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レーヴァティン

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第二百七十四話 その時が来てその五

「俺は祖父にもなった」
「そうか、なったか」
「今言うがな」
「外見は大学生でもか」
「起きた世界ではな」
「それでも五十七人お子さんがいてか」
「今度五十九人になりだ」
 そうしてというのだ。
「孫もだ」
「出来たか」
「そうだ、不思議な気持ちになった」
 英雄は普段の顔で話した。
「最初に子供が出来た時も思ったが」
「ああ、俺が親になるのかってな」
「思ったが」
「祖父さんになってもか」
「思った、信じられないとさえな」
「思ったんだな」
「そうだった、だが子供も二人三人となりだ」
 そうしてというのだ。
「養育係が育てるが俺もだ」
「育ててか」
「不思議な気持ちになった」
「俺もだよ、親になってな」
 久志もそれはと応えて話した。
「子育てしてるとな」
「不思議な気持ちになるな」
「子供って思い通りにならないからな」
「まずな」
「どう動くかどうなるか」
「全くわからないな」
「それで悪いことをしたり覚えたり」
 そうしたこともあるというのだ。
「逆にいいこともな」
「したり覚えたりするな」
「それでそれぞれ個性もあってな」
「一人一人育て方が違うな」
「ああ、そうしたこともな」
 まさにというのだ。
「子育てのな」
「難しいところだな」
「それでそれを通じてな」
「俺達も変わっていくな」
「親もな」
「子供の成長につれてだ」
 英雄は言った。
「親も成長する」
「そう言うな」
「確かに育てているとな」
「これがほったらかしだとな」
「子供はそれでも育つかも知れないが」
「親は成長しないな」
「そうだな、子育ては手抜きばかりでだ」
 英雄はここでこうした話をした、表情も口調も変わらないが久志は彼の目に軽蔑と嫌悪があるのを見た。
「遊んでばかりの親はだ」
「ずっとそうだったんだな」
「二十代で親になってな」
 そうしてというのだ。
「孫も出来て七十代後半でくたばったが」
「くたばったんだな」
「そうだ、くたばったが」
 そこにある感情を隠しもせず言った。
「ずっとだ」
「そんな手合いだったか」
「碌に家事もせず遊んでばかりのな」
「所謂毒親か」
「婆になったから糞婆だな」
「毒婆とは言わないか」
「そうした言葉は知らない」
 毒婆というそれはというのだ。
「だから俺も言わなかった」
「そうか」
「この世界でわかった、親はだ」
「子育てからか」
「学ぶ、木の上に立って見てな」
 子供をというのだ。 
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