STARDUST∮FLAMEHAZE
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第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#20
戦慄の暗殺者Ⅵ ~Don't leave you~
【1】
『邪 裂 爆 霊 傀 儡 殺ッッッッ!!!!』
何よりも邪悪な笑みをその耽美的な口唇に浮かべ、
白き存在の闘気を 迸 らせながら魔性のハンドベル
“ダンスパーティー” を手にした紅世の王 “狩人” フリアグネ。
その動作に連動して奏でられる鐘の音、
神聖なる音色はこの世の何よりも残虐な
破壊の大惨劇を学園の屋上で引き起こした。
ヴァッッッッグオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォ
ォォォォォォォォ――――――――――――――――ッッッッッッッ!!!!!!!
途轍もない破壊力の大爆裂音が屋上、否、学園全体に轟いた。
巻き起こった破壊衝撃波によりコンクリートの石版が捲れ上がって根刮ぎ吹き飛び、
更に周りを囲っていた青いフェンスが爆風に歪んで押し倒される。
その凄まじいまでの破壊惨劇の、中心部、
垂直ドーム状に激しく天空へと駆け昇っていく白い火柱の真柱部に、
“彼女” はいた。
そして、渦巻く白炎の嵐の只中でその躰を灼かれながら、
少女の瞳はもう輝きを無くしていた。
その精神活動すら完全に停止していた。
最早、己の躰を灼き焦がす苦悶すらもどうでもよかった。
“本当にどうでもよかった”
ただ一つの、残酷な「事実」だけが少女の裡を支配していた。
“終わった” と。
大爆裂の破壊衝撃波によってフリアグネが屹立する給水塔以外の全てが砕かれ、
蹂躙の限りを尽くされて瓦礫の海と化した残骸の水面に、
シャナは激しい落下音と共に着弾した。
その小さな躰が一度大きくバウンドし、反動で砕けたコンクリートの飛沫が巻き上がる。
もう、落下衝撃を分散する 「体術」 すらも使わなかった、使えなかった。
白炎の焦熱によりボロボロに焼けた黒衣と、その中の真新しいセーラー服、
裾が引き千切れたスカートと、ズタズタに引き裂かれたニーソックス。
戦意を完全に喪失し、まるで糸の切れた操り人形のような少女に、
巻き上がったコンクリートの飛沫と土砂が降り注ぎその身を汚していく。
そんな中、超高密度の双眸 “真・灼眼” がゆっくりと元の色彩に戻っていった。
しかし、最早その裡に燃えるような使命感も闘争心も存在せず、
無限の虚空がソコに在るだけだった。
全ての望みを跡形もなく砕き尽くされた 「絶望」 の表情と共に。
白磁のように清冽な素肌すらも、爆炎の高熱で灼き焦がされたその無惨なる姿は、
まるで折れたまま戦場に打ち捨てられ、永い風雪により錆びて朽ち果てた剣を想わせた。
もうコレ以上無いという位の、完璧なタイミングとキレとスピードで
完全に極まった “狩人” フリアグネの最大最強焔絶儀。
『邪 裂 爆 霊 傀 儡 殺』
その深名に恥じない、途轍もない威力の爆炎儀だった。
そして、白い神聖な気に身を包んだその王が、
給水塔から瓦礫の海と化した屋上へと長衣を揺らしてフワリと舞い降りる。
勝者の微笑を、その耽美的な口唇に浮かべて。
花々の芳香を破滅の戦風に靡かせながら、
ゆっくりと、ゆっくりと、シャナに歩み寄った。
「ほう? 5体満足で焼け残ったか? まぁ少々加減したからね。
咄嗟に 「結界」 を張ってくれたアラストールに感謝する事だな?」
「……」
頭上から、忌むべき男の声がする。
その身から発せられる芳香が周囲に靡いていた。
アイツの纏わせているモノとは全く対照的な香り。
“キモチガワルイ”
風雅なる花々の香りも、今のシャナにはそう感じられた。
「まぁ腕でも脚でも焼け落ちてくれていれば、悲愴感が増して良かったかな?
