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英雄伝説~黎の陽だまりと終焉を超えし英雄達~

作者:sorano
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第47話

21:02――――――



~ベガスフィルム・トレーニング室~



「はっ…………!…………やあっ…………!」

ヴァン達がトレーニング室を訪れるとゴッチ監督とジュディスの指導の元シャヒーナが踊りの練習をしていた。

「はあはあ、どうだった?」

ヴァン達の登場に気づいたシャヒーナは一旦練習を中断してヴァン達に感想を訪ねた。

「す、、凄かったです…………!うまく言えないですけど!」

「シャヒーナさんらしく伸びやかでそれでいてどこか大人っぽくて…………!」

「ハッ…………姉貴とは違った独自の境地が見え始めやがったか。」

「…………どうやら行けそうだな?」

仲間たちがそれぞれシャヒーナに感想を言った後ヴァンはジュディスに確認した。

「ふふ、パレードに合わせた調整の余地はまだまだあるけどね。」

「うむ、現時点ではサァラちゃんのイメージの足元にも及ばんじゃろうからな。じゃがこのサルバトーレ・ゴッチの名に賭けてなんとか一晩で完成させてみせようっ!」

「うん、ヨロシク監督っ!お姉は――――――ううん、今は任せたっ!監督、次のパートについて教えてくださいっ!」

「おお、それじゃあ折り返し地点じゃが――――!」

そしてシャヒーナがゴッチ監督の指導を受けている間にヴァン達はジュディスに今までに判明した情報を報告した。



「…………それにしても、あれからそんな話になってたとはね。その”導力シーシャ”を広めたのも…………」

「ああ――――――卸業者を絡め上げて裏も取れた。映画祭のキャンペーンっつう名目で試供品をあちこちにバラ撒いていたらしい。」

「当局の審査も通さずに進められた形跡もありましたね。」

「その…………直接的な証拠まっではまだ見つかっていいないそうですけど。」

「状況的には真っ黒じゃない。あのチョビ髭、舐めた真似を~…………」

ヴァンとリゼット、アニエスの話を聞いたジュディスはギャスパー社長を思い浮かべて怒りに震えていた。

「ま、ギャスパーの独断で多分ゴッチ監督は何も知らねぇだろう。今はシャヒーナ共々、そっちの方に集中させといてくれ。――――――姉貴の方は俺達の方でこれから何とかするつもりだからよ。」

「…………アンタたち…………やっぱりサァラさんはこのビルのどこかに…………?」

「警察とギルドの情報も当たってみたがこのビルから出た形跡はゼロだった。だったら可能性は一つだからなァ。」

「なお、ディンゴ様とGID方面の情報によると――――――一年前の当ビル建設時の申告と建設会社の書類に齟齬があるそうです。それによれば”ある筈のない”フロアがどこかに存在するのだとか。」

「…………!」

アーロンとリゼットの話を聞いたジュディスは目を見開いた。

「…………多分、何らかのセキュリティで社長しか行けない場所なんだと思います。おそらくサァラさんはそこに――――――」

「ですが上手く”陽動”できれば尻尾を出すはず…………!今、ニナさんにも協力してもらって仕掛ける端末を特定していましてっ。」

「……………………」

「ジュディス君、来てくれたまえっ!」

「ここの舞いのパターン、どちらがいいと思いますかっ!?」

アニエスとフェリの話を聞いたジュディスが考え込んでいるとゴッチ監督とシャヒーナがジュディスに声をかけた。



「ええ、今行くわ――――!――――A2端末。何か仕掛けるならそこよ。」

「…………!」

二人の元へと向かう際に呟いたジュディスの助言を聞いたヴァンは目を見開いた。

「…………今のは…………」

「ハン、いざとなったら自分で動くつもりだったみてぇだな。」

「皆さん…………!…………すみません、アクセスできる端末は幾つか見つけたんですが…………セキュリティレベルが違うらしく、どれが侵入しやすいかまでは…………」

ジュディスの助言を聞いたアニエスが驚き、アーロンがジュディスの行動を予測したその時ニナが現れて申し訳なさそうな表情で報告した。

「いや、それなら問題ない。」

「―――――A2という端末に案内して頂けるでしょうか?」

そしてニナの案内によってヴァン達がある端末に向かって少しした後、ギャスパー社長は悪態をついていた。



「くっ、まさか導力シーシャがいきなり取り締まられるとは…………このままでは私は…………い、いや、まだ決定的な証拠は出ていないハズ!こうなったらいっそ警察あたりを誘導して”連中”を遠ざけ――――いや駄目だっ!ええい、どうして私がこんな目に…………!と、と、とにかく映画祭だけはなんとしても乗り切らなくては…………その後は―――」

