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テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー3 ―そして、僕の伝説―

作者:夕影
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第十三話



「オラオラッ!左手がお留守だぞっ!」


「くっ!っぅ……!」


迫り来る剣閃の連撃。それを手にした木刀と剣で何とか防ぎ、直ぐ様攻撃をしようとするが……


「よっと…当たらねぇな」


ひらりと簡単に避けられ再び剣閃の連撃が始まる。
くそっ……扱いにくっ…!



「そらよ、右側がお留守だっ!」


「しまっ……がぁっ!!」



僅かに出来てしまった隙。それを突かれ、僕はその場へと崩れた。


――――――――――――



「――…おーい、大丈夫か?」


「――は…はぁ……大丈夫です」


甲板に倒れている僕を見下ろような形でそう言ってきた、先程までの鍛錬相手であったユーリの言葉に、倒れたまま苦笑いして僕はそう答えた。

「まぁ…これでお前が二刀流に向いてないのはよく分かったな」


「はい……仰る通りに御座います」


笑いながらそう言ってくるユーリに苦笑いしたまま僕はそう返した。
うーん……一刀なら結構動くのに…やっぱり二刀となると両方に意識が持っていけずに、どうしても片方が開いてしまう。改めてスパーダとか凄いなぁ。


「んー……もう少し頑張ってまるかぁ…」


「おいおい、確かに頑張るのはいいが、お前、最近あんまり休んでねぇんじゃねぇか…?」
「え……そう、かな……?」


「そうだろうが。昨日はアスベルと一日中鍛錬やって、一昨日はクラトスと鍛錬した後、依頼行ってただろ?」


「あ、あれ………」


ユーリのそんな言葉に思わずそんな声を出してしまった。うわぁ……全然覚えてなかった…。


「ったく……やっぱりな。…いくら今手掛かりが見つかってリタの解析待ちだからって張り切り過ぎだっつーの」


「はぁ……本当にすいません」


ユーリの言葉にそう言葉を出す。
ユーリの言ったとおり、あのミブナの里の一件からしばらくして、精霊の手掛かりである文献を手にしいなやロイド達『シンフォニア』一行と『ファンタジア』のすずが、この船に来航、ギルドに所属する事になった。

それで、肝心の文献は暗号化されてて、解読待ち。ついでで、リタの研究だった『ソウルアルケミー』っていうのが、『光気丹術』と同じかもしれないって事でそれも解析待ち。
今のところ、赤い煙の情報も来ていない。
つまるところ、現在暇なのだ。


「……幾らその解析待ちだからって、解析終わった後にこっちが動けなきゃ意味ねぇだろ。…ったく、昼からの鍛錬は無しだ。しっかり休みやがれ」


「…はい。…ありがとうございました」


「おうよ。風邪ひかねぇ内に船に入れよ」

そう言って軽く手を振って船内に戻っていくユーリ。
…やっぱり凄いなぁ、ユーリって。


「――さぁて……どうしよ…」


僕は甲板に倒れたように寝転がったまま、空を見上げて思わずそう呟いた。






―――――――――――


「――……あれ、カノンノ?」


「――ぁ…衛司」


やることもなくなり暇となったので、船内を歩き回り操舵室に上がると、そこには操舵室の窓から外を眺めているカノンノが居た。





「あれ、衛司…今日は昼から鍛錬じゃなかったの…?」


「いや、休みを貰っちゃって……カノンノはどうしたの…?」


「私は……これだよ」

僕の問いにそう言うと手に持ったスケッチブックを見せてきたカノンノ。ああ、成る程……。


「また絵、描いてたんだ」


「うん。今日はこういうのなんだけど、どうかな?」


そう言ってカノンノはスケッチブックを僕に渡してきた。
最近は本当に、カノンノは描いた絵を僕やメリアに記憶の手掛かりになるかもしれない、とよく見せてくれる。
メリアの場合は確かに記憶喪失……と、言うかディセンダーの初期状態みたいなもんかもしれないから、手掛かりになるかもしれないけど……僕の場合はちゃんと記憶があるので…なんか騙している罪悪感が堪らない。まぁ…それでも、カノンノの描く絵の鮮明さについつい目が行ってしまうところはある。



そんな事を考えながらも渡されたスケッチブックのページを捲り出す。うん…やっぱり分からないけど……結構綺麗に描けてるなぁ…。



「――…衛司は、凄いよね」


ページを捲り見ていると、不意にカノンノからそんな声が聞こえ、顔を上げて思わず首を傾げてしまう。


「……凄いって……僕が…?」



「うん。いつもクラトスさんやセネル達の鍛錬をやって、依頼をこなして、かなりキツい筈なのに、いつも楽しそうに笑ってて……凄いなぁ、って」




「はは……。…僕は別に凄くなんてないよ。クラトス師匠やセネル達の鍛錬も、僕がまだまだ皆より弱いから頑張ってるんだし、依頼も当然の事だし……全然凄くなんてないさ」


カノンノの言葉に苦笑いしながらそう言葉を返す。事実、僕の実力はきっとまだまだ低い。だから鍛錬するのも当然の事だし、それで依頼をこなすのも至って当然だと思っている。
そんな僕の言葉にカノンノは小さく首を横に振る。

「ううん、それでも衛司は凄いよ。それに、衛司は私たちより弱くなんてないよ。私から見たら……衛司は多分、戦い方次第でユーリと同じ…くらいだと思うよ?」


「そう……かな……?」



カノンノの言葉に思わずそう言って頬をかいてしまう。だって、今まで鍛錬でいい感じにボッコされてるのに、他者からそう言われるのは初めてであり、かなり意外だったから。




「そうだよ。だから…衛司は自分に自信を持とう。衛司が思っているより、きっと衛司自身には強さがあるって、私は思ってるから」




そう、僕を真っ直ぐと見て、少し頬を赤らめながら言葉を出したカノンノ。
自分に自信を持て…か…。


「そう……だね…。うん…ありがとう、カノンノ。なんか…元気貰っちゃったみたいで」


「ううん。どう致しまして、だよ」



そう言った後、二人して笑い合う。
そして、僕はスケッチブックをカノンノに渡す。


「……カノンノ」


「………?」


「いつになるか…分からないけどさ……僕、カノンノや皆を守れるぐらいに強くなるよ、絶対に」


そう自分の決意を言って小さく笑っておく。カノンノは少し呆然とした後、何故か顔を真っ赤にしてあわあわとし始めた。

そんな様子を見ていて少し楽しく思ってカノンノの頭を撫でておいた。


――この世界にいて、やっぱり不安もあるけど……それでも、この世界にきて良かったと思った。



 
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