アァァァァァァァハハハハハハハハハハハハ!!!!」
再び頭上で、調律の狂った弦楽器のような声が聞こえる。
勝者の、声。
そう、自分は 「敗者」
また、負けた。
しかも、最も憎むべき 「アノ男」 の、奴隷に過ぎない者に。
“アノ男の存在に二度負けたも同然だ”
「貴様……!」
胸元のペンダント、“天壌の劫火” アラストールは、
何よりも大切な愛娘に等しき存在を惨たらしく蹂躙した男に対し、
憎悪と悔恨を滲ませた。
その言葉を意図的に無視したのか、或いは端から聞こえていなかったのか、
フリアグネは口元に余韻を浮かべたままシルクの手袋をはめた右手、
握り込んだ親指を軽く弾いた。
ピィンッ。
澄んだ音色を奏でて宙を舞った、一枚の金貨。
その軌跡は回転運動を続けて廻りながら、消えない残像と共に高く上がっていく。
次の刹那、その残像を手練の手捌きで真一文字に薙ぎ払った
フリアグネの手の中に、煌めく金色の鎖が握られていた。
“狩人” フリアグネ、この男もまた、
シャナとは対極の「領域」に位置する同格、
否、ソレ以上の “魔術師”
『白 炎 の 魔 導 師』
「君には、まだ死んでもらっては困るのだよ?」
まるでペルシャ猫のようにその瞳を細め、
甘い口調と吐息でフリアグネはそう告げた。
「君とは戦闘の 「相性」 が実に良かった。
無論、私自身にとっての話だが。
君のような近接戦闘を得意とする 「刀剣使い」 にとって、
私のような 「幻 影 暗 殺 者」は
まさに “天敵” と言っての良い存在だからね?
更に性格の 「相性」 も実に良かった」
そこでフリアグネは一度言葉を切り、純白の長衣を緩やかに翻す。
「感情を露わにして戦う者は、その殺傷能力こそ凄まじいモノがあるが、
同時にまたその「弱さ」をも剥き出しにする。
勢いに任せて戦い過ぎるあまり、その動作は 「単調」 になり
さらに 「我」 を失っている為、
自分自身の消耗すら満足に把握する事が出来ないのさ。
今、君が、身を以て知っている通りだよ」
涼やかな声で、フリアグネはシャナの 「敗因」 を反芻する。
心の疵を、さらに切り刻むように。
何度も、何度も、抉り込むように。
そうして言葉を終えると、フリアグネはもう一度長衣を大袈裟に翻した。
「だが、もう一人の 「標 的」 『星の白金』 は話が別だ」
焼 塵に塗れた風が、死地に吹き荒れる。
「本来在り得ない事ではあるが、
私の崇拝するアノ御方が唯一懸念を抱かれるという存在。
更に私と互角の能力を持つ “彼” を相手に、
戦闘経験値、技術値で遙かに劣る立場でありながら勝利するほどの存在に、
真正面から挑むのは得策ではない」
「……」
『星の白金』 スタープラチナ。
アイツの、事だ。
“指一本触れさせない” と己に誓った。
“こっちは任せて” と彼に誓った。
しかし、 「現実」 は、何よりも何処よりも、遠くなる……ッ!
悔しさと切なさで瞳に涙を浮かべるシャナを後目に、
フリアグネは意気揚々と言葉を続けた。
「だからこの鎖、宝具 『バブルルート』 で君を縛り、
そして、そうだな、アノ給水塔の上にでも括りつけて
獲物が誘き寄せられるのを待つ。
そしてヤツが来たのなら、コレ」
左手に金の鎖を携えたまま、スーツの内側に潜り込ませたフリアグネの右手に、
クラシックなデザインのリヴォルバーが握られて来た。
その「銃」の本質は、“フレイムヘイズ討滅” のみを
目的に創りあげられた戦慄の拳銃。
焔人殲滅。完殺の魔弾。
「紅世の宝具」
『トリガーハッピー』
破壊力-A(フレイムヘイズのみ) スピード-B 射程距離-A
持続力-A(フレイムヘイズのみ) 精密動作性-B 成長性-なし
「“フレイムヘイズ殺し” の「能力」を持つこの銃で君を撃つ。
我が愛銃 『トリガーハッピー』 の “装填されない” 「弾丸」 は、
全てのフレイムヘイズの内部に宿る “王” の 「休眠」 を強制解除する効果がある。
つまり、いつでも、私の気分次第でこの屋上全体を、
先刻以上の紅蓮地獄に変貌るコトが出来るというワケさ。
「器」 を破壊されて暴走したアラストールの劫火に焼かれては、
さしもの 『星の白金』 も一溜まりもあるまいッ!
そして紅世ではない現実世界ではその存在を維持できないアラストールは、
私に 「復讐」 することすら叶わずにそのまま紅世へと還るしかない!
つまりはッ! もう既にして! 私とアノ方の完全勝利というワケさ!
アアアアアアァァァァァァハハハハハハハハハハハハハ!!!!」
白く神聖な存在のオーラを身を覆い、口唇を何よりも邪悪に歪めて、
フリアグネはシャナを嘲笑った。
エコーを響かせて、狂った弦楽器の歓声が屋上全体に鳴り渡る。
「貴様……ッ! 何たる卑劣な……ッ!
敗者に鞭打つばかりかその身を灰燼に帰して 「罠」 に変えようとは!」
激高したアラストールの声をフリアグネは愉しむように受け止め、
邪気に充ち溢れた微笑を嘗ての同胞へと向ける。
「これはこれは、天壌の劫火の御言葉とは想えない発言だな?
