デジモンアドベンチャー Miracle Light

選ばれし子供&その他VSヴァンデモン 

この場にいる全員が、現れたヴァンデモンに目を見開いた。

｢ヴァンデモン！？｣

｢しまった…つけられた…｣

テイルモンが現れたヴァンデモンに目を見開き、バードラモンが悔しそうに呟く。

｢お前にまさかそんな力があるとはな。我が石化を解除出来るその力は目障りだな｣

｢くっ…｣

霧の結界のせいか威圧感が以前とは段違いだ。

ウィザーモンは気圧されたように後退する。

｢そしてテイルモンよ。お前がまさか最後のパートナーデジモンとはな。｣

｢………｣

ヴァンデモンはこの場にいる全員を見渡すが、やはり大輔と賢はいない。

｢奴らはまだいないようだな、一番厄介な奴らは後回しだ。まずは弱い貴様らから始末してやろう。ブラッディーストリーム！！｣

｢避けろ！！｣

今までとは比較にならないエネルギーが込められた電撃鞭を振るう。

ウィザーモンが指示を飛ばすと全員がそれを避ける。

｢悠紀夫さん、下がって！！スノーボンバー！！｣

ランチャーを取り出してヴァンデモンに向けて雪球を乱射する。

ヴァンデモンはそれを嘲笑うと左手を振るうだけで無力化した。

｢なっ！？｣

｢フラウカノン！！｣

この場で唯一の完全体であるリリモンがリベンジとばかりにエネルギー弾を放つ。

しかしヴァンデモンに直撃してもダメージは与えられない。

｢ふっ、下らんな。ただ埃を巻き上げるだけかな？｣

｢そ、そんな…嘘…！？｣

リリモンは確かに完全体の中では攻撃力は下の方だ。

しかし同じ完全体の攻撃であるにも関わらず全くダメージを受けていない。

｢今度は私の番かな？ブラッディーストリーム！！｣

電撃鞭が振るわれ、リリモンは勢い良く弾き飛ばされた。

｢きゃああああ！？｣

｢危ない！！｣

勢い良く吹き飛んでいるリリモンの体を巨大な手が受け止めた。

｢あ、あなた…｣

リリモンを受け止めたのはゴマモンが完全体に進化したデジモンのズドモンである。

｢大丈夫かい？｣

｢丈！？と言うことは、あなたゴマモン！？｣

｢ああ、完全体に進化したんだ！！｣

タケルを乗せてお台場まで行こうとしたのは良いのだが、不運にもメガシードラモンと遭遇してしまって交戦したのだが、やはり成熟期と完全体では力の差が大きく、返り討ちに遭いそうになる。