今後の予定をギャスパー社長が考え込んだその時ギャスパー社長のザイファに通信が来た。

「な、なんだこんな時に。」

「こ、こちら警備室…………!社長にお客様が見えております!」

「客…………?こんな夜中にどこのどいつだ!?」

「ええ、それが…………南カルバード警察だとかで社長と今すぐ面会をしたいと――――――!」

「なあっ…………!?バ、バ、馬鹿な――――――もう嗅ぎ付けたのか…………!?」

「どうしました、社長!?お通ししてもよろしいのでしょうか!?」

「ダメだ――――――い、い、いやいや、まだ令状は持っていないのだろう!?とにかく時間を稼げ…………!!クソッ、こ、こうなったら…………!!」

自分にとって窮地となる通信内容を無理矢理終わらせたギャスパー社長は焦った様子でエレベーターに乗り、ある場所に向かった。





~地下5階~



「そ、そうだ…………念のために起動しておくか…………」

「警備モードをオンにしました。」

ベガスフィルム本社の地下深くに到着したギャスパー社長がザイファを操作するとザイファから機械音声による報告が聞こえた。

「と、とにかくアレだけはなんとか処分しなければ…………!」

「…………やっと行ったか。」

そしてギャスパー社長が目的地に向かった走り去るとステルスモードで姿を消していたヴァン達が姿を現した!

「こんな使い方もあるなんて…………」

「以前わたしが引っかかかった偽装シャードの応用ですねっ。」

「クク、さっきの”変声機能”もなかなか面白かったぜ。あれもシャードを使ってんのか?」

アニエスは自分が知らない予想外のザイファの使い方に驚き、フェリがかつての出来事を思い返している中、不敵な笑みを浮かべたアーロンはリゼットに確認した。

「はい、ホロウと組み合わせる事で各種シャードは様々に応用できます。機会があればご指南いたしますのでなんでも聞いてくださいませ。」

「よ、よろしくお願いします。(違法ギリギリな気もしますが…………)――――――それにしても”地下”にこんな大きなフロアがあったなんて。」

リゼットの申し出に冷や汗をかいて答えたアニエスは周囲を見回した。

「あるはずのねぇ”B5F"…………ディンゴとGIDの情報通りだったな。何かの研究施設みたいだが…………――――――で、お前さんたちはどうするんだ?」

「やっぱ気づかれてか。」

ヴァンが誰もいない場所に声をかけると女性の声が聞こえた後フィーとアネラスが現れた。



「…………あなた達は…………!」

「チッ、いつの間に…………」

「も、もしかして先回りを?」

「ま、GIDと記者さんの情報から何かやらかしそうな雰囲気だったから。」

「ヴァンさんとリゼットさんは気づいていたみたいですけどね。」

「ええ、探査シャードの展開時に。」

「さすがこの手の潜入(スニーキング)はお手の物みたいだな。だがいいのかよ、俺達はまだしも”正義の味方”が不法侵入(こんなこと)をして。」

フィーの後に答えたアネラスの指摘にリゼットは頷き、ヴァンは感心した様子で呟いた後確認した。



「正攻法じゃ間に合わない――――――そう判断したまで。民間人が拉致されているのにこれ以上モタモタしてられない。」

「協会規約第二項”民間人に対する保護義務”……『遊撃士は、民間人の生命・権利が不当に脅かされようとしていた場合、これを保護する義務と責任を持つ。』…………あまり褒められた話じゃありませんが、遊撃士(わたしたち)はこの規約が発生すればある程度の無茶はできますから。」