戦いとは、 須 く 「結果」 のみが全て。
敗者は勝者に何をされても仕方がない。
その鉄の掟をお忘れか?」
そう言ってフリアグネはパールグレーの双眸を散大させ、
ギラついた狂気の光でアラストールを睨めつける。
「“自分だって今までそうしてきたのだろう?”
相手の 「言い分」 など訊きもせず、斟 酌もせず、
“知ろうとも知りたいとも想わなかったのだろう?”
そして討滅してきたのだろう?
我々と一体何処が違うんだ?
にも関わらず 「自分の時」 は酌 量してくれとは、
また随分と虫の良い話だな? ン? アラストール殿?」
長文を淀みなく明瞭に紡ぎながらフリアグネはそう言い放ち、
そして慇懃無礼を絵に描いたような立ち振る舞いで
右腕を前へ差しだし最上級の一礼を捧げた。
「……」
論理的な挑発にもアラストールの心中は乱れなかったが、
しかし窮地とは別の事象でその不動の精神に若干の解れが生じた。
「それとも、まさか 『星の白金』 に何か “特別な感情” でもお在り、でも?」
「!」
隔意なき明け透けな言葉にアラストールは一瞬虚を突かれるが
「戯けた事を……」
そう言って押し黙った。
「ふぅん」
フリアグネは蕩けるような甘い声でそう呟き、
幻想的な流し目でアラストールを見つめた。
紅蓮と白蓮。
二人共強力な紅世の “王” ではあるが、
言葉遣いや立ち振る舞いはまるで対極だった。
「……」
「……」
その両者の間に、沈黙の帳が舞い降りる。
フリアグネはまだ己の 「戦果」 について話したりない様子だったが、
ソレを見越してアラストールは小康状態を選択した。
全ては、シャナの回復の時間を図る為。
そして、間に合うかどうかは解らないが、
「あの男」 の到着を待つ時間を少しでも稼ぐ為だった。
かつて、この 『世界』 の致命的な 「危機」 を、
二度も救った偉大なる血統の末裔。
そして今再び、その 『世界』 の存在全てが
“幽血” の脅威に染まりつつある「宿命」と戦う男。
『星の白金』 空条 承太郎を。
「イヤ、それにしても君の “焔儀” には、正直肝を冷やしたよ」
アラストールが喋らないのでジレたのか、
フリアグネは長衣を梳き流しながら純白の手袋、左側を外した。
「!」
想わず息を呑むアラストール。
露わになった左手の薬指、精巧に彫金された純銀の台、
その上に同様の研磨技術でカットされた紺碧の宝玉が光る指輪が在った。
しかし惜しむらくかな、その神秘を灯す宝玉にはいま頂点部から一筋、
細かな亀裂が走っていた。
「まさかこの火除けの指輪 “アズュール” に罅が入るとはね。
もう二、三発同じ焔儀を撃たれていたら危ない処だったよ」
そう言ってフリアグネはからかうように、
その火除けの宝具 “アズュール” を振ってみせる。
「貴様……やはり先刻この子の焔儀を防いだのは
“自在法” ではなかったのだな?」
フリアグネの余裕、その本質を見切れなかったアラストールは
口惜しく歯噛みする。
「フッ、己のキリ札は決して敵に晒すな、さ。
私がフレイムヘイズの焔儀に対して
絶対の防御式を持っていると 「錯覚」 させておけば、
必ず相手は武器を持っての近接攻撃を仕掛けてくるだろう?
後は適当に使い捨ての “燐子” に相手をさせておいて、
『邪 裂 爆 霊 傀 儡 殺』
の「布石」を造ってもらうだけさ。
他でもない “フレイムヘイズ自身に” ね
そう言ってフリアグネはアラストールに片目を瞑ってみせる、
無垢なるその仕草は遊戯に興じる幼子のようだった。
「コレが、私の 「必勝の秘密その2」 さ。
そう言えばこの事は “彼” にも話してなかったな。
実際に魅せて説明しようとしたのが仇となったか。
次はここまで完璧に極まるかどうか、自信がないよ」
長衣で口元を覆い、クスクスと微笑って見下ろすフリアグネ。
シャナの、その全存在を嘲笑うかのように。
「“彼?” 彼の者 『幽血の統世王』 の事か?」
「フッ、君には関係のないコトさ。
ソレに、幾ら時間稼ぎをしても、
もうその子は起きそうにないよ」
「!!」
いつかは見抜かれると想ったが、否、最初から見抜きながら
興じていたと考えるのが妥当か。
その悪魔の狡猾さと老獪さでシャナは敗れたのだ。
「……………………………………」
その “狩人” 傍らで、無限の荒野と化した絶望の瞳で
完全に戦意を喪失した少女が一人、頭上を見上げる形で倒れていた。
その少女に、二人の王の声はもう届かない。
瞳にも、見上げる空は映ってはいない。
大破壊現象の起こった屋上で、少女の時間は完全に停止していた。
その裡では、自虐的な問いかけがいつ果てる事もなく延々と繰り返されていた。
自我のフィルターが消失した生の本音で。
次々に沸き起こる言葉の羅列は、
皮肉にも絶体絶命の窮地に陥って初めて、
心の底から滔々と湧き出した。
私は……一体……誰……?
