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レーヴァティン

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第百四十三話 皇帝の降伏勧告その一

               第百四十三話  皇帝の降伏勧告
 久志はセビーリャを拠点としつつ連合王国の征服を行っていた、だが彼は陸と水の大軍を動かさず。
 セビーリャに止めそのうえで各地、特にセビーリャを流れるグアダルキビール川流域の諸都市や村それに領主達にだった。
 使者を送った、そうしてこれまでの地位や権益を約束したうえでの投降を促していたがこれがだった。
 思ったよりも、それも遥かに降る街も村も領主も多く久志はセビーリャで言った。
「予想以上にな」
「降る街や村が多いね」
 留奈が久志のその言葉に応えた。
「本当にね」
「そうだよな、地中湖南岸なんてな」
「もっと苦労したね」
「ああ、降る勢力が少なくてな」
「ヌミディアにしても」
「古王国もな」
 この国の王も今は復位している。
「戦ってだったからな」
「そう思うとね」
「今回はな」
「随分降る街や村が多いし」
「領主達もな」
「予想以上に多いね」
「それも遥かにな、何でだ」
 久志は考える顔になって言った。
「降る勢力が多いのは」
「あれよ」
 双葉がここで話した。
「あんたが皇帝になったからよ」
「それでか」
「権威がついたから」
「それもとんでもないものが、だよな」
「やっぱり皇帝ってのは重いのよ」
「至高の位か」
「欧州じゃ教皇より落ちるとされていたわね」
 双葉はこうしたことも話した。
「教皇は太陽、皇帝は月」
「インノケンティウス三世だったよな」
「あの教皇さんの言葉で」
 教皇権絶頂期の教皇だ、僅か三十七歳で教皇になりその権勢を思いのままにして第四回十字軍やアルビジョワ十字軍等評判の悪い十字軍を起こしたことでも知られている。
「神の代理人と比べると落ちる」
「そうされてたな」
「西欧ではそうだったわ、けれど」
「この浮島だとな」
「教皇はいないから」
 それでというのだ。
「だからね」
「皇帝は本当に至高の地位だな」
「ローマ帝国の皇帝みたいに」
「それでその俺が攻めてきてか」
「降る様に言ってるし、そもそも力も見せたし」
「セビーリャ前での湖戦か」
「権威に武力」
 この二つがというのだ。
「備わっていることを見たからよ」
「これだけ降っているんだな」
「そうよ、武力だけならね」
「これまで通りだったな」
「そう、それがね」
「皇帝の権威か」
「それが加わったからよ」
 その為にというのだ。
「これだけ多くの勢力が降っているのよ」
「皇帝の権威は思っていたより凄いな」
 久志はこのことを実感して述べた。
「本当に」
「そうね、政でいい条件を出して」
「確かな武力を誇示してな」
「そこに皇帝の権威まで加わって」
「この状況か、ならな」 
 久志は考える顔になりさらに言った。
「もうそれをな」
「活かしていくのね」
「そうしてな」
 双葉に対して話した。 
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