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レーヴァティン

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第百四十一話 セビーリャ沖の湖戦その一

               第百四十一話  セビーリャ沖の湖戦
 シュミレーションを綿密に行ってからだった、久志は朝に甲板に出て自分達の艦隊と湖を観て回りの士官達に言った。
「ステファーノ提督とモナコ提督はか」
「はい、お二方はです」
「先陣を務めておられます」
「その指揮は一糸乱れぬもので」
「遅くも速くもありません」
「速いとな」
 それはとだ、久志は話した。
「今はな」
「先陣が突出して」
「それで、ですね」
「狙われるので」
「よくないですね」
「そうだよ、だから両提督の采配はな」
 遅くなく速くもない適度な速度のそれはというのだ。
「いいぜ、それで陣形もな」
「まさに寸分の隙もない」
「そうした感じです」
「そのうえでセビーリャに向かっておられます」
「その沖に」
「それは何よりだ、それで敵はまだ見えないんだな」
 久志は今度は敵軍の話をした。
「そうなんだな」
「あと少しでそうした距離ですが」
「空からは確認出来ますが」
「湖の上からはです」
「まだです」
「周囲にも連合王国の艦船はいません」
「軍船の類は」
「空から見てもだな、奇襲もないか」 
 久志は士官達の話からこのことに気付いた。
「正面から受けて立つか」
「その様ですね」
「敵の布陣は変わりません」
「錨を下ろしてさえいます」
 今はそうだというのだ。
「そしてあくまで動かず」
「そうしてです」
「我等が来るのを待っています」
「そうした状況です」
「そうか、ならだ」
 ここまで聞いてだった、久志は言った。
「予定通り進むな、しかしな」
「はい、先陣はですね」
「お二方が率いておられる先陣は」
「先に敵艦隊を視認しても」
「すぐにはですね」
「攻めないことだ、俺達が率いる第二陣左右の軍に本陣もだ」
「来て」
「そしてですか」
「そのうえで、ですね」
「空船の艦隊も来てな」
 セビーリャから見て南の藻が繁っている湖域の上から入る彼等の話もするのだった、今久志の頭の中にはこの辺りの湖図がありそれを見て言うのだった。
「そしてな」
「動きを連動させる」
「連携してですね」
「そしてですね」
「そのうえで」
「そうだ、万全の状況でだ」
 それでというのだ。
「戦うからな」
「先陣だけではですね」
「攻めないですね」
「今はまだ」
「そうされるのですね」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「敵軍を徹底的に叩いてな」
「そして、ですね」
「それからですね」
「我々としては」
「セビーリャに向かうのですね」
「その考えだからな」
 それ故にというのだ。 
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