私は……紅世の王……天壌の劫火……アラストールの……フレイムヘイズ……
でも……もう……私に……その 「資格」 は……ない……
こんなに……弱い……フレイムヘイズ……
こんなに……弱い……炎髪灼眼の討ち手……
敵わないと知ると……逃げる……臆病な……戦士……
フレイムヘイズの……面汚し……
こんな私を……認めてくれる者なんて……
もう……この世界の……何処にも……いない……
この……私……自身……すら……も……
それ……なら……
それ……なら……
せめて、アラストールの名誉だけは護りたい。
過去に深く刻まれた、心の疵痕。
余りにも絶対的な力を持つ男によって 齎 された 「屈辱」
だが、幾つかの 「人間」 との関わりにより、
最近ようやく癒え始めたその “疵” の全く同じ部分に、
再び悪意の刃が情け容赦なく抉じ込まれ
少女の心は今限りなく 【死】 に近い状態に在った。
幾ら五体満足でも、心が死んだ者はもう戦えない。
「戦場」 とは、そのような絶対零度の雰囲気で充たされた
冷酷非情の場所。
シャナの脳裏に、一人の 「人間」 の姿が浮かんだ。
「?」
何でこんな時に、“アイツ” の事が想い浮かぶんだろう?
でも、自分が生きていればきっと、アイツを窮地に追い込む事になる。
“自分が原因で追い込むことになる”
初めて、自分の存在を認めてくれた人。
フレイムヘイズとしてではなく、
一人の少女 “シャナ” として、自分に接してくれた人。
同じような存在の力をその身に携えた 「対等」 の立場の人。
勝利の手合わせが楽しいと教えてくれた人。
意外な表情を引き出すのが面白いと教えてくれた人。
切なさという感情を教えてくれた人。
強さに対する脅威と敬意を教えてくれた人。
ビールの苦さを教えてくれた人。
メロンパン以外のパンの美味しさを教えてくれた人。
共に闘う事が嬉しいと教えてくれた人。
他の誰かを護る事が誇らしいと教えてくれた人。
ほんの二日前、出逢ったばかりだというのに、その想い出は尽きる事がない。
手のひらの温もりを教えてくれた人。
“大切な、人”
そう。
「時間」 なんて、関係ない。
誰よりも何よりも 「大切」 な人だから。
もう。
その事に気がついてしまったから。
少し、遅過ぎたのかも、しれないけれど。
(ッッ!!)
霧が晴れるように、心の裡で、一つの 「真実」 が浮かび上がってきた。
どうして? 人は? 自分の本当の気持ちに素直になれないのだろう?
どうして? 何もかもどうしようもなくなってから、本当の気持ちに気づくんだろう?
一番、大切な、人ですらも。
「承……太郎……」
か細い声で、その人の名を呟く。
自然と涙が、瞳から溢れる。
構わない。
いっそ、涸れるまで流れ落ちてしまえば良い。
全てが灰になってしまうまで……
全てが終わってしまうまで……
今まで…… ずっと……一人で良いと想っていた……
人と関わらず……交わらず……
街路で楽しそうに言葉を交わす……多くの人々を後目に……
永遠に死ぬまで 「孤独」 で構わないと……
でも……
本当は……
本当、は……
“誰かに傍にいて欲しかった……ッッ!!”
少女の脳裏に、紅蓮の劫火に覆われる “アイツ” の姿が過ぎる。
「……イ……ヤ……」
か細い呟きが、口唇から零れた。
「ソレ……だけ……は……絶……対……イヤ……」
震える手が、傍に転がっている贄殿遮那へと伸びた。
「ッ!」
その意図を瞬時に解したフリアグネは、諌める事もなく静観した。
(ほう? 生き恥を晒す事を厭い、自ら死を選ぶ、か?
幼いながらも骨の髄までフレイムヘイズのようだな?
まぁ、それもよかろう。生きていようが死んでいようが
“それらしく” 見えれば問題はない。
自在法でマリオネットのように操れば良いのだからな。
寧ろ口を塞ぐ手間が省けるというもの)
身の丈以上の大刀を操る、
可憐な少女の「自決」というのも滅多に見れるモノではないので、
背徳的な嗜好を持つフリアグネは興味深そうに成り行きを見守る。
やがて、シャナの手、が、弱々しくも大刀の柄を掴む。
(私の……承太郎……は……)
脳裏に浮かぶ、姿。
その存在が微かに遺った最後の力を呼び熾し、灼熱の決意と共に大刀を握る。
(私が護る……ッッ!!)
