レーヴァティン
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第百四十七話 捕虜と外交その二
「ここでも寛大な提案したらね」
「降るな」
「ここで七万、敵の主力が降ったら」
「もう連合王国には戦う力ないよ」
「そうだな、じゃあ空船をアルカーサルに送るな」
久志は即決した。
「リナレスもそうしてな」
「それで二つの街を降せば」
「もう敵の七万は袋の鼠、負けて疲れていてしかも兵糧も少ない」
「戦うことは出来ないから」
「降るしかないからな」
だからだというのだ。
「もうな」
「徹底抗戦か降るか」
「二つしかなくなってな」
それでというのだ。
「後はな」
「選ばせるんだね」
「ああ、けれど負けて食いものもなくてな」
「疲れきっていてね」
「戦う奴もそうそういないだろうな」
「それでおいら達がいい条件を出せば」
「まず降るな」
そうなるとだ、久志は話した。
「そうなるな」
「それが妥当だね」
「負けて食わないで戦おうっていう軍隊なんてな」
「そうそうないよ」
「常識で考えればそうだよな」
「うん、絶対にね」
「ましてやです」
源三も言ってきた。
「我々は約束を守ります」
「そのことで定評も出て来たな」
「はい、降った街や村は約束通りにしてきましたし」
「人に対してもな」
「それまでのことがあるので」
だからだというのだ。
「彼等もです」
「ちゃんとな」
「降ってくれます」
そうなるというのだ。
「確かに」
「そうだよな」
「若しここで我々が嘘を吐いたり騙していれば」
「どうせ騙されると思ってな」
「降りません」
「死ぬまで戦うな」
「こうした時にこそです」
まさにとだ、源三は話した。
「信頼が生きます」
「相手も楽に降ってくれるな」
「信頼は非常に大きな力です」
「だよな、降る相手も簡単に降ってくれるからな」
「悪いことはないです」
「本当にそうだな」
「ですから」
それ故にというのだ。
「この度もです」
「降ってくれる可能性が高いか」
「リナレスとアルカーサルも」
「そうか、じゃあまずは二つの街に確かな使者を送ってな」
「そうしてですね」
「二つの街をこっちに引き入れるな」
そうするというのだ。
「そのうえで、ですね」
「二つの街の間で立ち往生になった敵主力にも降伏勧告をするな」
「そして降ってくれれば」
「もう連合王国も戦力がないしな」
なくなるからだというのだ。
「マドリードにも使者を送ってな」
「降伏してもらいますね」
「ああ、そしてな」
それでというのだ。
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