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Fate/WizarDragonknight

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変身

『コネクト プリーズ』
『ソードベント』

 ウィザーソードガンとドラグセイバーを目の前で交差させ、先陣を切る。

「行くよ! 真司!」
「っしゃあ!」

 気合を入れた龍騎が先行、そのすぐ後ろをウィザードが追いかける。
 同時に飛び上がった二人の仮面ライダー。アマダムドラゴン態が振り下ろした腕と同時に、空中で激突。

「ぐっ!」
「うおっ!」

 空中に投げ出されるウィザードと龍騎。それぞれ体を翻しながら着地した二人は、さらに次の手を打った。

『ストライクベント』

 龍騎に装備されたドラグクローから、炎があふれ出る。
 その隣では、ウィザードの手から炎が舞う。それが円を描くと、炎が一気に噴き出す。
 二つの炎は混ざり合い、より大きな炎となってアマダムを飲み込んでいく。
 だが、それに対してアマダムも黒い炎で対抗。せめぎ合う二つの炎はやがて消滅し合い、残り火が舞う。
 そしてその中を、巨大な筋肉の塊が駆け抜ける。

「お、おい!」
「オレ様はアブラミー! 世界征服のために、お前には消えてもらうぜ!」

 アブラミー。
 そう名乗ったサーヴァントは、大きく跳び上がり、その頭上から拳を放った。

()すこいプレス!」

 だが、アマダムはそれ以上早く顔を上げる。アブラミーの胴体を突き上げるほどの速度のそれは、そのままアブラミーを吹き飛ばした。

「ぬああああああああああああにいいいいいいいいいい!?」

 そのまま天空へ星となったアブラミーへ目もくれることなく、アマダムはさらにその翼を強く羽ばたかせる。
 空中に浮かび始めたアマダムは、そのまま参加者達の頭上を滑空。

「ぐっ……!」

 風圧によって、参加者たちはドミノ倒しのように倒れていく。
 しかし、巨体のアマダムは気付かなかった。
 その進路上に、手榴弾が並んでいることに。
 アマダムが触れると同時に爆発していく手榴弾。悲鳴を上げながら、アマダムは墜落した。

「貴様か……!」

 アマダムの目線の先。
 離れた崖の上で、髪を靡かせるほむらの姿があった。

「キャスターのマスター……! サーヴァントがいない貴様など……!」
「そのサーヴァントがいない最弱マスターにダメージを負わせられたのはどこの誰かしら?」

 ほむらは吐き捨てて、ハンドガンを発砲。アマダムのこめかみに当て、動きを怯ませる。

「ブライナックル!」

 さらに別方向より、紫の拳が雨となってアマダムを打ち付ける。
 あちらこちらに煙を昇らせながら、アマダムは悲鳴を上げる。

「貴様……!」

 アマダムが見上げたのは、ブライ。
 空中で見えない何かに乗るムーの戦士は、紫に燃える右手を掲げていた。

「ムー以外の力は、オレが破壊する……!」
「ぬあああああああああああっ!」

 吠えるアマダム。
 そんな怪物をみ詰めながら、ディケイドは隣のディエンドの肩を叩く。

「海東。お前、今回は面倒ごとしか起こしていないんだから、少しは協力しろ」
「酷いなあ士。僕はいつだって、君の味方をしてあげているじゃないか」
「言ってろ」

 互いに軽口を叩き合い、ディケイドはケータッチをセット。
 瞬時にコンプリートフォームになったディケイドは、ディエンドの顔が描かれたカードを右腰のディケイドライバーに装填する。

「行くぞ」

 指で二度、カードの端を叩き、ディケイドはそれをベルト右に付けたディケイドライバーに装填した。

『ファイナルアタックライド ディ ディ ディ ディエンド』

 ライドブッカーをガンモードにしたディケイド。すると、その胸に付けられているカードが全てディエンドのカードに差し替えられていく。
 二人は全く同じように、それぞれの銃を持ち上げ、同じタイミングで引き金を引く。
 すると、アマダムが反撃として発射した光線を押し切り、そのままアマダム本体にも命中、大きなダメージを与えた。