この生命に換えても!
絶対にッ!
「う……」
震える両手で大刀を掴み、本刃を 「逆」 に返して高々と頭上に掲げる創痍の少女。
「うぅ……!」
鬼気迫る表情に、一瞬翳りが浮かぶがソレもすぐに掻き消える。
そし、て。
「う、 うわああああああああああぁぁぁぁぁぁ――――――――ッッッッッ!!!!!」
啼き叫ぶような魂の叫喚と共に、冷たく光る白刃の切っ先が、
左胸の位置に少女自身の両手で振り下ろされる。
「むうぅッ!? シャナッ!? 何をッッ!!?」
少女の、ソノ、信じがたい突然の兇行に胸元のアラストールでさえも
現実を認識出来ない。
(咲き乱れる徒 花は……果たして……)
皮肉にも、状況を一番冷静に認識していたのは
少女をそこまで追い込んだフリアグネ自身だった。
その刃の切っ先が、その銘が示すが如く、
少女自身を贄に捧げようと未成熟な左胸を刺し貫こうとした……
そのとき!
猛々しい咆吼がッ!
シャナの真下から轟いたッッ!!
『オラオラオラオラオラオラオラァァァァァァ―――――ッッッッッッッ!!!!!!!』
「ッッ!!」
激しい喚声と共にコンクリートを爆砕する破壊音がシャナの身に響く。
贄殿遮那を振り下ろそうとしていた少女の動きが、その白刃の切っ先が、
左胸の直前で停止していた。
「……」
逆に返した大刀を抱えたまま、茫然自失となるフレイムヘイズの少女。
特に想う事は、何もなかった。
ただ、“アイツ” だ、そう想った。
その少女に届く、耳慣れた声。
「シャナッッ!! 聞こえてンだろッッ!! 返事はいらねーから聞けッッ!!
いいか!! ソイツの持ってる 「銃」 には当たるンじゃあねー!!
当たればテメーの躰は着弾箇所がどこだろーと、爆弾みてーに木っ端微塵に弾け飛ぶ!!
相手に距離をとらせんな!! 一気に接近してブッた斬れ!!」
その声を聞いたシャナは、ただ、安らかに、微笑った。
「…………フ……フフフ……フ……フ……」
切なさよりも儚く。
愛しさよりも尚強く。
満身創痍の躰から、か弱い微笑みが涙と共に、ただ、零れる。
「……」
ひとり、いた。
いて、くれた。
何が起きても、何が在っても、絶対自分を見捨てない 「人間」 が。
誰かが傷つけば傷つくほど、失敗すれば失敗するほど、
躍起になって必死になって、全身ズタボロになってでも助けようとする
底無しに甘い 『大バカ』 が。
シャナがそう想う間にも声は尚猛々しく、屋上全域に響き渡る。
「あとソイツの持ってる 「鐘」 は周囲のマネキンの起爆装置だ!!
今こっちでも確認したから間違いねー!!
“音自体が射程距離だから” 爆発は防ぎようがねぇ!!
だから人形に 「形」 を残すな!!
昨日の 「アノ剣」 で跡形もなく蒸発させろッッ!!」
的確な指示と正確な忠告。
そして、本当に本当に自分の身だけを案じている精神。
その全てが温かな雨露のように、傷ついた躰へと沁みいってくる。
「……」
頬を伝う透明な雫をその肌に感じながら、シャナは哀しいほどの笑顔で頷いた。
何度も。何度も。何度も。
「この階にいる人形を全部ブッ潰したら! オレもそっちにいってやる!!
それまでやられんじゃあねー!! 死んだら殺すぞッッ!! じゃあな!!」
革靴の踵と鎖の擦れる残響が聞こえる。
ソレと同時に再び、何かが爆砕したかのような破壊音。
「邪魔すんじゃあねぇぇぇぇぇ――――――――――――ッッ!!
