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テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー3 ―そして、僕の伝説―

作者:夕影
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第十二話



『―――――――!!』


独特の奇声を上げ、此方に接近してくる石像の魔物『ストーンシーサー』。

僕達はそれぞれの武器を構えて、ストーンシーサーの接近に対応する。


「行くぞ、魔神剣!」


「行け、デルタレイっ!!」




突撃してくるストーンシーサーに向け、クラトス師匠から放たれる斬撃と、ハロルドから放たれる光弾。
ストーンシーサーはデルタレイの二発を避けるも、避けた直後、魔神剣の斬撃に当たったと同時にデルタレイの三発目が当たり動きが止まる。
それが分かると僕とメリアはストーンシーサーに向け走り出し、攻撃を開始する。


「吹き飛べ!裂・震・虎・砲っ!!」

「……滅掌破……」



ストーンシーサーに向け放たれる獅子の形の気と強力な気。
それは見事に直撃し、ストーンシーサーは吹き飛んだ――かのように見えた。


「……うわぁ…やっぱり……」


「ほぅ……分離…いや、元々二体で一体だったか」


そう、ストーンシーサーは確かに吹き飛んだ…が、吹き飛んだのは本体であったストーンシーサーであり、土台である魔物『シーサーチェスト』はストーンシーサーが上から居なくなったのもあってか興奮したかのように暴れ出す。
そして、吹き飛んだ筈であったストーンシーサーは何事もなかったかのように着地し、土台が無いためか回転しながら此方を睨み付けてきた。

「二体分離…グフフ、なんか浪漫を感じるわ〜♪」


「余計な事を言っている場合か…。…本体の方は私と衛司が潰す。ハロルドとメリアは土台だ」


ハロルドが分離した二体をやけに輝いた目で見ていると、クラトス師匠は溜め息を吐いた後、そう指示する。

ストーンシーサーは僕とクラトス師匠を確認すると、転がるように移動し、此方に接近してくる。
それに対し、クラトス師匠は何か詠唱を始め、僕はストーンシーサーに向け走り出す。


「ハァッ!双・牙・斬ッ!」


接近してきたストーンシーサーに向け、木刀による斬り下ろしから斬り上げの攻撃を放つ。


『―――――――!!』


「っ!?」

だが、打ち込んだ双牙斬をストーンシーサーは腕をクロスさせ防ぎ、僕が着地した瞬間、その腕を回転させ、僕に向け殴りつけてきた。


「っ…本当…ああいうタイプは苦手だなぁ…」


「…衛司、下がれっ!――サンダーブレードッ!」


ストーンシーサーの攻撃を何とか木刀で防ぎきりそうぼやいていると、不意に後ろから届いたクラトス師匠の言葉にその場を退くと、強力な雷を纏った剣がストーンシーサーに向け落ち、直撃する。
ストーンシーサーは未だに健在していたが、サンダーブレードの効果もあり、動きがよろめく。


「衛司…今なら倒せる。…『アレ』で決めるぞ」


「はいっ!」





クラトス師匠の言葉に頷くと、僕はクラトス師匠から少し離れた位置で木刀を構える。そして、それに応えるようにクラトス師匠も剣を構えた。
目標は目の前で鈍く動くストーンシーサー。
それに向け、全力を叩き込む!


「タイミングを外すなよ、衛司!」


「はいっ!食らえ…っ!」


言葉を合図に、僕とクラトス師匠は武器を突きの体制にしてストーンシーサーに向け走り出す。
狙いとタイミングは確実。これなら……いけるっ!!