「私たちも行くよ! 友奈ちゃん! 響ちゃん!」

 それに続くのは、可奈美。
 左右を共に走る響と友奈は、ともに頷いた。

「うんッ!」
押忍(おっす)!」

 可奈美、響、友奈は同時に飛び上がる。それぞれアマダムの体を伝い、ダメージを与えながら目の前に躍り出る。

「うおおおおおおおおおっ!」
「だりゃあああああああッ!」
「やあああああああああっ!」

 剣と拳。
 三つの攻撃手段は、それぞれアマダムの機動力を奪っていく。

「おのれ……おのれえええええええええ!」

 全身から火花を散らしながらも、アマダムは叫ぶ。
 すると、その口から今度は巨大な岩石型の光線を吐き出す。
 空中へと打ち出されたそれは、大きく爆発。小さな岩石片となって降り注がれていく。

「うわっ!」

 その攻撃能力は、やはりその規模に比例する。
 無数の隕石となったアマダムの攻撃は、周囲を破壊し尽くしていく。爆発に重なる爆発により、誰も彼もが爆発に煽られ、吹き飛んでいく。

「ひっ……! ひはははははッ!」

 笑い出したアマダムは、さらに破壊を振りまく。

「粉々に砕け散れ!」

 さらに、アマダムは一際大きな隕石を打ち出す。
 荒野一体を破壊し尽しかねない規模の隕石。
 だが。

「そうは、させません!」

 そう叫んで空中へ浮かび上がるのは、えりか。
 祈りを捧げるように手を組み、その手を前に突き出す。
 すると、彼女の左右の肩から伸びる三つずつ、計六つの機械___その名はshooting star___が、それぞれ天使の翼のように広がる。
 それは正面で六角形を描き、その中心でセラフのエネルギーによる盾を作り出す。
 するとその盾は、隕石を受け止め、むしろその頑丈さによって隕石を破壊する。
 目を見開いたアマダム。だが。

「甘いわ」

 すぐ背後に、リゲルが回り込んでいた。

「何……!? あれほどの数の攻撃を……!」
「アレ程度の数の隕石、弾道計算も容易いわ。シールダーに夢中で私に気付かなかったようね」

 そう言って、アマダムの背中に砲台の銃口を押し当てる。

「シュート!」

 ゼロ距離で発射される青い光線。背後から押し出されたアマダムだったが、その勢いを利用して上空へ滑空。

「逃がさねえ……お前はここで落とす!」

 だが、すでにファルコマントを付けたビーストが上空へ先回りしていた。
 アマダムよりも幾分か高い高度へ上昇し、指輪を発動。

『バッファ ゴー バッバ バ バ バ バッファ』

 赤い闘牛のマントに書き換わったと同時に、ビーストは自由落下の勢いを利用してアマダムへと突撃。
 脳天からの衝撃に耐えられず、アマダムは地面へ落下。大きな土煙を巻き起こした。