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ――――――――ッッッッ!!!!」
「……」
階下から聞こえるスタープラチナの咆吼に合わせ、
シャナの小さな口唇も微かに動く。
そしてその胸の裡では、先刻の言葉を何度も反芻していた。
何度も、何度も。
(勝手なこと、言って、くれちゃってぇ……
アレは、 “煉獄” は、存在の力を、大きく、消耗する上に、
集中力を、極限まで、研ぎ、澄まさなきゃいけないから、
持続力が、スゴク短い、のよ……
昨日、アノ後、私がどれだけ疲れたか、おまえは、知らないくせに……)
でも、力が、湧いてくる。
もう、何も残ってないと想われた自分の裡に、
それに屈さず 「絶望」 に立ち向かおうとする精神の力、
【勇気】 が。
アイツ、が、たったいま、与えて、くれた。
(……だけど、おまえの、御陰で、ひとつ、良い 「手」 を、思い出したわ……
イヤな、思い出が、あるから、アレ以来、封印、してたけど、
四の五の言ってる、場合じゃない、要は、使いよう、よね……)
「そう、でしょ……?」
少女は、譫言のようにそう呟いて、
大刀を杖代わりにしながら立ち上がる。
「承……太郎……ッッ!!」
そして、二人で見た空に、風貌を重ねて問いかける。
“一人じゃない”
その事実を、シャナは今、何よりも強く実感した。
そう、いま、自分は、決して、
“一人なんかじゃない!!”
ただそれだけの当たり前の事実が、
心に巣喰った恐怖と絶望を跡形もなく吹き飛ばした。
そしてその瞳に、再び灼熱の炎が何よりも激しく燃え上がった。
(逢いたい、な)
穏やかな微笑を口唇に浮かべ、灼きつく躰を無理矢理引き起こしながら、
シャナは純粋にそう想った。
まだ、さっき別れてから、1時間も、経っていないけれど。
でも、逢いたい。
いま逢いたい。
すぐ逢いたい。
因果の、交叉路の、真ん中でッ!
「うぅっ!」
全身を蝕むダメージにより、気持ちとは裏腹に膝を支える力が抜け、
少女はもう一度抉れた地面の上にヘタリ込んでしまう。
その様子を、裡なる存在が激しく叱咤した。
(バカッ! 立つのよッ! 立ちなさい! シャナ!
アイツが 『勇気』 をくれたんだから! それを無駄にするのは私が赦さない!)
「ッッ!?」
その、自分の「背後」に、いつのまにか 『もう一人の自分』 が、いた。
脳に受けたダメージの影響が生み出す 「幻覚」 なのか?
それとも自分の精神のナニカを、無意識の内に 「投影」 しているのか?
とにかく陽炎のように朧気だが、確かな存在感を持ってそこに居た。
まるで、“アイツ” の操る 『幽波紋』 と同じように。
灼眼ではない黒い瞳と、炎髪ではない黒い髪、
そして今自分が着ているものとは違う、白い半袖のセーラー服。
「なんで……立つ、の……?」
再び無理に躰を引き起こしながら、答えの解りきった質問を
シャナは背後の自分に向けて問いかける。
(そんなの……決まってる……)
静かに答えて、自分が自分に歩み寄る。
そして、同時に口を開く。
(アイツが)
「アイツが」
「「待ってるからッッ!!」」
二人の声が重なった。
同時に沈黙していた刀身が、突如紅蓮の炎で覆われる。
炎刃合一。灼熱の紅刃。
『贄殿遮那・炎霞ノ太刀』
破壊力-A スピード-シャナ次第 射程距離-C
持続力-A 精密動作性-シャナ次第 成長性-A
「私は一人じゃない!!」
一際強くそう叫び、最早大刀の支えも必要とせず、
シャナは凛とした表情で立ち上がった。
そう、死しても尚、炎の中からより強くより美しい姿で甦る、
“不死鳥” で在るかのように。
その全身から深紅の火の粉が、まるで鳳凰の羽ばたきのように舞い上がり、
空間を灼き焦がす。
「……ッッ!!」
フリアグネはその光景に一瞬パールグレーの双眸を丸くするが、
すぐに己を諫めて表情を引き締める。
「ほう? 満身創痍の状態でまだ立ち向かう気かい?
一体何が、そこまで君をそうさせるのかな?」
余裕に充ちた口調でそう問いかけるフリアグネに。
「それは」
と、シャナは一瞬口ごもるが、すぐにその必要がない事に気づく。
そう、自分の真 実の 「気持ち」 に、口を閉ざす必要なんか全くない。
「それは、私が、アイツの、 『星の白金』 の 「片割れ」 だからッ!」
手を黒衣の左胸に当て、微塵の違和感もない言葉が口をついて出る。
無論、アイツの了承はまだ取ってない。
でも、もう決めた、いま決めた。
アイツが望もうが望むまいが、もう絶対完全決定事項、
殴ってでもそうさせる。
今までは、フレイムヘイズの 「使命」 の為に剣を振るってきた。
でも、此れからは、此処からは――!
「フッ……腐ってもフレイムヘイズ、腐っても “炎髪灼眼の討ち手” という事、か?
哀れな、これ以上続けてもただ苦しみが増すだけだというのに」
皮肉めいた物言いを、シャナは甦った紅蓮の双眸で凛と受け止める。
そして同じように、口元にも凛々しい微笑を浮かべてフリアグネへと告げる。
何よりも強く、己を誇りながら。
「そう。私はフレイムヘイズよ。でもおまえ?
