| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

DQ3 そして現実へ…~もう一人の転生者(別視点)

作者:あちゃ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

故郷の味が恋しくて

はぁ……………
元故郷のはずなのに……………
私はこの国の人々に『ガイジン』と呼ばれ指を指されている………
なんかすげームカつく!

「変な国ね…『ガイジン』って何よ!?」
「ガイジンとは、異国の人という意味だよ」
私以上にプンプンなアルル様に、お父様が優しく接している…
でもアルル様の不機嫌は、お兄様とイチャイチャするのをお父様に邪魔されたからだと思うのよ。
「不愉快な人々ね………さっさと情報を集めオーブを手に入れて、こんな国からは出ましょうよ!」
う~ん…ヒスってる女は厄介ねぇ…


『ガイジン』と指を指されながらも、この国の情報を集めるアルル様達…
もどかしくて教えてやりたいわ!
ヒミコぶっ殺せばいいのよ!って…

「事態は深刻だな…」
ある程度情報を集めた所で、お父様が深刻そうに呟く…
「そうですね…皆、生きる気力を失い掛けてます…」
アルル様も、先程までの怒りを忘れ、悲しそうに同意した。
「良い女が全然いねーじゃん!全部生贄にしちゃうから、ババーとガキしか残ってない!つまんねーよ、この国!ほら見ろよウルフ…昔は美女でしたって人か、これから美女ですよって人しか居ないよ!…あぁ、お前はロリコンだからお宝満載か!」
「って、ロリコンじゃねーよ!!」
最悪!
深刻な理由はそう言う事!?
ウルフもロリコンじゃないって言い切らないでよね!
私に惚れなさいよ!

「ヤメロ!リュカさんもウルフも、いい加減にシロ!巫山戯てる場合じゃ無いでしょ!この国が滅びてしまうかもしれない一大事なんですよ!」
「ご、ごめんなさい…」
きっとウルフちゃんは被害者なのだから、謝る事は無いと思うけど…思わず謝ってしまう程、凄い迫力のアルル様だ。
「だから僕も事態は深刻だと思ってるよぉ」
お父様は何時も通り、悪びれることなくチャラけてる。
大物って事?
謎ね…
「アナタの深刻さはニュアンスが違ってます!」
先程とは違う事象で苛ついてるアルル様が、尚もお父様に食って掛かる。
無駄な事なのだから、止せばいいのに…


「…あ!美女の匂いがする!!」
突然お父様が突飛な事を言い出した!
お願いだから、これ以上アルル様を苛つかせるのは止めてもらいたい!
「はぁ…何言ってるんですか…さっき父さんが言ったんですよ、美女が居ないって…」
「こっちだ!」
通知票に『人の話は聞きましょう!』って書かれただろうお父様は、お兄様の話を全く聞かず、美女の匂いがする(お父様談)方へと走り出してしまった!
渋々…本当に渋々お父様の後について行く私達…

「何だ、アンタ等!?」
少し走ると、小さな小屋の前に到着した。
その前には門番 (?)が1人…
何だ此処?
「この中に居る」
「此処は漬け物を保存している地下保存庫だ!誰も居ない!!あっちへ行けよ!」
あぁ…地下へ通じる階段があるだけの小屋か…
道理で小さいわけだ。
「うるさい、退け!」
中へ入ろうとするお父様の邪魔をし、あっさり弾かれる門番…よわっ!


