DQ3 そして現実へ…~もう一人の転生者(別視点)
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チャンスとタイミング
さて…
昨日はタリーナさんのお持て成しで、楽しい時間を過ごせました。
偶には生き抜きも必要ですね。
何よりお兄様とアルル様が、付き合い始めたのも良い事ですし…
若い男女が付き合い始めたら、押さえきれないリビドーを垂れ流す様に、あっちこっちで栗の花臭を散布させると思ったのですが…
それを期待して、動きを目で追っているのに、超真面目に働くばかり…
若いのにEDなのかと思ってしまいます。
するとお父様が、
「つまらん、つまらん……人目も憚らずキャッキャッウフフとイチャ付けば良いのに…欲望を押し殺して仕事するなよ!」
と、父親とは思えないコメントを…
「お父様、お二人は欲望を押し殺してはいませんわ!根っから真面目すぎて、そう言う思考に到達しないのですわ!」
可哀想に思えたので、私なりにフォローを入れました。
さて…出港準備も整い、船が動き出すと…
アルル様達が一斉に私とお父様の回りへ集まります。
今後の進路を話し合うのだ。
「俺の仕入れた情報では、此処から南に『ジパング』と言う国がある。其処の女王が『パープルオーブ』を持ってるって話だ!」
「じょ、女王ですか…」
カンダタの情報を聞き、あからさまに嫌な顔をするアルル様。
「あの国はヤバイみたいだよ!『ヤマタノオロチ』って化け物が出て、生贄を与えないと国を襲うそうだ!そこで女王ヒミコは神のお告げを受け、定期的に少女を生贄に捧げているらしいよ…」
「何ぃ!美少女を生贄に捧げるだとぉ!!許せん、僕達がジパングを救わねば!!」
『少女』とは言ったが、『美少女』とは言ってないだろ!
「では、このまま南下しジパングへ…その後、ランシールへ赴くコースで良いですね!?」
カンダタの情報を聞き、纏めに入るアルル様…
ところがドッコイ、そうはいかないんだな!
例のロリ野郎に、もう一枚パンツをくれてやり、更にボーナスでスカートを撒くってその場で自家発電のネタになり、変化の杖の情報をカンダタに流すように仕向けた。
勿論、その情報は私が教えてやったのだけどね…
つまり、私からの情報を、ロリ野郎はカンダタに伝え、それを再度私へと伝えるシステム。
めんどくさいけど、しょうがないのです…
切っ掛けさえあれば、皆を導けますから!
「おっと、待ってくれ!もう一つ情報があるんだが…変化の杖についての…」
「まぁ、カンダタ様!本当ですか!?変化の杖は何処にあるのですか?」
うん。ロリ野郎は、報酬分は働いた様だ…
「あ、あぁ…変化の杖は『サマンオサ』の王様が持っているらしい…」
「サマンオサ…あの高い山脈に囲まれた国か………行けなくはないが、あの山脈越えは厳しいと思うよ!」
「そうですよねモニカさん!簡単に行けるのなら寄り道も良いけど、ムリして行く事は無いですよ!」
アルル様は寄り道をしたくないらしく、カンダタの情報に嫌な顔をしている。
「…いや、そうでも無いんだ………ジパングの直ぐ北にある祠に、サマンオサへ通じる旅の扉があるらしいんだ!…だから、ジパングの後にサマンオサへ行くのはどうだ?」
これも私が仕込んだ情報だ。
カンダタを凄い形相で睨むアルル様。
「では決定ですわね!ジパング・サマンオサ・ランシールの順番で世界を回りましょう!」
些か強引に、私が進路を決めてしまう。
「……………」
アルル様は、苦虫を噛み潰したような顔で黙っている。
ちょっと怖い…
取り敢えずだが今後の予定が決定し、お父様の前から皆が散開する。
本心では納得のいってないアルル様が、イライラしながら船室へと戻って行きます。
そして、それを追うお兄様の姿が…
「………アルル怒ってたねぇ…」
「そりゃ、無駄な寄り道をする事になっちゃえば、1秒でも早く平和を取り戻したいアルルにしてみれば、納得がいかないですよ」
お父様の呟きに、ウルフちゃんが的確な突っ込みを入れる。
「ふ~ん…でもさぁ…怒っている女の子を、2人きりの時に宥めるのって、最高に燃えるエッチのシチュエーションじゃね?」
あの2人に、そんなコテコテはないだろ…多分…
「いや、あの2人にそう言う事はあり得ないでしょう!」
「でも今頃、アルルの部屋で2人きりだぜ…そして苛つく彼女を宥めてるんだぜ…」
「………」
う~ん…全ての条件が揃えば…もしかしたら…
「今覗けば、二人のエッチが見れるよ!」
「もしかしたら…凄い事になってるかもしれませんね!」
勇者と呼ばれる2人がするプレイって、どんな事なんだろうか?
あ、やばい…ちょっと濡れてきた。
私はウルフちゃんに目で合図を送り、一緒にアルル様の船室までダッシュする!
船室の前に着くやドアを少しだけ開けて、中の様子を観察する事に…
「どう考えたって幽霊船なんか関係ないじゃない!…仮に、幽霊船にオーブがあったとしても、その情報を入手してからだって良いじゃない!!」
大分ご立腹のアルル様。
「ま、まぁまぁ…確かに父さんは身勝手だけど、その身勝手さで後日重要な手懸かりを得る事も多々あるんだ!」
そしてアルル様を宥めようと努力するお兄様。
何だかんだ言って、お父様の事は評価してんのね。
「はぁ………」
アルル様も諦めたのか、大きな溜息を吐いて俯いちゃった。
そんなアルル様を見つめ、そっと手を握りキスのタイミングを計るお兄様。
でも、なかなかタイミングが掴めず、行動に移せてない。
あぁ、もどかしいわね!
ブチュっといっちゃいなさいよ!
襲いかかり、無理矢理押し倒しなさいよ!!
男はみんな野獣でしょ!
(ガタッ)
あ、やべ!
思わず前のめりになり、ドアに足が当たっちゃった…
急にドアが開き、お兄様がこっちを睨んでる。
「な、何やってんだ!」
「あ!バレましたわ!!」
「ウルフ君…君まで…」
「いや…ち、違うんだ!!リュ、リュカさんがね…『今覗けば、二人のエッチが見れるよ!』って言うからさ!………つい………」
うん。言ってた!
嗾けたのはお父様よ!
私は悪くないもん!
「あ、あのクソ親父!!」
珍しく汚い言葉遣いで甲板へ駆け出すお兄様。
「行っちゃいましたわ…」
「よ、良かった~…殴られるかと思った!」
それは大丈夫!
変態的なシスコンだから、私が可愛く許しを請えば、ズリネタ提供しなくても許してくれるわ!
「ちょっと!ウルフ、マリーちゃん!私達まだ付き合い始めたばかりなんだからね!……邪魔…しないでよ…もう!」
でも、こっちの姉ちゃんには謝っておかないと、後が怖そうだ…
「ごめん、アルル…リュカさんに踊らされました…」
まぁ、次の機会に頑張ってよ。
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