しかし、丈が紋章を光らせることに成功し、イッカクモンを超進化させてメガシードラモンを一蹴したことで今に至る。

｢今度はおいらが相手だ！！ハンマースパーク！！｣

ズドモンがリリモンを地面に降ろして、手に持つトールハンマーでヴァンデモンに殴りかかる。

見た目通りズドモンはパワータイプのデジモンだ。

ズドモンならヴァンデモンにダメージを与えられると思ったのだが。

｢ぬん！！｣

ヴァンデモンが勢い良く右手を突き出し、それによる圧力でズドモンが吹き飛ばされる。

｢うわっ！？｣

｢し、掌圧だけでズドモンを！？｣

ズドモンの巨体が風圧だけで吹き飛ばされると言う光景に全員が目を見開いた。

｢お前ら、バラバラに戦っても勝ち目はねえ！！全員力を合わせて戦うんだ！兄貴達が来るまで持ち堪えるぞ！んじゃ、行くぜ！！｣

紫色の鱗粉を撒き散らしながらヴァンデモンの周囲を飛び回る。

｢ふん、攪乱しているつもりか！？｣

電撃鞭を振るい、ハニービーモンを叩き落とそうとするが、ハニービーモンは小柄の上にかなりのスピードの持ち主なのでヴァンデモンの電撃鞭は空を切るのみ。

｢チッ！！素早い奴め…むっ！？｣

突如体が痺れ始め、体が思うように動かなくなっていく。

｢(急に体が痺れて…まさか奴の鱗粉は体を麻痺させる毒か！？)｣

｢今だ！！｣

ハニービーモンが指示を飛ばして一斉攻撃を促す。

完全体に進化出来る者達は超進化し、ヴァンデモンに一斉攻撃を繰り出し、爆炎がヴァンデモンを覆う。

｢やったか…！？｣

ヤマトがヴァンデモンを倒したのかと思った瞬間、無数の蝙蝠が襲い掛かる。

｢うわあ！？｣

蝙蝠に飛びつかれたデジモン達は悲鳴を上げた。

｢サンダークラウド！！｣

ウィザーモンが広範囲に電撃を放って蝙蝠を打ち消そうとするが、電撃を喰らっても蝙蝠は多少仰け反るだけで逆に蝙蝠の怒りを買う結果となって勢いが増す。

｢馬鹿な…！？｣

ヴァンデモンが召喚する蝙蝠の耐久力は成長期でも迎撃が可能なレベルだったと言うのに今では成熟期の攻撃にすら耐え切るレベルだ。

｢中々良い技を持っているな…まさか私の体を麻痺させる程の毒を使えるとは…｣

｢げえ！？効いてねえ！？｣

｢だが、二度は通じんぞ｣

更に蝙蝠の数が増え、ハニービーモンも迎撃に加わる。

｢みんな、下がって！！はああ～…フウウウウ！！｣

チャックモンが深呼吸し、一気に冷気を吐く。

蝙蝠達はたちまち凍り付き、動きを止めると再びウィザーモンが電撃を放って蝙蝠達を吹き飛ばす。

｢ほう、中々やるではないか｣

｢パタモン！！｣

｢うん、パタモン進化、エンジェモン！！｣

タケルがパタモンをエンジェモンに進化させる。暗黒系に対して強い力を発揮するエンジェモンなら今のヴァンデモンにも太刀打ち出来ると踏んだのだろう。

それは間違ってはいない。

｢ヴァンデモン、私が相手だ！！｣

｢ほう…聖なる力を持つ者か…丁度良い、今の私の力を試すのには絶好の相手かもしれんな｣

聖なる光を放つエンジェモンを前にしても全く動揺を見せないヴァンデモン。

｢ヘブンズナックル！！｣

拳から放たれる光をまともに受ければ流石のヴァンデモンもダメージは免れない。

｢はあっ！！｣

両手を突き出し、特殊な障壁を展開、光を受け止めてそれをそのままエンジェモンに返す。

｢何！？｣

驚愕しながらも何とか回避したエンジェモンにヴァンデモンもニヤリと笑った。

｢この障壁の力の前では貴様の聖なる力も無意味だ｣

｢エンジェモンの攻撃も通用しないなんて…弱点はないのか！？｣

｢ふふ、これで終わりかな？ならば…｣

ヴァンデモンの視線がヒカリとテイルモンに向けられた。

｢っ！｣

｢お前達を始末するとしよう…！！｣

最初に警戒していた存在の抹消に取り掛かろうとした時、別方向から攻撃が襲い掛かる。

｢アングリーロック！！｣

｢トリックオアトリート！！｣

岩石とカボチャがヴァンデモンに迫るが、ヴァンデモンは電撃鞭を振るってそれらを粉砕した。

｢貴様らは…｣

｢ヴ…ヴヴヴヴヴ、ヴァンデモン！お、おおお俺達が来たからにはこ、こここここれ以上、す、好きにはさせないぞ！！｣

｢そ、そそそそ、そうだ！！｣

｢パンプモンにゴツモン！？どうしてここに！？｣

身を潜めていたはずのパンプモンとゴツモンが現れたことにワーガルルモンは目を見開く。

｢(うわああああ！！やっちゃった！！やっちまったよおおおお！！)｣

｢(全然効いてないし…やっぱり格好つけようとしないで隠れてればよかったあああああ！！時間が戻るなら戻ってええええ！！)｣

心の中で心底後悔しているパンプモンとゴツモン。

何となく心中を察したハニービーモンが呆れた視線を寄越す。

｢おい、お前らそんなんで大丈夫かよ？｣