「「――衝・破・十・文・字ッ!!」」

声と同時に、その名の如くストーンシーサーを十字に貫く二つの剣閃。
ストーンシーサーを貫いた後、クラトス師匠と僕が武器を納めた瞬間、ストーンシーサーは音と共に崩れ落ちた。



メリアとハロルドの方を見ると特に難なく倒したみたいだ。


「――…ふぅ…勝ったぁぁ」


思わず気が抜けてそんな声がもれてしまった。
いや、だってまぁ、強かったですし……。


「――衛司、人工精霊を相手によくやったな。安心しろ、お前は十分強くなっている。まぁ……まだまだ鍛錬の必要はあるがな」


「はぁ……はい…」

不意にクラトス師匠からそんな声を掛けられつい苦笑いしてしまう。
それにしても……。


「師匠……人工精霊、とは…?」


「それは―――」




クラトス師匠が言い掛けた所で、不意に後ろから足音が聞こえ、振り返ると……そこには予想通りの人物がいた。


「――しいな。お前だったか…」


「クラトスだったのかい!久しぶりだねぇ。あいつを始末してくれて助かったよ」


そう、現れたのは、『シンフォニア』で忍者である藤林しいなであった。
しいなは此方を見てニッと笑うと口を開いた。

「あんた達が倒したのは、あたしが『光気丹術』で作ったものなんだ。それが扱いきれなくて暴走しちまってさ…。もしあれが外に出たら大変だったよ。本当、ありがとう。ところで、何の用だったんだい?」

「えっと…僕達はこの先のミブナの里に精霊に関わりがあると聞いて精霊と話がしたくてきたんですけど…会わせてもらえないでしょうか…?」


しいなの問いに僕が前に出てそう答える。しいなはそれに対しやや苦い表情を浮かべた。
…?どうしたんだろう…?


「ミブナの里の精霊かい…会わせたいのは山々なんだけど…今はもう居ないんだよ。…ミブナの里周辺の星晶が採取され始めてから、いなくなったんだ」


「ウリズン帝国か……」


「それ以外の国もだね…。奴ら、星晶ばかりじゃなく、土地にあるものを何でも取っていこうとする。ミブナの里が奴らに見つかるのも時間の問題だよ」

苦い表情のままそう答えていくしいな。
…遅かった、か……くそっ…どんだけ国って、自己満足なんだよ…。


「…だから、奴らが入って来れないようにって、人工精霊を作ろうとしたんだ。…でも、難しくてダメだったね。あたしなりの解釈だったんだけど、結局あの程度さ」


「んー、とりあえず、精霊への接触はムリって事ね」


「……引き、返す……?」


しいなの言葉を聞いてハロルドとメリアがそう言ってくる。
うーん…やっぱりそれしかないよね。





「そうだな。…一度戻るとしよう」


「待ちなよ!…クラトスが精霊を頼るって事は、余程の事なんだね」

クラトス師匠の言葉にしいなが反応してそう言うと、クラトスは小さく頷いて答える。


「そうかい…。ミブナの里に精霊はいないけど、他の地域にいる精霊についてだったら、何か分かるかもしれないよ。…里に文献があるから、後であんた達のギルドに届けにいくよ」


「本当ですか…!?あ、ありがとうございますっ!」



しいなの言葉に思わず僕は礼をしてしいなの手を握る。良かった…手掛かり無しにならなくて…!



「えっ!?あ、ああ、あんた達にはさっきの礼もあるからねっ!とと、当然の事だよっ!!」

少し驚きながら、何故か頬を赤らめて目を逸らしてそう言うしいな。……ぁ、いきなり手とか握ったら失礼だよね。


「兎に角、ありがとう。しいなのおかげで手掛かりが繋がったよ」


「い、いや……別にそれ程でもないよ」





改めてそう礼をして手を離すと目を逸らしたままそう答えるしいな。
うん、本当に良かった。




「――それじゃ、皆戻ろう……か…?」


僕がそう言いながら皆に振り返ると―――



「………………はぁ」



――僕に呆れたように額を抑えて溜め息を吐くクラトス師匠と――



「グフフフフ~♪」


――嫌に目を輝かせるハロルドと――



「……………………胸が(チッ)」


――やけに黒々しい気を放ち出すメリアがいた。
……というか、メリア…なんか言わなかった…?


……取り敢えず……なんでさ……?



――そんなこんなで……しばらくはしいなの乗船待ちになる事になった…。


――追記、メリアが帰り際…本当に怖かった。



 
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