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レーヴァティン

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第百三十五話 趨勢は決したがその二

「深追いはしない」
「あくまで徐々にたいな」
「攻めていく」
 そうするというのだ。
「そして肥後一国をだ」
「手に入れるたいな」
「そしてだ」
「そのうえで」
「薩摩だ」
 この国、敵の本拠地をというのだ。
「あの国を攻める」
「そうするたいな」
「そして水軍はな」
「琉球たいな」
「あの国だ、そして東の連中もだ」
 智達もというのだ。
「今は日向を進んでいるな」
「そうしているとよ」
「ではそのまま日向を南に進ませて」
 そうしてというのだ。
「大隅だ」
「あの国たいか」
「あの国を攻めてもらってだ」
「手に入れるたいな」
「あくまで敵が降らなければだが」
 その場合のみと言う、しかし。
 英雄はここで眉を顰めさせた、軍勢は敵との間合いをさらに詰めていて弓矢も放ちだしている。だが槍はまだだ。
「どうもな」
「降りそうにないね」
 奈央が言ってきた。
「これは」
「残念だがな」
「薩摩までね」
「攻めるしかないな」
「薩摩には堅固な城はなくて」
「地形もな」
「これといってややこしくはないけれど」
 複雑で攻めるに難い地形ではないというのだ。
「けれど地の利はあっちにあるし」
「やはり攻めるとなるとな」
「難しいね」
「そうなるな、だが」
「敵が降らないのなら」
「こちらもだ」
「徹底的にやるしかないからね」
 奈央はこうも言った。
「そうしてくるなら、相手が」
「だから攻める、最後までそうしてやり」
 英雄もこう述べた。
「そしてだ」
「降すね」
「絶対にな、では今の戦は」
「徐々に近付いてきたね」
「敵の方からな、ならだ」
 英雄はその敵の動きを見つつ話した。
「これからだ」
「槍を出すね」
「そうする、それも上から振り下ろさず」
 鉄砲や術、弓矢の攻撃に怯まずむしろ突っ込まんばかりに来た敵軍を見てだ、英雄は冷静に采配を決めた。
「前だ」
「そっちにだね」
「出す、槍は上から叩くが」
 日本の槍の使い方はそうするのだ、槍は前に出すのではなく上から敵を叩きそうして崩すものであるのだ。
 だがそれをとだ、英雄は今はこう言うのだ。
「それを前にだ」
「出してだね」
「そしてだ」
「敵の進軍を止めて」
「突き刺しさらにだ」
「こっちも前に出てだね」
「突き崩す、後はだ」
 英雄はさらに話した。 
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