私の “もう一つの名前” は知らないでしょう?」
「もう一つの、名前?」
眉を怪訝に顰めるフリアグネに、シャナは
「教えて、あげる!」
そう叫び、紅蓮の灼眼でフリアグネの光彩を真正面から射抜く、
己が全存在を刻みつけるように。
「 “空条 シャナッッ!!” 叉の名をッ!」
言葉と同時に左手が真一文字に薙ぎ払われる。
「『紅 の 魔 術 師ッッ!!』 」
黒衣を靡かせながら、紅蓮の炎で覆われた贄殿遮那を眼前に突き出した。
「フッ……だが、そのダメージだらけの躰では、ね。
最早私が相手をするまでもあるまい。お前達」
微笑を浮かべたままフリアギネはそう呟き、小気味よく指を鳴らす。
その合図に合わせて周囲にいた武装燐子達が、剣を両手に携えて陣形を組み出した。
「……」
シャナはその燐子達になど目もくれず、あくまで紅世の王、
フリアグネのみを射抜いていた。
紅蓮の炎が宿る、誇り高き真紅の瞳で。
そして、止まった瞬間が、刹那動き出す。
シャナは右手に握っていた大刀をそのまま軽やかに放った。
宙に放たれた刀身が反転して紅蓮の弧を描く、
そして目の前に来た柄を素早い手捌きで持ち直すと、
「オオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォッッッッッ!!!!!」
逆手で大刀を前に差し出したシャナの口唇から、
勇ましく猛々しい灼熱の息吹が湧き上がり、
同時に炎髪が大量の火の粉、否、「炎気」 を撒き熾し空間を灼き尽くす。
“炎妙ノ太刀” の要領で、柄を透して刀身内部に炎気を込め、
ソレと同時に剣気と闘気、そしてアイツから貰った何よりも大切な
『勇気』 を込める。
そしてシャナは、大刀を逆手に携えたまま居合い斬りの要領で腰を捻りながら
落とした構えを執り、左手は絡めながら前方へと押し出しそしてやや捩じる。
揺らめく炎の陽炎に紅蓮の残像が映る無駄のない動作に呼応して、
“贄殿遮那” 内部で集束した三種の 「気」 の融合体がやがて、
周囲の分子配列を変異させ紅い放電現象を引き起こし始める。
その、戦慄の美を流す大太刀 “贄殿遮那” の裡で。
いま、 『スタンド使い』 と “フレイムヘイズ”
ソノ二つの存在が一つとなるッ!
星炎融合。流星の灼撃。
『贄殿遮那・星迅焔霞ノ太刀』
遣い手-空条 シャナ
破壊力-A+ スピード-A+ 射程距離-B(最大20メートル)
持続力-A+ 精密動作性-B 成長性-A+
「オッッッッッッラアアアアアァァァァァ―――――――ッッッッッッッ!!!!!!!」
その背後に、最愛の者の存在を強く感じながら、
シャナは乾坤一擲の一撃を全身全霊で撃ち放った。
駆け声と共に音速で刳り出された抜刀斬撃術の、
紅蓮の真空波が瞬時に具現化して焔の討刃と成り、
贄殿遮那の刀身から唸りを上げて途轍もない存在の猛威となって飛び出し
標的に、“狩人” フリアグネに縛鎖を引き千切った魔獣のように襲いかかった。
「何ッ!?」
前方の燐子6体を瞬断した焔の討刃に、
フリアグネは咄嗟に長衣を突き出して
その三日月状の刃を真正面から受け止めた。
奇怪な紋章と紋字の浮かび上がった円球ドーム状の防御障壁が、
瞬く間にフリアグネを覆っている。
しかし、その音速発射された紅蓮の討刃が放つ余波である、
紅い放射状の閃光により射程距離外の燐子達が側部から、背後から、
ありとあらゆる角度から撃ち抜かれまとめて爆散する。
更に、炎の攻撃に対してはありとあらゆるモノに対抗出来る筈の
絶対防御の「宝具」 “アズュール” ですらも討刃の猛進を押し止めただけで
その 「本体」 を消滅させる事は出来なかった。
「効果」 は、確実に出ている筈だった。
フリアグネの直近で紅蓮の討刃は、
巨大な岩石に圧し当てられた鎖 鋸のように
けたたましい摩擦音と狂暴な火花を夥しく噴き散らして、
徐々に先端から刃全体の絶対量を減らして来ている。
だが、討刃自体があまりに巨大過ぎるのと、その磨耗速度が致命的に遅かった。
そう、“遅過ぎた”
そし、て。
ピシィッ……!
