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コバピーハザード!

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第二章「助っ人現る…?」


 お腹をグ~グ~鳴らしながら、僕は取り敢えず喫茶店でもと…思ったのが間違いだった。
「ここ僕の席ぃ!」
「何言ってんだよ!?僕が最初に座ったんだぞ!」
「いやいや、ここはやはり紅茶でしょう。」
「ダメだって!豚の生姜焼き定食食べなきゃ!」
 開いたドアの向こうに、この世とは思えぬ阿鼻叫喚が…!今来た街の穏やかさは、一体何だったと言うのだ!ってか、ここのマスターはどこ行ったんだ!?
「あ!オリジナルが来たぞ!」
 一匹のコピーが僕を指差して叫んだ。その瞬間、喫茶店内にいるコバピー擬き達が一斉に振り向いたもんだから気持ちが悪いっ!
「大変失礼致しました!」
 僕は直ぐ様、その喫茶店の扉を閉めた。
「こりはヤバイですね。」
 僕はそう呟いて、すたこらさっさと走り出した。しかし…後からドタバタと奴らが追っ掛けてくる音が…。

-おいおい…僕ってオリジナルなんだから偉いんじゃねぇのかよっ!-

 だが全く偉くはないようで、背後から罵詈雑言が聞こえてきた。
「待てぇ!この三頭身っ!」
「短足のクセして足早っ!」
「お前のせいでこんな体に作られたじゃないか!」
「なんでこんな不細工なんだよ!」
 僕のせいなのか?僕が悪いってぇのか!?
 そんな切ない場面の中に、どこからか奇妙な声が聞こえてきた!
「桃の毛立ち~竹ぇ~♪」
 いや、なんかもんすごく変よっ!?
 しかし、追っ掛けてくるコピー達の足を止めるには充分だったようで、僕同様、みんなその足を止めてキョロキョロしている。
「とぉっ!」
 そう威勢のいい掛け声を掛け、そいつは意気揚々と僕の前へと飛び降り、そして華麗にコケた。
「あ、痛っ!」
 なんだこいつ…。こんなキャラ、この話に居たっけ?
「えっとぅ…どなた様ですか?」
 僕は仕方なく、その奇っ怪な登場人物に問い掛けてみた。
 どうやら外人さんらしく、髪は金髪で肌は白い。スレンダーな筋肉質で、なぜかコマンダーのような格好をしてる…。
 顔は父と張り合うほどだが…さっきのあの歌は一体何なんだろうか?
「桃の毛立ち~竹ぇ~♪」
「もういいっつぅの!ってか、お前誰だっての!」
 僕は思いっきりツッコンだ。
「すまない。あまりにも気が滅入ってしまったものだから…。俺の名はメラ・ニョポピッチ!」
「発音しずらっ!」
「そんなことよりも、君がオリジナルってのはどういうことだ?」
 発音しずらいのは理解してるようだ…。
 ま、こんなとこに出没したんだ、なんかの役には立つだろう…。立つはずだ…。僕はそう考え、そのメラ・ニョポピッチとかいう男に全ての経緯を話した。
 その最中、一匹のコバピー擬きが僕達に襲い掛かってきた!
「ウンガァ~ッ!」
 いやいや、その掛け声は違うんじゃね?的な叫び声で突進してきたのだ。
「えぃっ!」
 突進してきたコバピー擬きに向かい、僕と話していたメラ・ニョポ…もういい。メラが銃を撃った!
「うひょ!」
 この叫び声も間違ってる気がするが…。そんなことより、いくらコピーとはいえ中には一般市民(内二人は除外で…)も紛れてるのに!
「そのコピー達の中には街の人達も…」
 しかし…よく見ると、それは良くできたただの水鉄砲だった…。
「えぇっと…なんじゃそりゃ~!?」
「これ?良く出来てるだろ?」
 メラはそう言って白い歯を見せ、爽やかに親指を立てた。
「まぶ…!ってか、これってそんな間抜けな話しなんかい!?」
 そう叫んでみると、さっき撃たれたコピーがむっくりと起き上がった!
「ありゃ?俺…今まで何してたんだ?」
「け、けぃ…!?」
 なぁ~んと、水鉄砲で撃たれたコバピー擬きは、噛まれて僕の姿になったけぃだったのだ!
「ってか、ぜってぇおかしいだろ!?なんで水鉄砲なんだよ!」
 僕はメラに向かって叫んだが、メラはどうでもいいようで僕の言葉は右から左…。
「うっわ!こりゃイケるゼッ!!」
 もうノリノリのウハウハ状態で、水鉄砲を撃ちまくっている。
 そんなメラに恐怖を(ってか嫌悪感?)を感じたコピー達は、我先にと逃げ回って大半はどこかへと消えてしまった。ま、何匹かは餌食になっていたが…。
 だが、どうやら噛まれて擬きになった人間にしか効果がないようで、コピー自体は濡れるのが嫌だっただけらしい…。
 人間の姿(ってか僕も人間だっつぅの!)に戻った人々は歓喜し、各自防衛体制に入った。その中に、見覚えある二人が紛れていたが、父とリツさんの姿を見つけることは出来なかった。
「チッ…!こいつらだけかよ…。」
 そこにいたのは紛れもなくけぃとみほ殿で、僕は嫌んな感じに舌打ちをしたのだった。
 どうせだったら、父かリツさんであればコバピー擬きの対処も出来たってのにさ…。なぜにこいつら?それも二人揃って!
「クッソ!なんでテメェがいるんだ?リツさんはどこだっての!」
「フッ…それはこっちのセリフだ!けぃの分際で何寝惚けたことを!」
 あぁ…始まったよ…。
 そこへメラが止めに入った。
「君達が何者かは知らんが、ここは未だ戦場だ。互いに争っている暇はないぞ!」
 おぉ!メラがまともなことを言ってる!メラなくせに…。
 しかし、けぃとみほ殿は険悪な目でメラを睨み付けて言った。
「うっせぇよ、そこのオッサン!」
「オヤジはすっこんでろっての!」
 二人の言葉を聞いたメラは、その躰から蒼白く燃えるオーラを放ち始め、手にしていた水鉄砲を徐に別のものに持ち変えた。
「フ…フフフ…。」