ヴァンの指摘に対してフィーは静かな表情で、アネラスは苦笑しながら答えた。

「同行させてもらうけどいいよね?」

「むしろ願ったりだ。よろしく頼むぜ――――――”妖精”に”剣迅”。」

「はい!こちらこそよろしくお願いします!」

「ったく…………まあたしかにウダウダやっている暇はねぇか。」

「今はとにかくサァラさん救出が最優先かと。」

「…………はいっ。ギャスパーの追跡を開始します!」

こうしてフィーとアネラスを加えたヴァン達は時折自分達に襲い掛かる人形兵器達を撃破し、仕掛けを解除しながらギャスパー社長の追跡をして奥に到着すると驚愕の光景があった。



~最奥~



「ハアッ!?」

「おいおい、どうなってやがんだ…………!?」

驚愕の光景――――――ロイドに取り押さえられたギャスパー社長を目にしたヴァンは驚きの声を上げ、アーロンは真剣な表情で呟き

「―――――ギャスパー・ディロン。拉致監禁罪、薬物製造を始めとした数多の罪で逮捕する!」

「ぐうっ…………!な、何故警察がここに先回りを…………!」

ロイドは宣言をした後ギャスパー社長の両手に手錠をかけ、手錠をかけられたギャスパー社長は呻きながら呟いた。

「も、もしかして貴方達は…………」

「”エースキラー”とそちらのお二方は”北の猟兵”ですね。」

アニエスは驚きの表情でロイド達を見つめ、リゼットがロイド達の正体を口にした。

「そういうそっちは何者?」

「待って、ラヴィちゃん。あの人達は確か煌都で管理官とタラちゃんが共闘したっていう例の”解決事務所”一行よ。」

対するラヴィは警戒の表情で自身の武装を構えたがイセリアが制止の声を上げた。

「ハッ、クレイユの時に続いてまたテメェらか…………しかも、今回はお前もいるとはな、フィー。」

「久しぶり、ガルシア。エースキラーの一員であることは知っていたけど、まさかこんな所で出会うとは思わなかった。」

ヴァン達を見回したガルシアは鼻を鳴らした後フィーに視線を向け、視線を向けられたフィーは懐かしそうな表情で答えた。

「リーシャ、彼女の具合はどうかしら?」

「大丈夫です。何らかの睡眠薬をかがされて眠っているだけで、命に別状はありません。」

「サァラさん…………!よかった、ご無事で…………って、貴女も”天使様”なんですか…………!?」

ルファディエルはサァラを抱き上げたリーシャに確認し、確認されたリーシャが答えるとフェリは声を上げた後安堵の表情を浮かべた後ルファディエルの背中の翼や頭上の光の輪を見て驚きの声を上げた。



「え。あ、貴女はもしかして…………”アルカンシェル”の”舞姫”の一人――――――リーシャ・マオさん…………!?どうして貴女がエースキラーの人達と一緒に…………」

「そいつが連中と一緒にいて当然だろう。――――――何せ”(いん)”もエースキラーの一員でもあるのだからな。」

「”(いん)”というのは確か煌都での”出張”の時に何度か耳にした…………」

「ハン、まさかあのチョウがアルマータとの戦いに備えて”切り札”にしようとしていた噂の伝説の暗殺者が名高きアルカンシェルの舞姫とはな。」

「ううっ、”裏稼業”からは手を引いたとはいえ、初対面の人達に私の正体がバレることは複雑ですね…………」

一方リーシャを目にして驚いているアニエスに説明したヴァンの話を聞いたフェリは真剣な表情を浮かべ、アーロンは鼻を鳴らして興味ありげな表情を浮かべてリーシャを見つめ、リーシャは疲れた表情で呟いた。



「そちらも既に”私達が何者か察してるでしょう”けど、初対面の人達もいるし軽く自己紹介だけはしておくわ。クロスベル中央警察”一課”所属ルファディエル警視よ。今は”エースキラー”の一員として活動しているわ。」

