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真田十勇士

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巻ノ四十二 大谷吉継その一

                 巻ノ四十二  大谷吉継
 大坂に着いてだ、十勇士達は目を見張って驚きの声をあげた。
「何と」
「これ程までか」
「ここまで栄えておるとは」
「前に来た時以上ではないか」
「いや、比べものにならぬ」
 数年前に彼等が来た時よりもというのだ。
「この賑わい」
「人の多さに店の数」
「橋という橋に人が行き交っておる」
「川や堀にはいつも舟がある」
「都よりも遥かにじゃ」
「栄えておるではないか」
「全くじゃな」
 幸村も言う。
「この賑わいはな」
「はい、まさに天下の中心」
「そう言っていいですか」
「それに城もです」
「あの城もですぞ」
 その大坂の中心にある大阪城、そこもだった。
「実に大きいですな」
「あの見事な天守といい」
「我等が前に来た時は土台だけでしたが」
「今ではです」
「見事な城になっていますな」
「あの様に」
「見事な城になると思っていた」
 幸村はまた言った。
「しかしな」
「その殿のですな」
「思われていた以上でしたな」
「あの城は」
「そうでしたな」
「うむ、天守はな」
 その天守閣も見て言った。
「壁は黒くな」
「瓦は全て金箔ですな」
「何と豪奢な」
「ただ大きいだけでなく」
「実に見事です」
「そうした天守ですな」
「全くじゃ」 
 こう言うのだった。
「これ以上はないまでの」
「見事なですな」
「天守ですか」
「まさにこの大坂の真ん中にある」
「それに相応しいですな」
「大坂は町もよく」
 幸村はさらに言う。
「そしてな」
「はい、城もですな」
「とてつもない巨城で」
「そしてですな」
「天守もまた」
「そこにあるに相応しいですな」
「この町と城の真ん中に」
 十勇士達も言うのだった。
「そこまでのものですな」
「まさに」
「殿もそう言われますか」
「うむ」 
 その通りという返事だった。
「拙者もな」
「まさに天下の町になっていますが」 
 この大坂はというのだ。
「そして城もですな」
「天下の城」
「そして天守もですな」
「天下の天守閣ですな」
「そうなっておる、それで時間があるからな」
 だからと言う幸村だった、ここで。 
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