地下は意外に広々しており、幾つもの大きな瓶が並び糠漬け特有の強烈な匂いが充満している。
「うっ!何この匂い!?腐ってるんじゃないの!?」
西洋人 (?)のアルル様達には、この糠漬けの匂いは苦痛だろう…
元ジャパニーズの私には臭いと感じても、耐えられない程ではない…
「此処に居る!美人の匂いがする!」
…仮に、美女の匂いがしたとして、この中で嗅ぎ分けられるとは思えない。
「父さん………酷い悪臭しかしないじゃないですか……鼻と頭がおかしくなったんですか?」
きっと頭よ!
元からだったけど、この臭いで悪化した。

しかしお父様は、お兄様の侮辱を無視して、瓶の蓋を1つずつ開けて中を確認して行く。
お!美味しそうなリュウリ発見!
1本くらいなら許されるわよね…
「う~ん…美味しいですわ!!このキュウリ最高ですぅ」
やっぱ日本人にはコレよね!
あ~…渋い緑茶が飲みたい!

「こらマリー!そんな物食べちゃいけません!お腹壊しますよ!」
「大丈夫ですよお兄様。別に腐ってる訳じゃありませんから」
お前のくわえるよりはマシだろうが!
「お、居たよ!!」
どうやらお父様はお目当ての美女を見つけた様だ…
本当に居たのね!?
まぁいい…私はもう1本、キュウリを戴こうと思います。

私が一心不乱にキュウリを食べていると、瓶の中の美女が涙ながらに訴える…
「あ、あの…どうか見逃して下さい!……せめて一晩……あと一晩、故郷との別れの時間を私にください…」
白装束を纏った美女は、きっと生贄のヤヨイ姉ちゃんだろう!
しかしまぁ…お父様に見つけられたという事は、もう生贄にされる事は無くなるだろうて…
筋金入りのエロオヤジだし…
あ…でも、ヤマタノオロチに食べられなくても、お父様に喰べられちゃうか…
まぁいいや!
私はもう1本だけキュウリを戴こう…


「あの…何のこ「貴様ら!!見つけてしまったな!!」
アルル様が質問をしようとしたのだが、私達の後ろにある唯一の出口に、先程の門番が現れ、ヒステリックに大声を出し、プンプン怒っている。
何であんなに怒ってるのだろうか?
お父様に突き飛ばされたのがムカついたのか?
ヤヨイちゃんを泣かしたのが気に入らないのか?
キュウリを摘み食いしたのが拙かったのか…
うん。もう1本と思ったけど、もう止めておこう!

「えっと……何?どうしたの??」
「見られたからには、生きて返すわけにはいかない!ヤヨイは俺が守る!生贄になどさせはしない!」
うむ…どうやらヤヨイちゃんを泣かした事にお怒りの様だ。
私は関係ないわね!

「へー、君ヤヨイちゃんって言うんだ!可愛い名前だねぇ!」
「あ!は、はい………」
でたよ…エロオヤジのナンパが…
お母様が居るのだから、少しは控えてほしいわね…
せめて、直ぐ側に居ない時にしなさいよ!

「あらお父様!私の名前だって可愛いですわよ!」
「うん。可愛いよマリーも…でも一番可愛い名前はビアンカだけどね!」
よし!ナイスな発言!
私が夫婦の間を取り持ってあげたわ!
「まぁ、ラブラブですわね!」
お母様も満足そう!

「落ち着いて下さい…僕等はヤヨイさんを、生贄に捧げる為に此処へ来たわけではありません!むしろ助けようと思ってる!」
さてさて…
混乱の拡大したこの状況を、収めようと奮闘するのは我が兄です。

「ほ、本当か…?」
「何だよぅ…疑うなよ!美女を助けるのは、イケメンの義務だろ!美女の居ないジパング人大勢の命より、美女一人の命を救う…それがイケメンの義務だ!お前もそのつもりなんだろ!?その他大勢の命を犠牲にして、この美女の命を優先するんだろ?」
しかしながら、混乱を増大させようとするのが我が父なのです。
「そ、それは……お、俺はジパングの民の命を犠牲にするつもりなどは…」
「アナタは黙ってて下さい!話がややこしくなる……この男の言う事は無視してくれ。この男以外の僕等は、誰の命も犠牲にしない!このジパングを救う為に来たんだ!」
お兄様の、苦労は続くよ何処までも!



 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