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ある晴れた日に

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733部分:ある晴れた日にその七


ある晴れた日にその七

「背って伸びないからな」
「女の子はそろそろな」
「だから仕方ないだろ」
「正直もう少し欲しいわ」
 明日夢の偽らざる本音だった。
「本当にね」
「もう絶対に伸びないから」
「女の子はね」
「だから諦めろ」
「もうな」
 皆から言われたのだった。
「それにだけれど」
「何?」
 桐生に声をかけられたのだった。
「別に背が低くてもいいじゃない」
「よくないわよ」
 不機嫌そのものの顔で彼の言葉に返した。
「っていうかいい訳ないじゃない」
「だってさ。北乃さんってそれだけの顔だし」
「そうでしょ。少年って凄い美形なのよ」
 彼女を抱き締め続けている凛がにこにことしながら言う。
「おまけにスタイルだっていいし」
「だからさ」
 桐生は言うことを全部彼女に取られていたがそれでも言った。
「特に気にしなくてもいいじゃない」
「けれど私胸もあまりないし」
「普通よね」
「そうよね」
 恵美と茜の話だ。
「その背だとね」
「そんなものよ」
「それに少年の胸って形いいんだよな」
 これは春華の言葉だ。
「結構胸は気にしなくてもいいんじゃね?」
「確かにそうだよな」
 野本は彼女達のそんな話に腕を組んで頷いていた。
「まあ俺はスリム系モデルが好きだけれどな」
「僕はまあ年下が」
「待て、おい」
 野本は今の従兄弟の言葉に即刻突込みを入れた。引いた顔になっている。
「御前がそれ言ったらやばいだろうがよ」
「そうかな」
「ロリコンじゃねえだろうな」
 真剣な顔での問いだった。
「いや、それは犯罪だから止めておけよ」
「一歳かそれ位の違いだけれど」
 この辺りはやはり常識人の竹山らしかった。外見とは違いだ。
「それは駄目かな」
「何っ、それ位かよ」
「興味があるのは中学三年位からだけれど」
「ああ、そうかよ」
 野本はそれを聞いてかなりほっとした顔になった。そのうえでの言葉だ。
「何だ」
「安心した?」
「かなりな」
 まさにその通りだというのだった。
「じゃあいいけれどな」
「それでだけれど」
 竹山は話が一段落したところで話を変えてきた。
「音橋君」
「ああ」
「二年でも宜しくね」
 彼に向けての言葉だった。
「また一年ね」
「わかった。いや」
「いや?」
「わかっている」
 静かに頷いての言葉だった。
「それはな」
「よし、じゃあこれから一年」
「また楽しくやるか」
「未晴も戻るし」
 こう話していくのだった。今度は皆でだ。
「そろそろ席に着くか?」
「ホームルームだしな」
「それから始業式ね」
 言っている側からだった。先生達が教室に入って来た。入って来たのは。
 
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