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Blue Rose

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第四十二話 脅迫その一

                 第四十二話  脅迫
 優花は療養所に匿われてから学校を休んでいた、そこに衝夫がいるのだから当然と言えば当然のことだ。このことについてだ。
 副所長は岡島に療養所の彼女の部屋で言っていた。
「やっぱり学生の本分は勉強だからね」
「おろそかに出来ないですね」
「だからね」
 それ故にというのだ。
「出来るだけね」
「はい、学校に行ける様に」
「しないといけないけれど」
 優花、彼女がというのだ。
「それがね」
「難しいところですね」
「あの先生を何とかしない限り」
「どうしようもないですね」
「転校もあるけれど」
 副所長はこの手段も考えていた。
「それでもあの先生が蓮見さん自身を狙っていたら」
「転校してもですね」
「来るわよ」
 優花を思うがままにするが為にだ、副所長は言っていてこのこともおぞましさに身震いさえ感じていた。それも強く。
「個人情報を掴んででも」
「ああしたタイプの常ですね」
 岡島は副所長に眉を顰めさせて返した。二人で共に部屋のソファーで向かい合って話しつつ。
「手段を選ばずってのは」
「本当にそうね」
「ばらすぞとか言って」
「ええ、そう言ってね」
「それで、ですね」
「蓮見さんが転校しても」 
 例えそうしてもというのだ。
「脅迫してくるわ」
「やっぱりそうなりますね」
「だからね」 
 それ故にというのだ。
「あの先生をどうするかよ」
「元を断つしかないですか」
「結局のところはね」
「そういうことですか」
「今日の朝探偵さんから連絡があったけれど」
 副所長はこのことも話した。
「色々わかったわ」
「この療養所の周りをうろついてる奴は」
「いたわ」
 副所長が感じた通りにというのだ。
「やっぱりね」
「いましたか」
「長崎日報の鍛冶元っていう記者よ」
「長崎日報ですか」
 この新聞社の名前を聞いてだ、岡島は瞬時に暗い顔になった。長崎県の地方新聞社でありネット上では極左新聞の一つとして悪名高い。全国紙でもそうだが地方紙もそうした極めて偏っている新聞社が存在しているのだ。
「殆どアジビラの」
「その長崎日報でもよ」
「特に、ですか」
「偏っている記者で評判が悪いわ」
「記者としてですか」
「記事も問題だけれど」 
 それに加えてというのだ。
「素行も酷いらしいわ」
「そちらもですか」
「人の弱みを握って脅迫するのが常とのことよ」
「それ犯罪なんじゃ」
「犯罪は訴えられないと犯罪にならないわ」
 ばれないと、というが現実としてそうだというのだ。 
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