-ドドドドドドドドドドドドドドドド…!!-

 歳を気にしていたのか、メラは二人に向かって銃を乱射したのだった。
 それが終わると、少しの間静寂が続いた。
 そして…
「ヒィィィィィ…!!!」
 間の抜けた二人の、声にもならない叫び声が辺りにこだましたでした。
「テメェら、よく聞けよ?大人の言うことは黙って聞くもんだぜ?死にたくなかったらなぁ…。」
「ハ、ハイッ!!」
 けぃとみほ殿は顔面蒼白、直立不動でメラの言葉に返答した。
 メラはメラで、乱射した銃をペロリとなめて不適な笑みを浮かべて言った。
「梁抜けた~家がぁ~♪」
「それ倒壊するっての!ってか、今度は冒頭かよっ!?」
 こんな有り様で、本当にどうにかなるのか…?いや、どうにかせねばなるまいぞ…。こんなとこで漫才している場合じゃない…。
「みんな、聞いてくれ。この非常事態をどうにかするため、僕はダディの研究仲間のとこへ行こうと考えてるんだ。みんなはどうする?」
 僕は、目の前に立つ何とも愉快痛快摩訶不思議な連中にそう言うと、内二人はこう言った。
「まずはリツさんの救出を!」
 仲良くハモった…。以外と仲良しさんだったりして…。
 しかしそんなことは全くなく、互いに睨んだかと思ったら再びバトル開始となったのだった。
「俺が助ける。みほっちは、あそこの花屋で擬きと戯れてろよ。」
「いいや。テメェみてぇなガキんちょに委せておけるもんか。テメェこそあのアイス屋で擬きの遊び相手にでもなってやれ。」
「バカ言うんじゃねぇ。お前みてぇなオカマ顔でリツさんを助ける?そりゃ一億年経ったってできゃしねぇって!」
「ぬかせっ!テメェこそそんなヒョロっこいなりして、どうやってリツさんを助けるってんだぁ?ハッ!こりゃヘソでコーヒーを蒸発させられるぜっ!」

-バッキュンッ!-

 言い争う二人の顔の間を、一発の銃弾が掠めていった。
「………。」
「………。」
 撃ったのは勿論メラだ。こいつしか銃を持ってないしぃ~。
「やっと静かになったか。さぁ、コバピーとか言う君。その研究仲間のとこへ案内してくれ。ま、こいつら二人も同行させるがな。変に擬き達を刺激されてはかなわんからなぁ…。」
 そりゃそうだ。首に縄つけてでも引っ張って行くぞ…。
「分かった。それじゃ…」

-グゥ~、グゥ~!-

 あぁ、ダメだ!このままでは、お腹と背中がくっつくぞ♪的な感じに倒れてしまいそう!
 そう、朝御飯を食べてないじゃないか!
「そ、それじゃあさ…ひとまずご飯食べてからってことでぇ…」
「………。」
「………。」
「………。」
「何で三人ともそんな目で僕を見るのさ!?え?僕が悪いってんですか?そうなんですか!?」
 ジトッと見つめる三人に向かって僕が言うと、三人は三人して首を縦にふったのでした…。




 
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