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レーヴァティン

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第百四十三話 皇帝の降伏勧告その二

「どんどんな、戦わずにな」
「降していくわね」
「それが楽だし損害もな」
 こちらもというのだ。
「出さないからな」
「いいこと尽くしね」
「何が何でも戦って降す」
「力で」
「項羽みたいにな、項羽は強かったけれどな」 
 西楚の覇王と称しただけにだ、まさに天下に敵う者はなく彼と戦って勝つ者はずっと存在しなかった。
「最後の最後、一戦でな」
「垓下の戦いだったわね」
「そこで負けて死んだからな」
 四面楚歌の場面である、史記最大の名場面とさえ言われている。
「その項羽を見てもな」
「戦うよりはね」
「もうな」
 それこそというのだ。
「降してな」
「そのうえで進めていくべきね」
「それが一番だな、予算もかからないしな」
「お金は限りあるで」
 その金に五月蠅い美奈代も言ってきた。
「どんな時でもな」
「そこを勘違いして使うとな」
「例え誰でもな」
「あっという間になくなるよな」
「どんな大金持ちでもな」
 それこそというのだ。
「お金は限りがある」
「多い少ないは別にしてな」
「ほんまそこをわかってへんと」
「なくなるな」
「そやで」 
 まさにというのだ。
「そして戦はな」
「国の金の使い方でもな」
「一番使うもんで」
 美奈代はさらに話した。
「しかも返ってこん」
「本当にそうだよな」
「軍に使うお金自体がな」
「本当に出るばかりでな」
「入ってこんやろ」
「見事なまでにな」 
 つまり支出ばかりで歳入がないのだ、これでは金を持っている者としてはどうかと思うのも当然である。
 久志もこの世界で国を治めている、それならなのだ。
「それじゃあな」
「戦で使うお金はな」
「必要にしてもな」
「最低限にしてな」
 そのうえでというのだ。
「やっていくべきや」
「お金は他のところに使いたいな」
「歳入のあるな」
「お金がないとな」
「もう何も出来んしな」
「そのお金を一番使ってしかも出るだけのところに注ぎ込む」
 このことはというのだ。
「こんな無駄使いはねえな」
「そやろ、そやからな」
「戦わずして降るならな」
「それでいこな」
「これまで通りな」
「今戦おうという勢力はないわ」
 使者を送ったところでとだ、双葉は久志に今度はこのことを話した。
「一つもね」
「降らない連中もか」
「ええ、いい条件をね」
「引き出したくてか」
「降るのを拒んでる」
「今のところはか」
「それかこちらと連合王国をね」
 その両方をというのだ。 
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