ある晴れた日に
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732部分:ある晴れた日にその六
ある晴れた日にその六
「殆どレズじゃない」
「けれど少年ってね」
その明日夢のことを話すのだった。
「とても可愛いし気風もいいし」
「それでもべたべたし過ぎじゃない」
「別にいいじゃない」
「私も別にいいけれど」
そして明日夢は明日夢で凛を抱き締めていた。
「だって凛大好きなんだし」
「ったくよ、こんなのになったのもいるしな」
春華もそんな二人に呆れていた。
「そんでもうちもバイク他に乗ってるの見つけたしよかったよ」
「バイクね」
「やっぱりバイクっていいぜ」
爽やかな笑顔で千佳に話すのだった。
「もうな。風切って走るのが最高なんだよ」
「事故だけは起こさないでね」
「わかってるさ。最近な」
千佳に応えながら話すのだった。
「結構サイドカー見るしな」
「サイドカーって?」
「黒と銀のカラーのサイドカー見るんだよな」
こう奈々瀬にも話した。
「すげえ格好いいのな。街に走ってるんだよ」
「サイドカーね」
「そんな目立つのが」
「マジックの前によく停まってるけどな」
「ああ、マジックか」
野本がそれを聞いて頷いていた。
「あの店の前か」
「知ってるだろ、あの店」
「ああ。結構洒落たマスターの店だよな」
「そうだよ、そこだよ」
まさにそこだというのだ。
「そこに停まってるからな」
「そういえばだけれど」
咲はここであることに気付いた。
「あそこの奥さんって教会の奥さんの姉妹だったっけ」
「確かそうだったんじゃないの?八条分教会よね」
「そうよ、あの教会」
咲達が入り浸っているその天理教の教会である。
「奥さんの妹さんが嫁いでたんだっけ」
「そういえばそうか」
「そういう関係だったよな」
五人もこのことを思い出していた。
「で、あそこの若奈さんと教会の千里さんって従姉妹なんだ」
「よく似てるって思ったら」
「もうそっくり」
「そうよね」
こんな話もするのだった。
「背も低いし」
「一五〇位だし」
「あれっ、それって」
その背を聞いて一番喜んでいたのは明日夢だった。
「私より小さいの」
「あっ、そうね」
「少年一五五だから」
「つまりは」
「一五七よ」
今の指摘には憮然とした顔でサバ読みで返した。
「私は一五七だから」
「だから。何でそれで咲より低いの」
咲の顔は笑うやら呆れるやらだった。
「咲一五六よ。何で一五七の方が低いのよ」
「それはまあ」
その指摘にはどうしても言い返せない明日夢だった。
「あれだけれど」
「御前背のことだけは嘘つくよな」
「嘘ついてもすぐにばれるのにな」
「だよな」
男組もそんな彼女を一応は温かい目で見ていた。
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