ここ・・・・・みんな・」
音だけは聞こえるけどそれだけ…なんだ?
「・・・・いい・・・わた・・・掘るか・」
…まてよ、確か隊長、見た目からして犬よね。
つまり………ヤバッ!
「・・・いく・・・・・逃げたか…」
…あっぶね、も少しでみつかるとこしった。
にしてもテレポートはつかえるな。
さすがレベル7、だてにバ○ルにいるわけではないな。
ちなみに自分はいま、なんかの木の上にいる。
白い花の咲いた、綺麗な木だ。
さて、次はどこにかく「見付けた!」見つかった!
弾けるように木から飛び降りた。
すると、自分のいたとこになんかツルのムチ的なのが飛んできた。
「ちっ!」
…テトラくん、やっぱり君は副隊長と同類なんだね。
つかなんでわかったんよ。
「…あ、なんでわかったかわからないって顔ですね。
いいでしょう、教えましょう。
僕たち花妖精は、草花と会話出来るんです。
そして、さっきの木から変な人がいるって言われて見たらたまたまいたんです。
まぁ植物たちも気が向いたらしか話してくれませんがね。」
気が向いたらって。
…そして植物みんな敵かよ。
どうしよう…
……
…………
…………………とりあえず逃げよ。
「ハイド」
モフンと消えた、つか見えなくなった。
ふっふっふ、現実でハイドサーチはできまい。
このまま後ろからパニを決めてやろうか。
「え…、消えた…どこだ、おい!雑草共!どこ行ったか探し出せ!」
ついに本性現したーー!
つか、植物が敵なら草のないとこあるけばいいよね。
かくして、自分はそそくさとその場所から逃げ、草のないとこ、つまりコロシアムに戻ってしまった。
まぁ、ここでハイドしてりゃばれんべ。
そろそろ姫様人形のせいで腕が疲れてきたし。
ぼーっとしてたらムー君とかが自分を捜し回ってここを何回も往復していて、見てておもしろかった。
そして20分くらいサボってると、こんどはリム副隊長とシルバちゃんがやってきた。
まぁまた気付かずにいくでしょう。
…………あれ?
なぜ二人してこっちゃ凝視してるん?
………そういえば蛇ってサーモグラフィーみたいに体温で獲物の居場所を探知するし、蝙蝠って超音波の反射でさがすんだよね。
ばれとるがな。
逃げよ
「逃がさないよ、それ!」
のうわっ!なにこれ!氷の檻!?
「シルバちゃん!」
「はいっ!全てを灰に!煉獄の剣よ!」
…彼女の右手には刃渡り2メートルはある巨大な炎の剣、それを振りかざして
「いっ、けぇぇぇぇ!」
ちょいまち!当たったら死ぬから!
うわっ!なんかないかなんかないかっ!
テンパってるともう彼女はすぐちかくに。
当たる!そうだ!
思い付いた自分は人形を守るように抱え
「服をバリアに変える能力!」
ゴウッ!
檻ごと薙ぎ払われ、一瞬熱気があったが至って無傷、健康体。
これぞ鳴海の法則!
とりあえずにげよ。
そう思い、近くにあったゴミを掴んで
「電光石火!」
叫ぶと靴がローラースケートのようになり、超高速で…
ドフッ!
「ぐぶっ!!」
リム副隊長の腹にぶつかった。
多分うずくまってる自分を倒したとおもったのだろう。
…すまん、副隊長。
君が近く来てたのきがつかんかったんだ。許せ。
…そんなことよか、自分の才能、減ってないよね?
**********≠☆
いゃあ、つかれた。
鬼ごっこは疲れるねぇ。四時間近く逃げ回ると特にねぇ。
しかし、そろそろ終わりだと思うんだが、まだかい?
さて、今自分は中庭の上空にいるのです。
お城の影になるとこでひっそりと浮いています。
浮かんでる理由は簡単、結界の上に立ってるからである。
烏森の守護者たちのつかうあれである。
とりあえず、ここまでくれば見付かっても対処できまい。
結界張れば魔法からも身を護れるし。
うん、完璧。
…だと思ってたんだけどねぇ
さて、今自分はムー君と対峙しております。
彼は自慢の翼を使い、見事自分を追い詰めてくれました。
とゆうか、自分が隠れてたのが隅っこだったので正面にいられるとにげれないんです。
正直、ピンチです。
「…逃げれませんよ。」
いや、まだ王手なだけで詰みではない……ハズ。うん。
「…えい!」
とりあえず苦し紛れに彼に結界をかけて閉じ込めてみたら
「ふんっ!」
彼を中心に風が吹き、一瞬で消え去った。
「…終わりですね。」
いゃあ、お仕置きはやだしなぁ…
てい!
