Blue Rose
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第四十一話 確信された事実その十五
「そうさせてもらいます」
「それじゃあな」
「はい、わかりました」
「ここからはな」
「もう流れで」
「どんどん攻めていける、そしてな」
「また一人、ですね」
衝夫は下卑た顔で笑って言った。
「言いなりの娘が出来ますね」
「しかも今度は上玉だな」
「いや、本当に学校の先生はいいですよ」
「新聞記者もな」
「やりたい放題出来ますね」
「しかもやったことは揉み消せてな」
「社会的に尊敬されている仕事ですし」
そもそも誰が先生『様』なぞという奇怪な空想上の造語を創り出したのか、世間での教師の異常な割合での暴力事件や性犯罪は何なのか。
「一回やったら辞められないですよ」
「滅多なことでクビにもならないしな」
「そうそう」
他人からせしめた金で高級な酒を飲みながら言う。
「そこは」
「全くだな、じゃあ当直交代してもらってな」
「そこであいつの携帯の番号知ります」
「それまでに調べられる限り調べてな」
「そして」
「脅してな」
「療養所から引き摺り出しますか」
ここでだ、衝夫は鍛冶元を見て彼に言った。
「それで、ですが」
「俺のこともだな」
「言っていいですか?」
「いつも通りでいけよ」
「はい、名前は出さないで」
「新聞記者に知り合いがいる、な」
「この言葉も聞きますからね」
マスコミの権力、それを脅しに使うのだ。
「実際のことですし」
「じゃあいいな」
「はい、いつもの通りで」
「やってやれよ」
「わかりました」
衝夫も頷いて応えた。
「そうしていきます」
「今回も絶対にな」
「上手にいきます」
「そうだな」
「コツってやつですね」
「そのコツさえわかればな」
「やりたい放題ってことですね」
衝夫はこう思い込んでいた。
「こうして」
「じゃああの娘もな」
「完全に証拠を掴んだうえで」
「脅してな」
「後はやってやりましょう」
彼等の思うがままにだ、こうした話を高い酒を飲みながら話していた。優花に迫る魔の手はいよいよ彼女の背中に来ていた。
第四十一話 完
2016・10・10
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