| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

真田十勇士

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

巻ノ百二十八 真田丸の戦その八

「今ここで天下に知らしめる時ぞ」
「伊賀十二神将と真田十勇士どちらが天下一の忍達か」
「そのことをな」
「はっきりさせる時ぞ」
「半蔵様、ここはです」
 十二神将筆頭の神老が服部に言ってきた。
「我等もです」
「うむ、殿軍でもあるしな」
「この者達と戦い」
 そうしてというのだ。
「天下一の忍がどちらかをです」
「定める時じゃな」
「ですから」
「わかっておる、ではな」
「ここは我等にお任せを」
「三人足りぬな」 
 双刀が数のことを言ってきた。
「それでもよいか」
「ははは、数も互角よ」
 こう言ってだ、何とだった。
 後藤又兵衛も来た、その後ろには木村もいる。
「わしが助太刀させてもらう」
「拙者もじゃ」
「真田殿にな」
「そうさせてもらう」
「後藤殿、それに木村殿か」
「服部半蔵殿じゃな」
 後藤は服部の顔、今は仮面に覆われているその顔を見て言った。
「そうじゃな」
「左様」
 服部も偽らずに答えた。
「拙者が服部半蔵でござる」
「そうか、ではじゃ」
「ここはですな」
「十勇士にな」
「貴殿と木村殿がか」
「助太刀させてもらってじゃ」
 そのうえでというのだ。
「戦わせてもらう」
「承知致した、では」
「これよりな」
「我等の戦となる、わしは忍の術は心得ておらぬ」
 このことは幸村と違う、後藤はあくまで武士である。己の武芸を磨き高めていく一騎当千の武者なのである。
「しかし武士の術でじゃ」
「我等と戦う」
「そうさせてもらう、それでいいな」
「はい」
 これが服部の返事だった。
「それでは」
「うむ、ではな」
「拙者もじゃ」
 木村も後藤に続いて服部達に言う。
「ここはじゃ」
「武士としてですな」
「戦いそうして」
「十勇士に助太刀されますか」
「うむ」
 その通りだというのだ。
「それで宜しいか」
「貴殿のお名前は聞いておりまする」
 後藤だけでなく、というのだ。
「豊臣家きっての武芸の持ち主だとか」
「まだまだ未熟者でござるが」
「いえ、見てわかります」
 身体つきと身の動き、そして気をだ。
「貴殿もまた見事な武芸者」
「だからでござるか」
「我等にとっても相手に不足はござらぬ」
「左様でござるか」
「そして」
 さらに言う服部だった。
「我等も全力で相手を致す」
「それでは」
「ではそれがしは」
 ここで服部は十勇士と後藤、そして木村を見て述べた。
「十二人と十二人、それぞれ一対一の勝負となる様なので」
「退かれるか」
「いや、退く軍勢を守り申す」
 そうすると後藤に答えた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