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真田十勇士

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巻ノ八十 親子の別れその三

「それが真田の戦じゃ」
「はい、では」
「その様にしてです」
「戦いましょう」
「必ずや」
「して殿」
 十勇士の筆頭格である海野が幸村に問うた。
「我等は忍としてですな」
「主に城の外で戦いますか」
 望月も彼に問うた。
「そうなりますか」
「ではそれがしの鉄砲もですな」
 穴山は実に楽しげである。
「外から思う存分火を噴きますか」
「わしの鎖鎌もまた」
 由利も言う。
「外でそうなりますか」
「ははは、中でも外でもですな」
 根津も腰の刀を見ている。
「暴れてみせます」
「忍は何処でも縦横に戦うもの」
 伊佐はこの時も冷静である。
「殿の命じられるままに」
「敵と戦いまする」 
 筧の口調は実に穏やかだった。
「その時は」
「腕が鳴りまする」
 猿飛は戦を前に実に楽しそうだ。
「今から」
「術もふんだんに使い」
 霧隠もそのつもりだ。
「幾万の敵も寄せ付けませぬ」
「一騎当千の我等だけで」
 最後に三好が言った。
「一万は相手にしてみせましょう」
「うむ、御主達は拙者と共に暴れてもらう」
 まさにとだ、幸村も彼等に言う。
「そして拙者は他にもな」
「武芸だけでなくですな」
「軍略でもですな」
「戦われまするな」
「そうする、しかも父上もおられれる」
 その智謀たるや神の如しと言われた昌幸もというのだ。
「例え十万の兵が来てもな」
「それでもですな」
「城は陥ちぬ」
「そうなのですな」
「そうじゃ、決してな」
 こう言うのだった。
「だから敵が幾ら来てもじゃ」
「はい、臆することなくです」
「敵に向かいまする」
「そうします」
「必ずや」
「頼むぞ、ではな」
 こう言ってだった。幸村は彼等にも戦の用意をさせた。上田城はその全ての守りを固め敵を待ち受けていた。
 家康は小山においてだった、本多正信に言った。
「主な者達を集めよ」
「ご子息様達だけでなく」
「諸大名もな」
 彼等もというのだ。
「皆集めよ、そしてじゃ」
「はい、そして」
「話をする」
 真剣な顔で言った。
「これよりな」
「その時は来ましたか」
「御主もそう思うな」
「はい」
 実際にとだ、本多も答えた。 
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