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レーヴァティン

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第百四十一話 セビーリャ沖の湖戦その三

「空船の艦隊は敵の後方からな」
「回り込んで、ですね」
「攻撃だ、挟み撃ちだよ」
「そうして攻めますね」
「そのうえで勝つな、それと今のうちに」
 久志はさらに指示を出した、今度の指示は何かというと。
「飯食っておけよ」
「そういえばその時間ですね」
「飯の時間でしたね」
「そうでしたね」
「ああ、明日の朝には全艦隊集結するけれどな」
 今はというのだ。
「飯だ、飯を食ってな」
「今日は寝る」
「そしてですね」
「明日の朝には集結して」
「湖と空からですね」
「攻めるからな、それとな」
 久志はさらに言った。
「今日はたらふく食えよ」
「明日は戦だからですか」
「それで、ですか」
「今日はたらふくですね」
「戦の前には大飯を食ってな」
 そしてというのだ。
「力をつけてな」
「そしてですね」
「そのうえで、ですね」
「戦いますね」
「そうしますね」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。
「今は食えよ」
「わかりました」
「じゃあ美味いものをたらふくですね」
「食ってですね」
「ゆっくりと寝ろよ」 
 久志は睡眠の話もした、そしてだった。
 将兵達に英気を養わせた、そのうえで。
 朝になると起きてすぐに甲板に出て敵軍のことを尋ねた。
「敵の艦隊が見えてきたか」
「はい」
 士官の一人がすぐに答えた。
「そして全軍で、です」
「集結中だな」
「そうしています」
「よし、ならな」
「それならですね」
「今から全員手早くだけれどな」 
 それでもだ、久志は全軍に話した。
「朝飯食えよ」
「朝食ですか」
「やっぱり何といってもな」
「食事ですか」
「三度の飯はちゃんと食わないとな」
「戦にならないですか」
「ああ、だからな」
 それ故にというのだ。
「ここはな」
「今のうちにですか」
「飯食ってな」
 そしてというのだ。
「戦に挑もうな」
「それでは」
「俺も食うしな」
「それで何を召し上がられますか」
「ああ、すぐに戦闘に入るからな」 
 久志は士官に周りを見回しつつ答えた、今視界の周りは朝もやに包まれていてあまり見えない、波音と将兵達の声が遠くから聞こえてくる。
「だからな」
「簡単なものですね」
「パンとチーズ、あと水だな」
「それで、ですか」
「いいな」
 そうしたものでというのだ。 
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