「!!」
とりあえず、結界無くして落ちてにげる事にした。
もちろん結界をクッションにしたから怪我はないよ。
「では、バイ!」
そしてBダッシュで逃げることに…
「逃がすかっ!」
出来なかった、目の前に氷の壁が出来て、逃げれない。
ネオア○アマドールかい君は。
しかしどうしたものか…
「…永久の冬を、氷帝の槍よ。」
おぅ、なんかでてきた、先っちょに風魔手裏剣が着いたような青い氷の槍…
ヤバクネ?
おわっ!モーション無しで突いてくんな!
それから彼は容赦なく、袈裟、逆袈裟、横一文字と鮮やかな槍捌きを披露してくれました。
服をバリアにしてなきゃ死んでるってこれ。
「…奥義、氷炎槍“ヴェリア”」
おうい!奥義ってなに奥義って!
なんで氷の槍に炎が絡まってんの!溶けろ!そしてなくなれ!
「次で決める…」
必殺宣言!?やばい、バリアもたねぇ自信ある!
なんか!なんかない……必殺?
ドゴオッ!
轟音とともに槍が自分に向かって来て、それを
バシッ!
右手で受け止め、砕いた。
槍は跡形もなく、ただの氷の粒となって消えていった。
「!?」
ムー君は何が起こったか理解出来てない様なのでとりあえず気絶してもらうため
「おやすみ?。」
ドゴッ!
右手で殴っといた。
案の定、彼は一撃で夢の世界へ。
…………いやぁ、支配○の右手、つえー。
あらゆるものを支配して制御するって、変態だ。
さすが暗黒シティの市長だわ、伊達にドリ○ゴード狙ってねぇわな。
とりあえず、ムー君の槍と必殺とゆーキーワードなかったら自分、死んでたね。
さて、氷の壁を解除して、と。
ゴーンゴーンゴーン
おお、お昼の鐘だ。
…つーことは
おわったーー!!
***********∴☆
さてさて、今自分達鬼ごっこ参加者は食堂にてパスタを食べてます、海鮮なパスタです。
ちなみに、リム副隊長は腹痛で医務室で、ミミリィ隊長は付き添いのためいません。
…マジでごめん。
そして、自分と近衛隊一堂(隊長副隊長以外)、鬼ごっこを終え、ゆっくりまったり昼食を…
「どうだ!ナルミの実力は!」
できておりません。
姫様が食堂にて近衛隊の面々に自慢げに言っておられる。
「うぅ、確かに凄かったです…」
「うん、ぼくなんか一回しか見つけらんなかった。」
「…奥義を止められたのは初めて。」
「…………一回も見つけらんなかった。」
上からシルバちゃん、テトラ君、ムー君、スゥ君のせりふ。
……そういやスゥ君いたね、忘れてた。
「ふっふっふ、そうだろうそうだろう。
まあ見た限りお前たちも頑張っていたが、やはりナルミは一味ちがうのだ!」
なんか一味の使い方違うような…
とゆうか
「見た限りって、どこにいたんですか?」
鬼ごっこ始まった時には居なくなってたし。
まさか人形に変身してたわけでないよな?
「む、遠見の鏡でみてたに決まっておろう。もちろん私お手製のだ。」
…なんか胸張ってるが、遠見の鏡ってなによ。
白雪姫の魔法の鏡てきなのか?
「まぁとりあえず、これで問題なくナルミは近衛隊名誉顧問と認められるな。
明後日には王都に向かうから、怪我の無いように指導を頼むぞ。」
そういい姫は食堂を去って……ちょいまて
「ちょいまて、王都ってなに、ここでないの?」
「ん?ここは王都ではないぞ。
王都はもっと西にある、馬車で四日はかかるぞ。
言ってなかったか?」
えぇ?、聞いてないよ。
「ちなみに、ナルミの事は父様、つまり国王に紹介するからそれなりに準備しとくように。」
それこそ聞いてねぇ!!
かくして、この世界の王様とご対面フラグが立ったのである。
………誰かかわってぇ。
ページ上へ戻る