「同じく”エースキラー”の一員にしてクロスベル中央警察”一課”所属のロイド・バニングスだ。…………お久しぶりです、ヴァンさん。」

「…………私は”北の猟兵”所属ラヴィアン・ウィンスレット。」

「同じくイセリア・フロストよ。煌都ではあたし達の仲間が世話になったわね、解決事務所の一行さん♪」

そしてルファディエルが自己紹介をするとロイド、ラヴィ、イセリアも続くように自己紹介をした。



「え…………ヴァンさんは”中央警察”の方ともお知り合いなんですか…………!?」

「ああ、3年前に少しだけ縁があってな。お前らの誰とも連絡が取れない時点で予想はしていたが…………まさか、完全に先回りをした上でギャスパーを捕まえるために予め待ち構えていたことには驚いたぜ。」

アニエスの疑問に答えたヴァンは苦笑しながらロイド達に指摘し

「そういえば…………皆さんはギャスパー社長よりも先回りをして証拠を隠滅する為に現れたギャスパー社長を取り押さえたようですけど…………一体どうやって先回りできたんですか?私達はギャスパー社長を追跡して、ギャスパー社長でしか入れなかった”B5F”にようやく潜入できたのに…………」

「う”っ…………それについてはできれば突っ込んで欲しくなかったんだが…………」

「まあ、普通なら”違法”のやり方で侵入したから現役の刑事にとっては複雑でしょうねぇ。」

「い、”違法のやり方で侵入した”、ですか…………?」

アネラスの疑問にロイドは唸り声をあげ、苦笑しながら呟いたイセリアの言葉を聞いたアニエスは困惑の表情を浮かべた。



「…………!――――――恐らく彼らは”外部の協力者”による遠隔からの”ハッキング”でギャスパー社長でしか入れなかったこの”B5F”に突入し、ギャスパー社長を待ち構えていたのかと。」

「なるほどな…………そういえば”特務支援課”には”ハッキング”が専門の奴がいたな。」

「いや、ティオは”情報処理”が担当で、ハッキングの専門ではありませんよ!?」

リゼットの推測を聞いて納得した様子で呟いたヴァンにロイドは疲れた表情で指摘した。

「”はっきんぐ”…………?」

「”ハッキング”とは自分の端末を使って他人の端末に侵入し、情報を盗んだり様々な操作をしたりするその…………”違法行為”なんですけど…………」

「バニングスの口ぶりから察するに既にアンタらはギャスパーの導力シーシャによる薬物汚染の件も掴んでいるようだが…………”一体いつから俺達よりも早くギャスパーが薬物汚染に関わっていることに気づいたんだ?”」

初めて聞く言葉に首を傾げているフェリにアニエスは気まずそうな表情で説明し、ヴァンは自身の疑問を訪ねた。



「ベガスフィルム――――――いえ、ギャスパーがサルバッドの薬物汚染に関わっている事自体は、陽炎砂丘にある麻薬と同等の効果がある植物の成分とサルバッドで暴れている人々の一部から採取した血をクロスベルにいる”協力者達”に調べてもらった結果一致した時点――――――つまり、”3日前の時点で確信したわよ。”」

「ハアッ!?」

「ば、ば、バカな…………っ!?一体何故…………」

ルファディエルが口にした驚愕の事実を知ったアニエス達がそれぞれ血相を変えて驚いている中ヴァンとギャスパー社長は信じられない表情で声を上げた。

「まずこのサルバッドで起こっている”異変”――――――観光客もそうだけど住人の一部が”羽目を外しすぎている”件…………これを知った時点で真っ先に”薬物汚染”を疑ったわ。――――――何せ”4年前のクロスベルで起こった出来事”に状況が似ているもの。」

「”4年前のクロスベルで起こった出来事と似ている”、ですか…………?」

「4年前…………クロスベル…………あ。」

「も、もしかして…………”教団”の生き残りであるヨアヒム・ギュンターが起こしたあの事件の事ですか…………!?」

「なるほどな。当時”ルバーチェ”によって広められた”G”を接種した連中は身体能力の上昇等様々な恩恵があったがどいつも例外なく高揚状態になっていたという話だったな。」

