ある晴れた日に
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734部分:ある晴れた日にその八
ある晴れた日にその八
「やれやれ、本当に変わらないよな」
「何から何まで」
「先生まで同じかよ」
「悪いのかしら」
江夏先生が席に着いている生徒達を見ながら教壇から言ってきた。
「それは」
「悪くないですけれどね」
「ただ。何ていうか」
「変わらないですから」
「本当に何一つ」
「顔触れは同じでも変わるものは変わるわ」
しかし江夏先生はこう言うのだった。その隣に田淵先生が微笑んで立っている。
「ああ、私は副担任だから」
「えっ!?」
「じゃあ担任は」
「私よ」
田淵先生は微笑んだままだった。
「これから一年宜しくね」
「何か全然変わってないけれど」
「っていうかどっちが担任でも副担任でも」
「全然一緒だからな」
皆の言葉はかなり冷めている。その目もである。
「何ていうかこれは」
「どうなのよ」
「結局全然変わらないし」
「それでも変わるものは変わるのよ」
まだこう言う江夏先生だった。
「それはわかるかしら」
「そうなんですか?」
「それでも変わるものは変わるんですか」
「そうよ、変わるの」
そしてその変わるものは何かというとだった。
「そしてその変わるものは」
「一体それは」
「何なんですか?」
「決まってるじゃない。中身よ」
それだというのである。
「皆の、私達の中身は変わるのよ」
「中身ってことは」
「性格?」
「それよね」
「そう、それよ」
まさにそれだというのだった。
「皆この一年で随分変わったわよ」
「性格が」
「それが」
「性格というよりかはわね」
江夏先生は言葉を代えてきた。その代わった言葉は。
「心ね」
「心ですか」
「それが」
「驚く位成長したわよ」
「皆がね」
田淵先生も言ってきた。
「本当に素晴らしくなったわ」
「最初はただやりやすいクラスだってしか思わなかったわ」
江夏先生はここでは本音を話した。
「けれど今はね」
「素晴らしいクラスだって思うわ」
「いや、それ程でもありますけれどね」
「俺達って」
「人格者揃いだから」
「そこでそう言わなかったら完璧だったわ」
田淵先生はこうは言ってもその顔は笑っていた。
「本当にね」
「しまった、それは」
「まあちょっと」
「けれど。今先生達が言ったことは事実よ」
それはだというのだ。
「皆本当に立派になったわ」
「それはその通りよ」
「音橋君」
その中でだ。正道にも声をかけたのだった。
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