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レーヴァティン

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第百四十七話 捕虜と外交その一

               第百四十七話  捕虜と外交
 連合王国との決戦に勝利を収めた久志は一万以上の捕虜を得たと聞いてだ、破顔してこんなことを言った。
「これは大きいな」
「はい、それではですね」
「その捕虜達をな」
 順一に対しても笑顔で話す。
「外交に使うな」
「そうされますね」
「もうここはな」
 久志はさらに話した。
「捕虜達を無償で送り返すな」
「連合王国の方に」
「ああ、身代金とか要求せずにな」
「無条件で、ですね」
「そうするな」
「ここで寛容さを見せますか」
「ああ、こっちのな」
 そうするというのだ。
「そしてその寛容さがな」
「あちらに伝われば」
「もうそれでかなり大きいよな」
「はい、連合王国としては」
「一万以上の捕虜を無償で返すんだ」
 身代金等は一切要求せずにというのだ。
「そんな相手だと話も聞くな」
「そうですね」
「降伏勧告もな」
「だからですね」
「若し聞かなくてもな」
「こちらの余裕は見せられますね」
「一万以上の捕虜を得られる様な強さをな」
 まさにそれをというのだ。
「どう転んでも大きいさ」
「我々にとって」
「だからな」
 それだけにというのだ。
「ここはな」
「是非、ですね」
「すぐに無条件で返すな」
「そうしますね」
「ああ、それでな」
 久志はさらに話した。
「チナレスにも使者を送るな」
「降る様にですね」
「そしてリナレスの後はな」
「アルカーサルにも」
「使者を送ってな」
 そしてというのだ。
「降る様に言うな」
「そうされますね」
「これでマドリードまで一直線だ」
 アルカーサルまで降ればというのだ。
「王手だ」
「はい、では」
「ああ、一気に進めるな」
「負けた敵の主力はもうリナレスの北まで逃げてるよ」
 淳二が言ってきた。
「それでね」
「アルカーサルまで向かってるか」
「必死に逃げてるよ、ただね」
「それでもか」
「うん、大軍で歩兵が多いから」
 それでというのだ。
「足は遅いよ」
「じゃあアルカーサルを抑えたらか」
「もうリナレスとの間でね」
 アルカーサルのとだ、淳二はすぐに答えた。
「立往生だよ」
「まだ七万程いるよな」
「一万以上戦死して一万以上捕虜になってね」
「その七万袋の鼠にしてな」
「そしてだね」
「連中もそこまでなって戦うか」
「まあ負けて戦意も喪失してるし」
 それならとだ。淳二は話した。 
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