Blue Rose
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第三十話 幸せの影その八
「絶対にね」
「絶対になの」
「だって姉妹よ」
それ故にというのだ。
「ずっと一緒だった、だからね」
「待っていてくれてるのね」
「そうよ、ずっとね」
「それでなの」
「待ってるからね、けれどここでもね」
「楽しくよね」
「過ごしてね」
こうも言うのだった。
「ここは凄くいいでしょ」
「奇麗よ。食べものも美味しくて」
眼鏡橋の上での言葉だ。
「ここだってね」
「眼鏡橋もよね」
「ええ、それじゃあ今からトルコライス食べに行きましょう」
「この近くに美味しいお店があるのね」
「あるの、実は」
「そうなのね」
「まだ行ったことはないけれど友達に聞いたの」
こう姉に答えた。
「同じクラスのね」
「女の子?」
「うん、小澤さんって娘にね」
「その娘に教えてもらったの」
「眼鏡橋の近くにトルコライスが美味しいお店があるって」
優花は優子に店の名前も話した。
「ここね」
「そのお店に行くのね、今から」
「そうしましょう、それでトルコライスを食べましょう」
「それじゃあね、それんしいても女の子のお友達も出来たのね」
「何人かね、クラスでも部活でも」
「それは何よりね」
「皆いい娘達よ、男の子の友達も出来てきているわ」
性別の違うそうした存在もというのだ、優花は少女の微笑みで優子に話していく。その笑顔は実に清らかなものだった。
「何人か」
「相変わらずお友達は多いのね」
「いえ、まだね」
「何人かずつだけっていうの」
「そうなの、まだ来たばかりだから」
「そうなのね、けれど貴女はお友達には恵まれるわね」
「神様がそうしてくれるのかしら」
友人についてはだ、優花はこう考えていて優子にも述べた。
「私に友達を授けてくれるのかしら」
「幾割かはそうでしょうね、ただ」
「ただ?」
「それ以上に貴女のその性格がね」
穏やかで優しい、そしてよく気がつくその性格がだ。
「友達を作っていくのよ」
「そうなの」
「貴女は嫌われる人じゃないわ」
このことを保証したのだった、妹に。
「だから龍馬君みたいなお友達も出来たのよ」
「友達の中でも龍馬はね」
「特別よね」
「やっぱりね」
彼だけはというのだ。
「違うわ」
「貴女にとって大きな存在ね」
「とてもね」
空を見上げて言った、長崎の空は龍馬がいる神戸の空にも続いているからだ。今も青空が広がっていて澄み渡っている。
「物心つく頃からの親友で」
「今の貴女も受け入れてくれて」
「そして笑顔で送ってくれたから」
だからだというのだ。
「姉さんと同じだけ大事な人だよ」
「そうよね」
「あの時姉さんと龍馬がいてくれなかったら」
女の子になる、その事実を突き付けられた時にだ。その時のことはどうしても忘れられなかった。
「私今ここにはいられなかったわ」
「潰れてたっていうのね」
「絶対にね、一人じゃね」
とてもというのだ。
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