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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第50話:Cocoon

バッファリオの件を片付けたエックスはゼロと共に戦車に乗ってエネルゲン水晶の鉱山に向かっていた。

「確か、この辺りのはずだけど…エイリアがいれば通信で細かい位置を確認出来るんだけど…」

今回の戦いではエイリアはハンターベースの臨時オペレーターとして配属されていない。

今回は天才科学者であるドップラーが相手なのでレプリロイド研究所の重要なデータが盗まれる可能性もあるのでエイリアは研究所で対策に追われている。

「こうして彼女がいないとこういう任務では中々不便な物だな。優秀なオペレーターがいるのといないのでは勝手が違ってくるしな…それに…」

「かぁーかっかっかっ!!はあああ…愉快・愉快!!」

「この爺のストッパーになってくれるからな」

「いや、エイリアはケイン博士の介護用レプリロイドじゃないんだよゼロ?」

ゼロの言葉に思わずツッコミを入れるエックス。

何故、人間であるケインがエックスとゼロと共に来ているのかと言うと、ハンターベースに押し寄せてきているマスコミから逃げること…そしてもう1つあるのだが…。

「なあ、エックス。今すぐにでもエイリアを呼び出せないか?この爺を黙らせるか止められる人材が欲しいんだが…?」

「駄目だよゼロ。ただでさえエイリアは多忙なんだからそんなことをしては過労で倒れてしまう」

「レプリロイドが過労で倒れるか」

「お主ら~聞こえとるぞ!!はああ…まさかエックスまでわしに冷たくするとは…わしの味方はエイリアとルインのみと言うことなのか…身も心も老いた弱々しい老人が…」

「誰が身も心も老いた弱々しい老人だ。弱々しい老人はこんな場所についてくるか」

「それからケイン博士、あなたは前の戦いで占拠された気象コントロールセンターを突破しましたよね?」

少なくともそんなことが出来るケインを弱々しい老人と言うには無理がある。

それだけとんでもないハイスペック爺なのである。

「……がさつでデリカシーのないマスコミから逃げ出して、唯一心許せる者と同行しているだけなのに、その者から邪魔者扱いされたらこの爺は何処へ行けば良いのやら…爺は大人しく天に召されるだけなのかのぉ~~…」

ケインの言葉にエックスは苦笑、ゼロは苛立つ。

「ふん、勝手に天にでも地獄にでも召されてろ…っ!!おい、爺!人の髪に何してやがる!!」

いつの間にかゼロの髪が弄られておさげにされており、それを見たエックスが吹き出す。

「あ、いや…つい…じゃが、ゼロ…そいつはルインも気に入っとった髪型じゃ。似とるお主にも似合っとるぞ~」

「あいつは女だからだろう!!」

バックパックからセイバーを抜いたゼロにエックスは慌てて止めにかかる。

「ちょっ!?ゼロ!!」

「放せエックス!この爺を叩き斬る!!」

「ひぃいいいっ!!何ちゅうことを~、鬼じゃ鬼じゃ!あの世のルインも嘆いとるぞ~っ!!」

「ああもう!こんな狭い場所で騒がないで下さいよ!!」

騒がしくも何とかエネルゲン水晶の鉱脈に到着したエックス達であった。

「エネルゲン水晶は全て採取されているな」

「うむ、用のない採掘場なのにとてつもないエネルギーがここで使用されちょる。見てみい、大都市1年分はあるのぉ~。ここにゃあ何かあるぞい」

計測器を見ると確かにとてつもないエネルギーが使用されたことを計測器の針が示している。

「爺、お喋りはドップラーに会ってからにしろよ」

「ゼロ?お主、わしの目的を知っちょったんか?何時から…」

驚くケインにエックスはドップラーが此処にいると言うことに疑問符を浮かべる。

「ドップラーが此処にいるのかい?」

「爺はそう思ってるんだろ?使い道がないはずの鉱山には不似合いな莫大なエネルギー消費量。ここで何かを企んでいると考えるのが自然だろう」

「なるほど、こんな混乱時にそんなことをするのは…」

エックスは周囲に気を配りながらドップラーがここで何かを企んでいることに気付く。

「すまんの、迷惑はかけんからの」

「ああ、そうしてくれ」

「ゼロ…そんな言い方しなくても」

「ええってええって」

ゼロの素っ気ない言い方にエックスは何か言おうとするが、ケインに止められる。

そして上からいくつかの小石が落ち始め、僅かな音に気付いたエックスとゼロは気を引き締める。

「ゼロ…」

「ああ」

「ドップラー様のとこにゃあ、行かせんぞ~!!」

天井を破って現れたのはサイ型レプリロイドの右腕のドリルでエネルゲン水晶採掘用としての業務に従事していたが、ドップラーにドッペルタウンに招待されたことでイレギュラー化してしまった…。

「スクリュー・マサイダーじゃ!!」

「そして奴の発言を考えると…」

「ここにドップラーがいるわけだね」

ケインがマサイダーに驚き、ゼロとエックスはここにドップラーがいると確信した。

「う…」

「お前に隠し事は無理だね」

言い当てられたマサイダーは呻き、それをエックスが苦笑する。

「くそーっ!!」

自棄を起こしたマサイダーが殴りかかる。

後ろにケインがいるために受け止めるものの、採掘用レプリロイドだけあり、パワーは相当なもので吹き飛ばされてしまい、ケインを巻き込んで壁に叩き付けられそうになる。

「ひーーーっ!!」

激突する直前にゼロが2人を受け止める。

「全く…迷惑かけないと言っておきながら迷惑かけやがって…爺は少し離れてろ!行くぞエックス!!」

「ありがとうゼロ…分かってる!!」

エックスはセカンドアーマーを纏うと、マサイダーに向かっていく。

「採掘用レプリロイドだけあってパワーは侮れん」

「そうだね…でも…!!」

マサイダーは採掘用レプリロイドでパワーは凄まじいが鈍重だ。

そのため、ダッシュで攪乱すれば容易に接近出来る。

「戦い方に関しては俺達の方が上だ!!」

エックスとゼロが同時にマサイダーに蹴りを入れて気絶させる。

「よう、殺さんかったのう」

「当然だ。あいつは単なる採掘用レプリロイドだ。バッファリオのように厄介な能力があるわけでも…」

しかし安心するのも束の間で、突如地面からケーブルのような物が飛び出してマサイダーを包み込んで繭のような状態となるのであった。 
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