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レーヴァティン

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第二百四十八話 港と港からその七

「構わない」
「街で食われているものでもだな」
「町人や農民が食うものでもな」
 所謂庶民の食事でもというのだ。
「俺はだ」
「美味いとだな」
「構わない」
「そうだな、確かに」
 弓雅も英雄のその言葉に頷いた。
「実際にそうだしな」
「美味いものは贅沢をせずとも食える」
 英雄は言い切った。
「例えば菓子もだ」
「それもだな」
「団子や羊羹や饅頭もな」
 そうしたものもというのだ。
「普通にだ」
「街や村にもあるな」
「その美味い店のものならな」
 それならというのだ。
「俺はいい、確かに多くの料理人達の作るものは美味いが」
「腕がよく食材も厳選している」
「調味料もいいしな」
「しかも厨房も充実している」
「これなら美味くなることもだ」
 このこともというのだ。
「当然でそちらも好きだが」
「普通のものでもだな」
「陣中の握り飯もだ」
 足軽達も普通に食っているそれもというのだ。
「美味くだ」
「食えるな」
「そうだ」 
 こうも言うのだった。
「俺はな」
「贅沢をせずともだな」
「美味いものは食える、酒もだ」
「それもだな」
「普通のものでだ」
 別に高いいい酒でなくともというのだ。
「充分だ」
「そうした考えでありか」
「好みだ、だから贅沢にのめり込むことは」 
 これはというのだ。
「俺はな」
「ないな」
「それを第一の目的とすることもな」
 これもというのだ。
「ない、簡単に出来るものなら」
「それならだな」
「第一の目的にするなぞ」
「つまらないことだ」
「そうだな」
「酒も馳走もな」
 英雄はその言葉を続けた。
「女もな」
「第一の目的でなくだな」
「楽しむものだ、まして溺れることはな」
 これはというと。
「ない」
「そうしたものに溺れることはだな」
「そう考えると紂王は小さかった」 
 殷の紂王であり、酒池肉林に溺れ暴虐の限りを尽くした暴君というがこれはあくまで彼を倒した周の主張である。 
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