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レーヴァティン

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第百八十二話 民の心その七

「他の城は全て降るかだ」
「攻め落としていったからな」
「残るはあの城だけだ」
「城の傍の街も降ったしな」
 久志はトランシルバニアの中心とも言える街をここで見た、高い城壁に覆われた結構な大きさの街だ。
「それじゃあな」
「残るはだ」
 まさにというのだ。
「あの城だけだ」
「そうだよな、街もあっさり降ったな」
「領主が籠城に入ったからな」
「領主が街の自分の宮殿から去ってな」
「そうしたからな」 
 だからだというのだ。
「鬼が去ったからな」
「俺達に降ったんだな」
「街にしてみれば賭けだ」
「俺達がここで退いたらか」
「そうすれば領主は街に戻る」
 自身の宮殿があるその街にだ。
「そうなれば街の者達はどうなる」
「裏切者として皆殺しか」
「とっておきの残忍な方法でな」
「だから俺達が勝つ方に賭けてるんだな」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「あの者達もな」
「そういうことだな」
「そう思うと負けられないな」
「ああ、絶対にここで領主を倒してな」
 久志は正に強い声で答えた。
「そしてな」
「そのうえでだな」
「トランシルバニアを掌握してな」
「街の者達の駆けに応えるな」
「そうするな」
「ではな、しかしだ」
「城を攻め落とすにはか」
「骨が折れる」
 正はその城、高く険しい山の頂上にあるそれを見て言った。
「そうそう攻め落とせる城ではない」
「ああ、空船を使って攻めてもな」
「多くの砲を置いて空に向けている」
 さながら高射砲の様にというのだ。
「だからだ」
「空から攻めてもな」
「中々難しい」 
 攻めることはというのだ。
「そうした城だ」
「そうだよな」
「その城をどうして攻める」
「空船は使うさ」
 城を直接攻めると反撃を受けるがというのだ。
「空から援護してな」
「そうしてだな」
「山を徐々に攻め上がってな」
「城に迫るな」
「ああ、そして城をな」
「攻略するな」
「そうするな」
 ここはというのだ。
「ここは」
「それがいい、ではだ」
「これからだな」
「攻めるか」
「じゃあ完全に囲んでるし」
 剛も言ってきた。
「徐々に登っていくね」
「そうしていくな」
「じゃあ僕達も」
「山に入るな、ただな」
「山の中もだね」
「絶対に色々あるぜ」
 山の中はというのだ。
「城は山の頂上にあるけれどな」
「もう山自体がね」
「城みたいなもんだ」
 そうだというのだ。 
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