火除けの指輪 “アズュール” の核である紺碧の宝玉が、
官能的とも言える音を立てて罅割れ。
ピキィィィィィィィィ……
煌めく貴石の破片が、火の粉に混じって空間へと散華する。
「ア、アズュールがッッ!? バ、 」
フリアグネの驚愕とほぼ同時に白炎の防御障壁は霧散して立ち消え、
代わりに火除けの 「結界」 が消えた瞬間、それまで位相空間に 滞 っていた
破壊衝撃波が全部まとめて前方へと弾き飛ばされ、
シャナの放った紅蓮の討刃を爆発的に加速させ、
フリアグネの胴体を音よりも疾く斬り飛ばす。
「バ……カ……な……ッ!」
同時にその切断面を起点にして紅蓮の炎が燃え上がり、
二つに別れたフリアグネの上半身と下半身とを刹那に呑み込んだ。
更に紅蓮の討刃はソレでも勢いが止まらず、
背後にあった給水塔の土台に叩き込まれて石壁を抉り、
コンクリート内部で爆破、粉砕、融解を繰り返しながら、
最終的には激しく爆裂する。
瞬時に土台全体へ夥しい数の亀裂が走り、
その前方の瓦礫の大地で二つに別れて燃え盛る純白の貴公子の上に、
崩壊した残骸が嵐のように降り注いだ。
まるで墓標のように、破滅の墓碑銘を凄惨な残響を轟かせて其処に刻む。
ズンッッッッッッ!!!!!!
最後に、衝撃で捲き上がった給水塔本体が、
積み上がる残骸の最上部に逆さとなって突き刺さり、
その事を確認したシャナは、
「私達二人は最強よ!! 絶対誰にも負けないッッ!! 」
紅蓮渦巻く大太刀を足下の瓦礫に突き立て、
逆水平に構えた指先で破滅の墓標を鋭く差した。
その燃え上がる紅蓮の双眸に、無限の精神の輝きが生み出す黄金の光が宿る。
熱く。激しく。閃光のように。
何よりも気高く、少女の歩み出した 『運命』 を照らしていた。
←To Be Continued……
後書き
はいどうもこんにちは。
原作を読んだ方は「距離」が縮まるのが速過ぎるだろ!
と想うかもしれませんがワタシはそうは想いません。
そもそもワタシは「ラブコメ」というジャンルが大ッ嫌いで
(だって恋愛経験豊富な人はあんなモン描か(け)ないでしょ・・・・('A`))
何でキ○オ○の「妄想」をお金払ってまで見させられなければならないという
疑問を禁じ得ないのでそのような要素は一切排除してあります。
大体好きな相手に好きと言えないのは
「大して好きじゃないから」ですし(少なくとも自分の気持ち(保身)の方が大事)
「初恋」が実らないのは「気持ちだけで結局何もしない」からです。
何よりも間違ってるのは「両想い」になるのはゴールではなく「スタート」で、
互いの信頼関係も想いの深さも育って行くのは「その後」なのに
なんでスタートラインで最終回になるのか意味が解りません。
まぁ描いてる者にその経験がないので「その後」が描けないというのが
最大の理由だと想いますが(じゃあ描くなや・・・・・('A`))
ジョジョを見ればお解りの通り恋人同士の絆が深まっていくのは
全部「その後」の話でしょう(ルーシーとスティール氏なんか「夫婦」だし)
ジョジョの主人公の中に、シャナ原作のあのどうしようもないヤツみたいに
「なるべく誠実に答えたいんだ」とか「好きになってもいいんだ」とか
自分に都合の良い言葉を捻り出しては、結局「何もしない」コトの「言い訳」に
している中途半端で優柔不断な者が一人でもいましたか?
(ソレで意中の女の子は振り向いてくれたのか是非作者に訊いてみたいモンです)
まだ本気で女性を「尊敬」していると言い張る
ホルホースの方がマシというモノです。
(まぁあんなのと比べちゃ可哀想か・・・・・('A`))
そもそも「自分の都合」しか考えずソレを相手に押し付けるような思考は
「卑劣」と「醜悪」以外の何モノでもなく、ソレは女性に対する大いなる「侮辱」で
しかないのでとてもじゃないですがジョジョの表現形態に
乗せられるモノではありません。
欲しいモノは手を伸ばして掴み取るしかないでしょう?
(例えどんなに苦しくても)
なのになんで「自分に万全の準備が整うまで」『相手が待っていてくれる』
と想い込むコトが出来るのか?
ソレは単なる「傲慢」で「怠惰」と「強欲」の言い訳でもあります。
(他人に「嫉妬」する資格すらありません)
本当に「悪い」ヤツはDIOサマのような生まれついての悪ではない、
一見普通っぽいヤツの中に掃いて捨てるほどいるのです。
(A・ヒトラーも元は「普通」だったらしいです)
ソレでは。ノシ
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