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レーヴァティン

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第百三十四話 熊本城攻略その十一

「我等は水軍を上手に使い」
「そしてであります」
「敵の水軍を牽制しているな」
「もっと言えば敵全体を」
「何時強力な水軍で上陸されるか」
「それが何処かわからない」
「そのことだけで」
 峰夫はさらに話した。
「こちらは有利であります」
「全くだな、水軍にはこうした使い方もあるな」
「それが効を奏しているので」
「いいものだ」
「全くであります」
「俺もそう思う、ではな」
「敵の水軍そして敵全体を牽制しつつ」
 峰夫は英雄に応えて述べた。
「戦っていくでありますか」
「そうだ、次の戦いで勝てばまさに勝敗は完全に決まるが」
 それでもというのだ。
「まだ続くかも知れないからな」
「戦いが続く限りは」
「そうしていく」
 権勢、それを続けていくというのだ。
「このままな」
「それでは」
「これからまた戦う」
 その敵の軍勢と、というのだ。
「そして勝つか」
「その前にです」
 謙二が笑って言ってきた。
「一つあります」
「飯だな」
「はい、お握りがありますので」
 用意されたそれがというのだ。
「それを食べて」
「そのうえでだな」
「行きましょう」
「全軍だな」
「勿論です、全員が食べて」
 そうしてといううのだ。
「そのうえで」
「戦うか」
「腹が減ってはです」
「戦が出来ないからな」
「だからです」
「まずは飯だな」
「それを食べて」
 そうしてというのだ。
「そのうえで」
「戦だな」
「そうしましょう」
「わかった」
 英雄は謙二の言葉に頷いた、そうしてだった。
 握り飯を一個手に取って食った、そしてもう一つ手に取って食ってからこうしたことを言った。
「これでよし、ではな」
「今よりですね」
「全軍前に出る」
 即ち攻めるというのだ。
「いいな」
「わかりました」
 謙二も頷いた、そしてだった。
 全軍で食事の後で攻勢に移った、九州での趨勢を完全に決める為の戦が今ここで幕を開けようとしていた。


第百三十四話   完


                  2019・10・15 
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