「フン…………」

「その件を考えますと、今回のサルバッドの件はクロスベルの件に類似していますからサルバッドの状況を知ればすぐに”薬物汚染”を疑うのも当然の流れかもしれませんね。」

ルファディエルの話を聞いたフェリは不思議そうな表情を浮かべ、考え込んだ後あることに気づいたフィーは呆けた声を出し、驚きの表情で声を上げたアネラスに続くようにヴァンは納得した様子で呟いてガルシアに視線を向け、視線を向けられたガルシアは鼻を鳴らし、リゼットは静かな表情で推測した。



「だが、その”薬物汚染”の原因が導力シーシャだとそんなにも早い時点で何故わかったんだ?俺達がその件を掴んだのもそこのオッサンが昨夜手配した最新の検査機で誘拐犯共から接種した事でわかったってのに、その俺達よりもどうやって早く把握したんだ?」

「それに関しては貴方達と同じ――――――つまり、今日みたいに”羽目を外し過ぎた事で何らかの問題を起こした人々が逮捕された際、エースキラー(わたしたち)が彼らが事件を起こした理由として薬物汚染の線も疑っている事を名目で逮捕された人々から予め血液を接種していたから”よ。」

「ちなみに連中が”羽目を外し過ぎている原因”となった成分の植物を見つけたのはそこの人使いが荒い天使に指示されて、砂漠を探し回ったあたしとラヴィちゃんの功績なんだからね~。」

アーロンの疑問に答えたルファディエルに続くようにイセリアが疲れた表情で補足の説明をした。

「”人使いが荒い”とは心外ね。北国出身の貴女達には砂漠の暑さは辛いでしょうから、貴女達の活動は昼間と比べると一気に気温が下がる夜にして、昼は冷房が効いている部屋で休めるようにしてあげたじゃない。」

「………確かに寒さに慣れている私達にとってはあのくらいの寒さは平気だけど、そっちが借りている車があったとはいえまさか広大な砂漠で探し物をさせられるとは思わなかった。」

イセリアに対して反論したルファディエルにラヴィは疲れた表情で指摘し、話を聞いていたヴァン達はそれぞれ冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。



「…………ここ、は…………パレード…………シャヒーナは…………」

するとその時サァラが目覚めた。

「サァラさん…………!」

「目を覚ましたか。そっちもギャスパーを捕まえたことだし、まずは一旦地上に上がった方がいいんじゃねぇか?」

サァラが目覚めるとアニエスはサァラに声をかけ、ヴァンはロイド達に提案した。

「そうね。…………(”本命の方は引っかからなかったわね”…………)」

「……………………」

ヴァンの提案に頷いたルファディエルは別の扉に視線を向け、ルファディエルの視線に気づいたヴァンは真剣な表情を浮かべて扉を見つめた後仲間たちと共にその場から撤収した。



「まさか”エースキラー”に先回りされてギャスパー社長を抑えられるとはねぇ…………明日の”祭り”の”前座”として彼には死んでもらう予定だったのに、見逃してよかったのかい、ボス?」

「フン、あんな”小物”の為に”俺達の介入を想定した上で戦力を整え、罠を張っていたら奴ら”に仕掛けるには割が合わなすぎる。邪魔者共によって奴の”恐怖”による”前座”を失ったのは不愉快だが…………――――――捨て置け。奴には”映画祭”の件について大した情報は渡していないし、どうせ奴はもう”終わりだ”。」

一方ルファディエルやヴァンが視線を向けた扉の向こうにある通路にいるメルキオルは溜息を吐いた後コートの男に確認し、確認された男は鼻を鳴らして答えた。

「”僕達の介入を想定した上で戦力を整え、罠を張っていた”って…………フフ、噂では聞いていたけど噂以上の”先読み”の持ち主のようだね、”叡智”は。だけどそうなると下手したら明日の”祭り”も”先読み”されているんじゃ?」

「ハッ、仮に明日の”祭り”を”先読み”した所で無駄だ。既に”種は撒かれた後”なのだからな。」

男の言葉に目を丸くしたメルキオルは苦笑した後ある懸念を口にし、メルキオルの懸念に対して男は鼻を鳴らして嘲笑した後メルキオルと共にその場から去って行った――――――

 
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