レーヴァティン
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第百四十一話 セビーリャ沖の湖戦その二
「今はだよ」
「先陣は攻めない」
「先に迂闊に出ない」
「それが肝心ですか」
「今は」
「ああ、若し抜け駆けする奴がいたら」
自分の命に従わずにとだ、久志は強い声で言った。
「死罪だからな」
「首を刎ねる」
「そうしますか」
「その時は」
「それで暫く、十年は死んだままだよ」
復活も暫くさせないというのだ。
「そうするからな」
「そうですか、誰であろうとも」
「そうされますか」
「その時は」
「そうするからな」
だからだというのだ。
「絶対にだよ」
「今はですね」
「敵を攻めない」
「そうしますね」
「絶対にな、じゃあな」
「はい、まずはですね」
「全軍で、ですね」
「空船の艦隊とも連携して」
「敵軍に向かいますね」
「そうするな、しかしな」
ここでだった、久志は。
前を見てだ、士官達にこうも言った。
「敵は本当にまだまだ先なんだな」
「距離ではそうです」
「先陣もまだ見ていません」
「前には」
「敵影は見えていません」
「そうだな、しかしな」
それでもとだ、彼は言うのだった。
「敵は確かにいるからな」
「空船からは見えてます」
「遠くでありますが」
「はっきりと」
「そうだな、じゃあな」
それならとだ、久志は士官達に確かな声で応えた。
「このまま全軍な」
「進ませる」
「そうされますね」
「ここは」
「是非な」
こう言ってだ、そしてだった。
全軍で先を進んだ、そして遂にだった。
先陣から敵艦隊発見の報告を聞いた、そうして言うのだった。
「よし、ではな」
「それならですね」
「まずは」
「攻撃はしないでな」
それでというのだ。
「第二陣、左右、本陣とな」
「合流してですね」
「それからですね」
「まずは」
「後は空船の方はな」
こちらの話も聞くのだった。
「どうだよ」
「はい、そちらはです」
士官の一人がすぐに答えた。
「今丁度です」
「藻のところにか」
「迫っています」
「そうか、じゃあな」
「はい、これからですね」
「空船は藻の上を通ってな」
空からだ、そうしてというのだ。
「そしてな」
「それからですね」
「艦隊が集結してな」
そしてというのだ。
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