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レーヴァティン

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第百三十五話 趨勢は決したがその一

               第百三十五話  趨勢は決したが
 英雄は八万の軍勢を一斉に動かした、彼はすぐに鉄砲を放たたせて軍勢を前に前にと進ませていった。
 この時に彼は言った。
「大漁の鉄砲でだ」
「それでたいな」
「援護射撃を行いつつな」
「そのうえで」
「前に進み」
「そしてだ、弓矢もだ」
 これもというのだ。
「間合いに入ればな」
「放つたいな」
「術もな、そうしてだ」
「前に出て行く」
「そうして近付けば」
 その時のこともだ、英雄は話した。
「槍を出す」
「そうして槍でたいな」
「突き崩す、だが」
「それでもたいな」
「深追いはしない」
 それは決してというのだ。
「既に騎馬隊を多くだしてだ」
「周りを調べさせているたいな」
「斥候にしてな」
 騎馬隊、彼等をそう使ってというのだ。
「そうしている」
「そうたいな」
「今わかっている限りでは」
「敵は、たいな」
「伏兵は置いていない」
 問題となるこれはというのだ。
「今いる一万五千程の兵がな」
「敵の全戦力ないな」
「その様だ、だが」
「敵が逃げれば」
「深くは追わない、逃げても果敢に追わず」
 そしてというのだ。
「肥後の国をだ」
「手に入れるたいな」
「そうする、むしろすぐに逃げるならな」
「それならたいな」
「絶対に追わない」
 敵がそうした動きを見せればというのだ。
「それは間違いなくだ」
「罠たいな」
「斥候で物見はさせている」
 そして空船も出してだ。
「そうしていてだ」
「伏兵はいないとたいな」
「見ているが」
「それでもたいな」
「わかっている限りだ」
 伏兵がいない、このことはというのだ。
「だからだ」
「完全にいないと思わずに」
「深追いはしない、地の利は敵にある」 
 このことが念頭にある、それで英雄は言うのだ。
「俺達の思わぬ場所に思わぬ伏兵を置いている」
「その可能性があるからこそ」
「ここはだ」
「深追いはしないたいな」
「岩屋城の時とは状況が違う」
「あの時は伏兵がいないとたい」
「はっきりわかっていた、あの時は敵は全軍で来ていた」
 岩屋城、この城を攻めていたからだ。
「しかも必死で逃げていた」
「それは、たいな」
「伏兵がいない」
「そうした状況とたいな」
「わかった、伏兵を置けない地形であることもな」
「わかっていたたいな」
「全てわかっていた」
 それでというのだ。
「追撃を行えてだ」
「行ったたいな」
「しかし今度は違う」
「伏兵を置けるたいな」
「それがわかっている、それでだ」
 今はというのだ。 
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