｢だ、だだだだだ大丈夫に決まってるぜえ！！｣

｢お、俺達が来たからにはもう安心だぜえ！！｣

｢足が震えてんぞ？｣

｢｢武者震いだ！！｣｣

｢(…意味分かって言ってんのかなこいつら……？)｣

ハニービーモンはガタガタ震えている2体を放置して構える。

ハニービーモンも古代の因子を持つデジモンだけあって闘争本能は他のデジモンより強い。

｢なあ、お前ら…取って置きの必殺技とかねえの？｣

【ない】

｢マジか…こりゃあ何とか兄貴と旦那が戻るまで時間稼がないと勝てねえな…｣

ハニービーモンの問いにテイルモン達が即答。

脱力しそうになったが、気合いを入れ直す。

｢奴らが来る前に片付けてやろう！！ブラッディーストリーム！！｣

｢｢うぎゃああああ！！｣｣

ヴァンデモンの電撃鞭をまともに喰らって戦闘不能になるパンプモンとゴツモン。

｢てめえらマジで何しに来やがったんだ！？ポイズンパウダー！！｣

｢確かにその毒は脅威だが…｣

即座にヴァンデモンは無数の蝙蝠を召喚し、ハニービーモンに向かわせて毒鱗粉の発生を妨害する。

｢なっ！？畜生！！｣

蝙蝠を回避するが、蝙蝠はハニービーモンを執拗に追いかけてくる。

｢ブラッディーストリーム！！！！｣

｢うっ！？｣

電撃鞭でワーガルルモンを拘束し、ワーガルルモンを力任せに振り回してエンジェモンに叩き付けた。

｢ぐああああ！？｣

｢エンジェモン！！｣

｢フラウカノ…｣

｢もう一度石になっているがいい！！デッドスクリーム！！｣

再びリリモンに向けて放たれた石化光線。

｢…っ！！｣

｢危ない！！｣

咄嗟にズドモンがトールハンマーで石化光線を受け止めるが、石化光線を受けたトールハンマーが石に変化していく。

｢早くそれを捨てて！！｣

｢くっ！！｣

このままではズドモンまで石になるため、武器を手放すように言うリリモン。

手放したトールハンマーは数秒後に石化した。

｢はあっ！！｣

その隙に掌から衝撃波を放ってズドモンとリリモンを吹き飛ばす。

｢シャドーウィング！！｣

｢ふっ…｣

ガルダモンが放った必殺技も軽い吐息でかき消された。

殆どの戦力が集中しているにも関わらずまるで相手にならない。

エンジェモンの攻撃が直撃すればいいのだが、ヴァンデモンはそれを無力化する障壁が扱えるために通じず、時間経過と共に傷が増え、膝を付くデジモンが増えていった。

｢ふふ、奴らとの戦いも結果は屈辱の極みだったが、私には好都合だったのかもしれんな。さあ、裏切り者とそのパートナーよ。覚悟はいいか？｣

｢くっ！！｣

｢ナイトレイ…｣

｢トライデントアーム！！｣

｢ぬう！？｣

ヴァンデモンに凄まじい勢いで向かっていくクロンデジゾイド合金の爪を電撃鞭で弾く。

爪が飛んできた方向を見遣るとメタルグレイモンから降りた太一とミミが走ってきた。

｢俺の妹に手を出すな！！｣

｢ふん、其方から来るとは余程死にたいと見える…！！｣

｢ギガデストロイヤー！！｣

メタルグレイモンは傷だらけの仲間を見て、最初から全力で攻撃する。

｢ブラッディーストリーム！！｣

しかしその渾身の一撃もヴァンデモンの鞭にあっさりと弾き飛ばされてしまう。

｢その程度の力で私に敵うと思っているのか！！｣

ヴァンデモンが鞭を何度も叩き付けてメタルグレイモンにダメージを蓄積させていく。

｢ヴァンデモン！！｣

｢ふん！！｣

メタルグレイモンへの攻撃を止めようとワーガルルモンが背後から攻撃を仕掛けるが、衝撃波で吹き飛ばされた。

まともに反撃すら出来ないまま、メタルグレイモンも膝をつき、とうとうヴァンデモンはヒカリとテイルモンを向いた。

｢さて…覚悟はいいな？今度こそ死ぬがいい！！｣

直接攻撃で確実に始末しようと考え直したのかヴァンデモンは電撃鞭を調整し、剣の形にするとヒカリとテイルモンに斬り掛かろうとするが、足に違和感を感じて足を見下ろすとチャックモンがしがみついていた。

｢や、やらせな…｣

｢邪魔だ！！｣

｢うわああああ！！｣

吹き飛ばされて悲鳴を上げるチャックモン。

そしてヒカリとテイルモンに向かって剣を振り上げたヴァンデモンだが…。

｢よっと！！｣

ヒカリ達とヴァンデモンの間に割り込んだ者がいた。

｢大輔君！！サジタリモン！！｣

｢待たせたねヒカリちゃん｣

｢悪い悪い、遅くなった…でもヒーローは遅れてやって来る…さあ、決着つけようぜヴァンデモン！！｣

遅れた地上最大の希望が決戦の地に現れた。

とうとうヴァンデモンとの最後の戦いが始まる。 

さて、ヴァンデモン完全体との最終決戦ですが、決戦の地がテレビ局ではなく最初に太一達が身を潜めていた場所に変更、そして戦いの地が変更したことで光子郎がテレビ局で調べ物中。多分ヴァンデモン撃破したら合流するかもしれない多分。因みに賢は別行動中です。