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レーヴァティン

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第百八十二話 民の心その六

「それで言いますと」
「そんなところか、多くの民がこっちについてるけどな」
「領主を認めている人もいますね」
「ああ、そしてな」
 それにというのだ。
「忠義を誓っている家臣も兵もいるしな」
「どうも自分の贅沢には興味がなく」
「常に領地を守ることに心を砕いているからか」
「残虐ですが」
 それでもというのだ。
「私利私欲はないので」
「ついていく奴もいるんだな」
「そうかと」
「百人いて百人が嫌う奴もそういないか」
「僅かでもです」
「嫌わない奴がいてか」
「好きな人もです」
 逆にとだ、夕子は久志に話した。
「やはりです」
「いるんだな」
「どんな嫌われる人でも嫌いじゃないという人がいますね」
「皆から嫌われるって言ってもな」
 久志もこう言った。
「そんな無差別に殺す奴でもないとな」
「嫌わないですね」
「無差別殺人気なんてすぐに逆に殺されるしな」
 今張献忠について話している様にだ。
「そうなるからな」
「ですから」
「それでだよな」
「あの領主も」
「従う奴がいるんだな」
「そうです」
「そうか、じゃあそのついている連中ともな」
 領主に従う彼等ともというのだ。
「戦ってな」
「勝ちますね」
「そうするな、少しずつ兵を進めて」
「徐々にですね」
「領主を追い詰めるな、領主の性格を考えるとな」
 その彼のだ。
「降伏もな」
「ないですね」
「そうだろうからな」
 だからだというのだ。
「最後の最後までな」
「戦って」
「倒すな」
「そして捕虜になったら」
 美奈代はその時のことを話した。
「もうな」
「処刑するな」
「そうするんやな」
「ああ、まあ捕虜になる位ならな」
「自害するやろな」
「そういうタイプだな」
 その領主はというのだ。
「実際な」
「まあそやろな」
 美奈代もこう言った。
「やっぱりな、けどやな」
「それでもな」
「捕虜にしたら」
「もうな」
 その時点でというのだ。
「そうするな」
「そういうことやな」
「ああ、じゃあ兵を進めるな」
 久志は仲間達に言って軍を進ませた、そして徐々にだった。
 トランシルバニアを掌握していった、それはまるで領主の居城を包囲するかの様であった。そうした進軍を進めていき。
 遂に領主の城を囲んだ、その城は険しい山の頂上にあった。久志は山を囲んだうえで仲間達に言った。
「じゃあな」
「これからだな」
「城を攻めるけれどな」
「敵の城はもうあの城だけだ」 
 正は久志にその城を見つつ話した。 
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