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レーヴァティン

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第百四十三話 皇帝の降伏勧告その三

「天秤にかけている」
「そうした連中か」
「どちらかよ」
「あまりいい条件を出してもな」
 それでもとだ、久志は考える顔で述べた。
「そいつ等だけじゃないからな」
「そうよね」
「他の連中のこともあるからな」
「だからね」
「多少、そしてな」
「相手のそれぞれの状況も考えて」
「そのうえで条件を出してな」
 そうしてというのだ。
「降ってもらうな」
「降らない時は」
「その時は軍を出してな」
 そしてというのだ。
「軍を見て降ればな」
「それでいいわね」
「それでな、ただその場合は少し貢ぎものを出してもらってな」
「詫びということで」
「済ませるか、それ位だな」
 軍を出したのを見て降ればというのだ。
「貢ぎもの出させてな」
「終わりということで」
「いいな、貢ぎものは多少の金とか特産品とか酒で」
「いいのね」
「女とかいいからな、奴隷もな」
 これもというのだ。
「解放してるしな」
「奴隷ね、この浮島にはあまりいなくても」
 留奈がどうかという顔で言ってきた。
「それでもね」
「いるにはいてな」
「そんなのだからね」
「奴隷はな」
 久志は腕を組み難しい顔になって述べた。
「正直言って好きじゃないんだよな」
「人道的にもあれだし」
「俺達の価値観だけれどな」
「それに経済的効率もね」
「よくないしな」
「奴隷って実は高価だし」
 財産の一つに入れられていた位だ、南北戦争前のアメリカでは奴隷一人で現代の価値では高級車一台分の価値があった。
「食べさせてね」
「寝るところも用意しないといけないしな」
「結構効率悪いし」
「奴隷持つよりもな」
「自由にして」
 そしてというのだ。
「同じ働いてもらう位なら」
「それならね」
「伸び伸びやってもらった方がな」
 まさにというのだ。
「本当に」
「いいからね」
「ああ、だから奴隷よりもな」
「自由民の方がいいから」
「そうしてもらってるな」
「そうなのよね」
「ああ、だから人間送られてもな」
 そうされてもというのだ。
「断るからな」
「そうね」
「特に俺は男だからな」
 このことからもだ、久志は話した。
「美人さん贈るってあるな」
「これまでもあったでしょ」
「ああ、けれど俺は英雄と違うんだよ」
 彼とは、というのだ。
「あいつはもう女の子は誰だってな」
「彼は手当たり次第みたいね」
 清音もその彼のことを話した。
「もう」
「人妻や彼氏持ちには手を出さないけれどな」
「そこは弁えてるのね」
「それと誰かのお妾さんにもな」 
 そうした相手にもというのだ。 
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