「参加者共……!」

 煙の中から、アマダムがその姿を現す。
 だが、すでに龍騎が次の一手を___自らの紋章が描かれたカードをドラグバイザーに装填していた。

『ファイナルベント』
「はああ……!」

 龍騎が、両腕を伸ばす。同時に、咆哮とともにドラグレッダーが龍騎の周囲を旋回。
 ドラグレッダーへの舞を捧げ、大ジャンプ。

「だああああああああああああああああっ!」

 体を回転させ、紅蓮の炎に包まれた(ドラゴンライダー)キックが放たれる。それは、アマダムの顔面に命中、大きくのけ反らせた。

「行くよッ! ソロッ!」
「フン……!」

 響とブライが、それぞれ拳を固める。黄色と紫の光がそれぞれの腕に宿り、同時に飛び上がる。

「ふざけるなあああああああああ!」

 叫んだアマダム。その口から発射された光線が、響とブライを飲み込んだ。だが、二人の突進する拳はそれを掻きわけ、やがて完全に打ち破る。

「だりゃあああああああああああああああああッ!」
「ふんっ!」

 二人の拳はそのままアマダムの胸元に叩き込まれ、貫通する。
 続いて、アマダムの周囲に青いパネルが表示されては消えていく。

「終わりよ」

 やがて、青の世界の技術が、この地に降臨する。
 青い光が何重もの球を描き、その中心でリゲルが砲弾を放った。

「シャイニングブリッツバースト!」

 青い光線は、そのままアマダムの右ひざに命中。
 バランスを崩したアマダムの目の前に、桜の花びらが舞う。

「勇者……」

 アマダムの目の前に現れた、友奈。

「パアアアアンチ!」

 友奈の強力な一撃は、アマダムの体をくの字に曲げる。

「よくもおおおおお!」

 アマダムは全身から竜巻を走らせ、その両腕から光弾を放つ。
 空中の友奈には、逃げる場などない。それを狙っての攻撃だろう。
 だが。

「蒼井が盾になります!」

 それを許さないえりか。Shooting starが六角形を描き、青い盾を作り上げる。
 それは友奈への攻撃を防ぎ、光弾と竜巻を上空へ霧散させた。

『ファイナルアタックライド ディ ディ ディ ディエンド』
「太阿之剣!」

 アマダムは一瞬、反応に遅れた。
 赤い斬撃と青い光線。背後からのその攻撃は、アマダムの翼を切り飛ばし、地面に落とした。

「ぬあああああああああああっ!」

 地面をかき乱しながら、その長い腕を振るう。
 誰も近づけなくなるような勢いのそれ。
 だが。

刻々帝(ザフキエル) 二の弾(ベート)

 飛来する銃弾。
 それは、アマダムの動きを遅くし、反撃を阻む。

「何……!?」

 それは、すぐ近くの崖の上。
 だが、その銃口はすでに、岩陰の中に消えていった。

『ゴー キックストライク』

 その一瞬の動きの静止があれば、逆転には十分。
 黄色の魔力を足に溜め込んだビーストの飛び蹴りが、アマダムを背後から前に突き飛ばし、アマダムの体勢を崩す。
 そして、無数の影。
 ローブのサーヴァントが、アマダムの全身を切り刻んでいく。全身や翼。欠落を生じさせるその刃に、アマダムは大きく怯んだが。

「だ、だが無駄だ……! こんなもの、聖杯の力ですぐに再生を……!?」

 そう言って、アマダムの全身に黒い霧が包む。そこから、その体が治癒していくのだろうが。

「な、なんだ……? 聖杯の力が……封じられている?」

 アマダムは切り傷と、ローブのサーヴァントを交互に見やる。
 肉体のほとんどを包帯で隠したサーヴァントは、自らの腕に取り付けている刃を見せつけるように掲げた。

「き、貴様アアアアアア!」

 逆上したアマダムは、大きく地面を踏み荒らすが。
 いつ仕掛けたのだろう。
 その足元には、地雷が設置されていたのだ。それに気付かず、強く踏んでしまったアマダム。それがトリガーとなり、大きな爆発が生じる。
 爆発に次ぐ爆発。それは、アマダムを満身創痍にするのに十分だった。

「ふん……」

 そして、そんなアマダムを背にして、ほむらが髪をかき上げる。

 そして。

『チョーイイネ キックストライク サイコー』
『ファイナルアタックライド ディ ディ ディ ディケイド』

 ウィザードとディケイドが、同時に最強の技を発動させた。
 出現した魔法陣とカードのエネルギーが重なり、無数の道となりアマダムへ向かう。

「行くぞ。ハルト」
「うん」

 ウィザードは深紅のマントを翻し、腰を低くする。
 ディケイドとともにバク転を繰り返し、そのまま上空へ跳びあがった。

「だああああああああああああっ!」
「はああああああああああああっ!」

 上空で跳び蹴りの体勢を取りながら、ウィザードとディケイドは十枚の魔法陣をくぐる。魔法陣を一つ越えるごとに、ウィザードとディケイドのライダーキックが威力を増していく。
 やがて、ストライクウィザードとディメンションキックはそれぞれアマダムの胸元に命中。少しずつ、アマダムを押し出していく。

「ぐぬぬ……まだだ、仮面ライダー共! お前たちに……お前たちにだけは……」

 抵抗しながら、アマダムはその周囲へ黒い風を飛ばしていく。爆発が広がっていくが、仮面ライダーたちは込める力を落とさない。

「はあああああああああああああっ!」
「やあああああああああああああっ!」

 二人のライダーキックを受けながらも、拮抗するアマダム。だが。

「バカな……また……この私が……!? お前たちと、同じ石から生まれたはずなのに……何が違うと……」
「簡単なことだ」

 ライダーキックをしながら、ディケイドは吐き捨てる。

「お前は、変身(・・)できなかった。それだけだ」
「変身……だと……!?」
「ハルトは、自らを受け入れ、変わることを決心した。お前はそれができなかった。同じ怪人でも、その違いが何よりも大きかったんだ!」
「ぬ……ぐぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

 その言葉を最期に。
 アマダム___聖杯戦争が作り出した、調停者ルーラーは。
 爆発とともに、見滝原から消滅した。 
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